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ルクレア・ボレアという女
逆ハーエンドを目指します7
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「……同室者だ」
ディビットの言葉に、あぁ、そーいやそんな設定あったかもと思い出す。
この学園は都市部に位置しているから、中央貴族以外の地方出身者の学生は自宅から通うことはまず不可能だ。しかし貴族の間ではこの学園を卒業することがステータスとなっている為、学費を支払えるだけの余裕がある家は、どんなに距離が離れていようが、自らの子息を学園に入学させたがる。
結果、この学園は半寮制になっている。半寮制というべきか、4分の3寮制というべきか。
通学費用も、交通網が発達した前世の世界と比べて色々不便なこの世界では、とんでもない金額になったりする。まして、この学園は「自然豊かな環境で、健全な精神を養うためうんちゃら」というよくわからん心情から、人里離れた陸の孤島的立地に立てられているのだ。
学園から一歩出れば、見渡す限り木、木、木。
いくら都市部に住んでいても、こんな場所まで苦労して毎日通わなければならないなら、寮に住んだ方がよほど楽である。だから結局ほとんどの生徒が寮暮らしを選択する。
一説には、常に召使やメイドに面倒を見てもらったお坊ちゃま、お壌ちゃまが、自立の苦労を味わう為のシステムだと言われている。
確かに、いくら食堂等は完備されているとはいえ、寮暮らしをすれば基本的に身の回りのことは自分でしなければならない。着替えですら自分ひとりでしたことが無いようなボンボンには、さぞ困難な生活であろう。実に同情する。
……え? 私?
ボレア家の財力を舐めちゃいけない。高価な学園直通の転移魔法具を手配するのなんて、余裕に決まっているだろう。
当然ながら、優雅な実家暮らしで、召使さんやメイドさんにあれこれ世話を焼いてもらっていますけど、何か?
……え、自立? 何それ、美味しいの?
せっかく前世と違って恵まれた境遇にあるのなら、それを堪能してこそだろう。
【人生楽あれば、苦はいらない】
いつかどこかで聞いたこの言葉が、今生の私のモットーである。人間苦労すればいいってもんじゃない。いらん苦労をわざわざ負うこたぁない。
……話が反れた。
まぁ、そんな感じでほとんどの生徒が寮生活を送っている現状、王族から見いだされただけの庶民なヒロイン、エンジェ・ルーチェも、貧乏地方貴族なキエラ・ポーサも、当然ながら寮生活になるわけで。
同室となり意気投合した結果、守銭奴なキエラが「あんためっちゃ気に入ったわー。よっしゃ、あんたならただで情報売ったる!」となるのが、サポートキャラとしての役割の始まりだった……のを、今ようやく思い出した。
あかんね。結構記憶力いい方だと思ってたけど、流石に何十年も前の記憶なら色々忘れてしまうな。
攻略対象キャラのイベント類とかなら結構覚えてんだが……どうも本筋の恋愛とか、胸熱展開だとか絡んでない部分、結構忘れてしまっているっぽい。
何が私に影響及ぼすか分かんないから、いっぺん覚えている記憶なんかに書き留めるとかせんとあかんな。
「デイビッドと最初にあった時はホンマびっくりしたわ~。せっかくだから思って眼鏡外して基本プロフィール見とったら、性別欄に『男』って書いてあるんやもん。思わず、ウチの『眼』の機能がおかしくなってもうたのかと疑ってしもうたわ」
こんな美少女が男とか詐欺やろ? と振ってくるキエラの言葉に全力で同意する。
正体が分かってなお、私は未だにディビットが男だという現実を受け止められていない。実はドッキリだったんじゃないか、私が見たぺったんこな胸は幻だったんではないかと、未だに思ってしまうくらい、詐欺な男だ。つくづく。
「まぁでも面白そうやし、秘密にせんなら無理矢理唇奪って下僕化するって脅されたから、色々ただで協力してやっとるんやわ。……全く、情報の価値をなんだと思ってるんや。情報は時に金隗にも勝るっちゅー格言もあるっちゅーのに……」
ゲーム中とは違って、キエラはただ働きが不本意らしい。唇を尖らせながら、じと目でディビットを睨み付けている。そんなキエラに、ディビットは凶悪な顔で舌打ちを鳴らす。
「……今度からちゃんと情報料払ってやるから、そうぐちぐち言うのやめろ。毎日毎日何度も恨み言言いやがって……うぜぇ」
「ほんま!?」
「あぁ、いい『財布』が手に入ったからな」
……あれ、もしかして財布って私のことですか。
いや、ボレア家の財力の前では、情報料なんていくら払っても大したことないのも事実だけど、全部私に支払い、押し付ける気満々ですか。
……はい、もしかしなくてもそうですよね。
分かってたよ……分かってたさっ!
ディビットの言葉に、あぁ、そーいやそんな設定あったかもと思い出す。
この学園は都市部に位置しているから、中央貴族以外の地方出身者の学生は自宅から通うことはまず不可能だ。しかし貴族の間ではこの学園を卒業することがステータスとなっている為、学費を支払えるだけの余裕がある家は、どんなに距離が離れていようが、自らの子息を学園に入学させたがる。
結果、この学園は半寮制になっている。半寮制というべきか、4分の3寮制というべきか。
通学費用も、交通網が発達した前世の世界と比べて色々不便なこの世界では、とんでもない金額になったりする。まして、この学園は「自然豊かな環境で、健全な精神を養うためうんちゃら」というよくわからん心情から、人里離れた陸の孤島的立地に立てられているのだ。
学園から一歩出れば、見渡す限り木、木、木。
いくら都市部に住んでいても、こんな場所まで苦労して毎日通わなければならないなら、寮に住んだ方がよほど楽である。だから結局ほとんどの生徒が寮暮らしを選択する。
一説には、常に召使やメイドに面倒を見てもらったお坊ちゃま、お壌ちゃまが、自立の苦労を味わう為のシステムだと言われている。
確かに、いくら食堂等は完備されているとはいえ、寮暮らしをすれば基本的に身の回りのことは自分でしなければならない。着替えですら自分ひとりでしたことが無いようなボンボンには、さぞ困難な生活であろう。実に同情する。
……え? 私?
ボレア家の財力を舐めちゃいけない。高価な学園直通の転移魔法具を手配するのなんて、余裕に決まっているだろう。
当然ながら、優雅な実家暮らしで、召使さんやメイドさんにあれこれ世話を焼いてもらっていますけど、何か?
……え、自立? 何それ、美味しいの?
せっかく前世と違って恵まれた境遇にあるのなら、それを堪能してこそだろう。
【人生楽あれば、苦はいらない】
いつかどこかで聞いたこの言葉が、今生の私のモットーである。人間苦労すればいいってもんじゃない。いらん苦労をわざわざ負うこたぁない。
……話が反れた。
まぁ、そんな感じでほとんどの生徒が寮生活を送っている現状、王族から見いだされただけの庶民なヒロイン、エンジェ・ルーチェも、貧乏地方貴族なキエラ・ポーサも、当然ながら寮生活になるわけで。
同室となり意気投合した結果、守銭奴なキエラが「あんためっちゃ気に入ったわー。よっしゃ、あんたならただで情報売ったる!」となるのが、サポートキャラとしての役割の始まりだった……のを、今ようやく思い出した。
あかんね。結構記憶力いい方だと思ってたけど、流石に何十年も前の記憶なら色々忘れてしまうな。
攻略対象キャラのイベント類とかなら結構覚えてんだが……どうも本筋の恋愛とか、胸熱展開だとか絡んでない部分、結構忘れてしまっているっぽい。
何が私に影響及ぼすか分かんないから、いっぺん覚えている記憶なんかに書き留めるとかせんとあかんな。
「デイビッドと最初にあった時はホンマびっくりしたわ~。せっかくだから思って眼鏡外して基本プロフィール見とったら、性別欄に『男』って書いてあるんやもん。思わず、ウチの『眼』の機能がおかしくなってもうたのかと疑ってしもうたわ」
こんな美少女が男とか詐欺やろ? と振ってくるキエラの言葉に全力で同意する。
正体が分かってなお、私は未だにディビットが男だという現実を受け止められていない。実はドッキリだったんじゃないか、私が見たぺったんこな胸は幻だったんではないかと、未だに思ってしまうくらい、詐欺な男だ。つくづく。
「まぁでも面白そうやし、秘密にせんなら無理矢理唇奪って下僕化するって脅されたから、色々ただで協力してやっとるんやわ。……全く、情報の価値をなんだと思ってるんや。情報は時に金隗にも勝るっちゅー格言もあるっちゅーのに……」
ゲーム中とは違って、キエラはただ働きが不本意らしい。唇を尖らせながら、じと目でディビットを睨み付けている。そんなキエラに、ディビットは凶悪な顔で舌打ちを鳴らす。
「……今度からちゃんと情報料払ってやるから、そうぐちぐち言うのやめろ。毎日毎日何度も恨み言言いやがって……うぜぇ」
「ほんま!?」
「あぁ、いい『財布』が手に入ったからな」
……あれ、もしかして財布って私のことですか。
いや、ボレア家の財力の前では、情報料なんていくら払っても大したことないのも事実だけど、全部私に支払い、押し付ける気満々ですか。
……はい、もしかしなくてもそうですよね。
分かってたよ……分かってたさっ!
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