乙女ゲームの悪役令嬢に転生したら、ヒロインが鬼畜女装野郎だったので助けてください

空飛ぶひよこ

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ダーザ・オーサムというショタキャラ

ダーザ・オーサムというショタキャラ9

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「……ノムル、いい加減離れなさい」

「……ぐう……」

「ノムル……狸寝いりなのはわかっているわよ。貴方が本当に眠っている時、土の気が増すもの」

「……イヤダ……ココ、寝心地イイ……」

「ダーザ様にもご迷惑を掛けているでしょう! いい加減なさい!」

「……っい、いえ、僕は平気ですから! 平気ですから、そんなに怒ってやらないで下さい」

 図書館では、騒いではいけません。これ、どこの世界も共通。
 いくら小声で諭しても、お気に入りの枕(というかベッド?)を手に入れたノムルの執念には勝てなかった。
 常日頃無関心なのに、睡眠に関することになると途端に貪欲さを出してくるから敵わん。
 仕方ないので、ダーザごと図書室を出て、隣の空き教室でノムルにお説教を始めたわけだが、声を荒げても、ノムルはここ(ダーザの頭上)で眠るの一点張り。

 ……いい加減腹が立ってきましたよー。もう。素の言葉で思いっきり怒鳴りつけてやりたいが、ダーザもいるのでグッと耐える。

 最初は半べそだったダーザだが、精霊に乗られる頭の違和感に慣れてきたのか、今では怒鳴る私にびくつきながらも、ノムルの肩を持っている始末だ。

 あかんよ。あかん。確かにノムルは他の精霊達同様に、ちっこいし、顔だち整っているしで、めちゃくちゃ可愛いが、甘やかして付け上がらせたらあかん。じゃなきゃ、君はノムルの専用ベッドに認定されてしまうぞ。

「……オマエ、イイ、奴……」

「え? ……あ、そう、かな? 嬉しいな。人型の高位土精霊に、そう言って貰えるなんて」

「……土ノ気、コンナニ強イ人間……ナカナカ、イナイ……オマエ、落チ着ク……好キ……」

 一人血圧を寄せている私をよそに、妙にほのぼのな会話を始める、一人と一体。

 ……随分、仲よさそうだこと。

 そう思うと、胸の奥がぎゅっとなった。
 ノムルが、ダーザを気に入っている状況が、面白くないを通り超して、どうしようもなくショックだった。

 分かっている。それが仕方ないことなんて、分かっているさ。
 ダーザは土属性の中でも、特に土の気が強い高位魔術師。
 方や、私は無属性。
 土属性のノムルが、どっちに惹かれるかなんて、火を見るよりも明らかだ。
 分かっているけれど、今さらそんなこと嘆いても仕方がないのだけど、悲しいと思ってしまう気持ちは止められない。

 私に対して、ノムルは最初あんなに拒絶をあからさまにした癖に、ダーザには一瞬で懐くなんて。
 ノムルが私の傍にいて、あんなに心地よさそうなことは、今まであっただろうか。

 そう思うと、どうしようもなく泣きたくなった。10年掛けて築いた絆よりも、ずっと強い絆が、一瞬にしてノムルとダーザの間に結ばれてしまったのでは、そう思ってしまう。

 もし。

 もし、ノムルが私との主従契約を解消したいと、解消して、ダーザと契約を結びたいと言ってしまったら、どうしよう。

 ノムルの意志は、出来るだけ、尊重してあげたいと、そう思っている。
 だけど私は、その時、素直に彼を解放してあげられるんだろうか。無理矢理力で捩じ伏せて従わせようと、かつての愚かだったころのように、してしまったりはしないだろうか。

「……オマエ、好キ……ダケド、マスタガ、一番好キ……」

「あ」

 次の瞬間、あれほど言っても離れなかったノムルが、私の顔のすぐ前に移動していた。

「……マスタ、俺、言ッタ……俺ノマスタハ……ズット、マスタ、ダケ……ソウ、言ッタ」

「ノムル……」

 そう言ってノムルは、本人同様に怠惰を愛しまくっている表情筋に珍しく労働をさせて、微笑んだ。

「ダカラ、不安、ナラナクテイイ」

「…っ、ノムル~っ!」

 思わず小さなその体を抱え込んで、頬ずりを仕掛ける。

「ノムルー……っ! こんにゃろ……大好きだー……っ!」

「……俺モ、マスタ、大好キ……デモ、体、痛イ……少シ、鬱陶シイ……」

「お前が可愛すぎるのが悪いーーっ!」

 そしてそのまま、本能の赴くままに、ノムルを愛でまくった。
 一通り、我が愛しの精霊の食べちゃいたいくらいの愛らしさを堪能しまくってから、ようやく気が付く、向けられていた視線。
 ノムルから視線を離して顔をあげると、目を見開いて唖然とした表情をしているダーザと、ばっちり目があってしまった。

 ……まずい。ノムルの可愛さに気をとられるあまり、存在忘れて、完璧素の私を出してしまった……!

 さて、どうやって誤魔化そう。
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