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ダーザ・オーサムというショタキャラ
ダーザ・オーサムというショタキャラ8
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さて、やたら危ないオーラを纏いながら距離を詰めてくるトリエットを、適当に振り切り(あれは、獲物を狙う肉食獣の目でした……)、向かうは図書室 あふたー ざ すくーる。
昼は、マジメガネイベントに邪魔されて、結局ダーザと接触出来なかったので今回こそリベンジ。
「……んー。これ、どこにいんだ。ダーザ」
いつもは(外から見る限り)そう、人がいない図書室だが、テストが近いこともあって、図書室にはたくさんの生徒が密集していた。こんな中にいたら、ただでさえ、背がちっこいダーザなんてすぐ埋もれてしまいそうだ。
ダーザのいそうなポジションは、どこかな。土属性だし、植物学関連かんな……。
しかし、流石私有名人。やたら視線集まってて、照れるぜ……。うん、動きづらい。
「――イイ香リ……スル……」
「え?」
不意に聞こえた声に、ぎょっとする。
視線を動かせば、喚んでもないのに例のごとく勝手に出現している、ノムル。
なんだ。急に声がするからびっくりしたけど、ノムルかぁ。また、勝手に……。
………え、ノムル?
「コッチ……イイ香リ……落チ着ク、ニオイ……モット、嗅ギタイ」
「ちょ、なんだその、普段に無い速い動き。お前、いつもの無気力どこ言った」
「コッチ……」
「こら、主人無視すんな!!」
土属性精霊、ノムル。
睡眠と怠惰を、心の底から愛する、無気力ボーイである。
そんな彼が自分から何か行動に移すことはめったになく、こっちの世界に現れる時も、大抵は他の精霊につられてという感じだった。
そんなノムルが、今、いつになく自発的で活発に動いている。
……ちょ、お前、本気で何があったし。
「ちょっと、ノムル。人が多いから、勝手に動か……ノムル? あれ、どこ行った?」
小さい体で、どっかに飛んでったノムルを、人ごみの中に見失ってしまう。
まずい。いや、別にノムルは、血の気が多いサーラムと違って、目を離していても問題起こすような子じゃないけど、精霊を制御していないように周囲から見られるのは、非常にまずい。
私は精霊達と主従契約を結んでいるが、基本的に彼らの行動は、彼らの意志を尊重している。それは永年の諍いの末に、私が決めたスタイルである。
別に制御できないわけではなく、よほどのことが無い限り、敢えて制御しないようにする。それこそが、無理矢理契約によって結び付けられた彼らに、私が見せられる誠意だと思ったからだ。
私と精霊たちの関係は、けして私が絶対上位の立場で成り立っている関係ではない。それでいいと思っている。だって心からそう思えた時に、時々憎たらしくも愛おしい精霊達と、確かな絆を結ぶことが出来たのだから。意志を捻じ曲げた絶対的服従なんかより、今の関係の方が、ずっといい。
私は今の精霊達との関係に心から満足している。……だが、今の私の精霊に対するスタンスを、他者に見せるのはまた別問題である。
多くの人間……特に力ある人間ほど、精霊をワンランク下の、道具のように思っている傾向がある。使役するものであり、意志を持たせる自由を与えること自体愚かだと評する人間もいる。
そんな彼らが私と精霊との関係を見たらどう思うか。……人型精霊を四体も従えたといっても所詮この程度なのかと、私を、ボレア家を侮るようになるのだ。それはボレア家の名誉を傷つけることになる。
だからこそ、私は人前で精霊達に接する際は、必ず高慢な態度で接するようにしている。精霊達も、私の意図に応えて、いつもの生意気さは押し殺して従順な態度を示すようにしてくれている。
……まぁ、時々うまく演じられていない時もあるけど。サーラムとか、サーラムとか、サーラムとか。
そんな精霊達だから、正直今回のノムルの暴走は完全に予想外だった。精霊を御すこともできないのかという不名誉過ぎるレッテルを貼られる前に、早くノムルを回収しなければ……っ!
「――……うわっ!? て、あれ、人型の精霊!? なんで、こんな所に!?」
「土ノ香リ……心地、イイ……オ前、今カラ……俺ノ枕…」
「わわっ!? 僕の頭のうえで寝ないで! ちょっと、君……!」
「……ぐう……」
……どうも探すまでも無かったようだ。会話で一発だ。しかも、わりと近くにいた。
ついでに、その前の探し人まで発見出来た模様。
溜息を一つ吐いて、ターゲットに近づく。
「――ごめんなさいね。私の精霊が、ご迷惑をおかけして」
私は、頭にお休みモード突入中のノムルを頭に引っ付けて、半べそになっているダーザ・オーサムに笑いかけた。
昼は、マジメガネイベントに邪魔されて、結局ダーザと接触出来なかったので今回こそリベンジ。
「……んー。これ、どこにいんだ。ダーザ」
いつもは(外から見る限り)そう、人がいない図書室だが、テストが近いこともあって、図書室にはたくさんの生徒が密集していた。こんな中にいたら、ただでさえ、背がちっこいダーザなんてすぐ埋もれてしまいそうだ。
ダーザのいそうなポジションは、どこかな。土属性だし、植物学関連かんな……。
しかし、流石私有名人。やたら視線集まってて、照れるぜ……。うん、動きづらい。
「――イイ香リ……スル……」
「え?」
不意に聞こえた声に、ぎょっとする。
視線を動かせば、喚んでもないのに例のごとく勝手に出現している、ノムル。
なんだ。急に声がするからびっくりしたけど、ノムルかぁ。また、勝手に……。
………え、ノムル?
「コッチ……イイ香リ……落チ着ク、ニオイ……モット、嗅ギタイ」
「ちょ、なんだその、普段に無い速い動き。お前、いつもの無気力どこ言った」
「コッチ……」
「こら、主人無視すんな!!」
土属性精霊、ノムル。
睡眠と怠惰を、心の底から愛する、無気力ボーイである。
そんな彼が自分から何か行動に移すことはめったになく、こっちの世界に現れる時も、大抵は他の精霊につられてという感じだった。
そんなノムルが、今、いつになく自発的で活発に動いている。
……ちょ、お前、本気で何があったし。
「ちょっと、ノムル。人が多いから、勝手に動か……ノムル? あれ、どこ行った?」
小さい体で、どっかに飛んでったノムルを、人ごみの中に見失ってしまう。
まずい。いや、別にノムルは、血の気が多いサーラムと違って、目を離していても問題起こすような子じゃないけど、精霊を制御していないように周囲から見られるのは、非常にまずい。
私は精霊達と主従契約を結んでいるが、基本的に彼らの行動は、彼らの意志を尊重している。それは永年の諍いの末に、私が決めたスタイルである。
別に制御できないわけではなく、よほどのことが無い限り、敢えて制御しないようにする。それこそが、無理矢理契約によって結び付けられた彼らに、私が見せられる誠意だと思ったからだ。
私と精霊たちの関係は、けして私が絶対上位の立場で成り立っている関係ではない。それでいいと思っている。だって心からそう思えた時に、時々憎たらしくも愛おしい精霊達と、確かな絆を結ぶことが出来たのだから。意志を捻じ曲げた絶対的服従なんかより、今の関係の方が、ずっといい。
私は今の精霊達との関係に心から満足している。……だが、今の私の精霊に対するスタンスを、他者に見せるのはまた別問題である。
多くの人間……特に力ある人間ほど、精霊をワンランク下の、道具のように思っている傾向がある。使役するものであり、意志を持たせる自由を与えること自体愚かだと評する人間もいる。
そんな彼らが私と精霊との関係を見たらどう思うか。……人型精霊を四体も従えたといっても所詮この程度なのかと、私を、ボレア家を侮るようになるのだ。それはボレア家の名誉を傷つけることになる。
だからこそ、私は人前で精霊達に接する際は、必ず高慢な態度で接するようにしている。精霊達も、私の意図に応えて、いつもの生意気さは押し殺して従順な態度を示すようにしてくれている。
……まぁ、時々うまく演じられていない時もあるけど。サーラムとか、サーラムとか、サーラムとか。
そんな精霊達だから、正直今回のノムルの暴走は完全に予想外だった。精霊を御すこともできないのかという不名誉過ぎるレッテルを貼られる前に、早くノムルを回収しなければ……っ!
「――……うわっ!? て、あれ、人型の精霊!? なんで、こんな所に!?」
「土ノ香リ……心地、イイ……オ前、今カラ……俺ノ枕…」
「わわっ!? 僕の頭のうえで寝ないで! ちょっと、君……!」
「……ぐう……」
……どうも探すまでも無かったようだ。会話で一発だ。しかも、わりと近くにいた。
ついでに、その前の探し人まで発見出来た模様。
溜息を一つ吐いて、ターゲットに近づく。
「――ごめんなさいね。私の精霊が、ご迷惑をおかけして」
私は、頭にお休みモード突入中のノムルを頭に引っ付けて、半べそになっているダーザ・オーサムに笑いかけた。
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