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連載2
対決6
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伝わってくる兄様の体温に、泣きそうになった。
一歩間違えたら、この温もりが永遠に失われていたかもしれない。そう考えたら、怖くて仕方なかった。
聖女の力を使って、エイドリーによってつけられた兄様の頬の傷を癒す。
この程度の傷の為に力を使うなんてと、兄様が少しだけ非難するような目で私を見て来たけど、無視をして、傷のなくなった頬を撫でた。
兄様は私の騎士なのだから、常に傷一つない万全な状態じゃなければ駄目だ。
まだ、ユーリアを打ち倒すという一番の目的は、果たされていないのだから。
「……私が護符を使ったのは兄様にとっては不本意だったかもしれないけど、私は後悔もしてないし、反省もしない」
「…………」
「だって兄様は今、こうして生きて私のそばにいてくれるのだから。……そのせいで兄様に恨まれたとしても構わない」
「俺がディアナを恨むはずがないだろ」
頬を撫でていた私の手を、兄様が握りしめる。
「恨む相手がいるとしたら、それは未熟な俺自身だ。……一人では憎い相手を倒せずに、お前に殺しの片棒を担がせた」
「片棒を担いだんじゃない。……私は確かに、兄様と一緒にエイドリーを殺したの」
砂を抱いて倒れ込んでいるエイドリーの死体に視線をやる。
シャルル王子を追った盗賊を、兄様が切り捨てたあの時。私は無意識に、その死体に向けて聖女の力を使おうとしていた。
けれど、今の私にはあの時のような衝動はない。わずかなりにも感じていた、胸の痛みもない。
私は今ーーただ心からエイドリーの死によって、兄様が脅かされないことに安堵している。
「……ねえ、兄様。もしかするとエイドリーが抱きしめていた砂は、遺灰だったのかもしれないね」
セーヌヴェットの王都周辺では土葬が一般的だけど、ルシトリアでは火葬が一般的だし、地域によってはセーヌヴェット国内でも火葬を行う所もある。
セーヌヴェットの身分が高い人間ほど、火によって生前の姿を失うことを忌避しているけど、個人的には土の中で腐ってしまうよりよほどいいんじゃないかと思ってるし、私と同じように考える人も少なくない。
以前父様は、エイドリーには愛した人がいたと言った。その相手を自らの手で殺したのたとも。
もしかしたらその人は、火葬を是とする地域で生まれ育った人だったのではないだろうか。
一歩間違えたら、この温もりが永遠に失われていたかもしれない。そう考えたら、怖くて仕方なかった。
聖女の力を使って、エイドリーによってつけられた兄様の頬の傷を癒す。
この程度の傷の為に力を使うなんてと、兄様が少しだけ非難するような目で私を見て来たけど、無視をして、傷のなくなった頬を撫でた。
兄様は私の騎士なのだから、常に傷一つない万全な状態じゃなければ駄目だ。
まだ、ユーリアを打ち倒すという一番の目的は、果たされていないのだから。
「……私が護符を使ったのは兄様にとっては不本意だったかもしれないけど、私は後悔もしてないし、反省もしない」
「…………」
「だって兄様は今、こうして生きて私のそばにいてくれるのだから。……そのせいで兄様に恨まれたとしても構わない」
「俺がディアナを恨むはずがないだろ」
頬を撫でていた私の手を、兄様が握りしめる。
「恨む相手がいるとしたら、それは未熟な俺自身だ。……一人では憎い相手を倒せずに、お前に殺しの片棒を担がせた」
「片棒を担いだんじゃない。……私は確かに、兄様と一緒にエイドリーを殺したの」
砂を抱いて倒れ込んでいるエイドリーの死体に視線をやる。
シャルル王子を追った盗賊を、兄様が切り捨てたあの時。私は無意識に、その死体に向けて聖女の力を使おうとしていた。
けれど、今の私にはあの時のような衝動はない。わずかなりにも感じていた、胸の痛みもない。
私は今ーーただ心からエイドリーの死によって、兄様が脅かされないことに安堵している。
「……ねえ、兄様。もしかするとエイドリーが抱きしめていた砂は、遺灰だったのかもしれないね」
セーヌヴェットの王都周辺では土葬が一般的だけど、ルシトリアでは火葬が一般的だし、地域によってはセーヌヴェット国内でも火葬を行う所もある。
セーヌヴェットの身分が高い人間ほど、火によって生前の姿を失うことを忌避しているけど、個人的には土の中で腐ってしまうよりよほどいいんじゃないかと思ってるし、私と同じように考える人も少なくない。
以前父様は、エイドリーには愛した人がいたと言った。その相手を自らの手で殺したのたとも。
もしかしたらその人は、火葬を是とする地域で生まれ育った人だったのではないだろうか。
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