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ルカ・ポアネスという不良
ルカ・ポアネスという不良13
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「……森に?」
学園を取り囲む森は、滅多なことの無い限りほとんどの生徒は足を踏み入れない。
僅かに整備された馬車用の道を覗けば、ほとんどは自然のまま手つかずのの状態のそこは、一部磁場も狂っている場所があったり、野生の動物や魔獣が住み着いていたりと、単身で乗り込むのは危険だ。
学園周辺数百メートル以内と決められたルートには、学園の創始者が施した大規模な結界魔法が掛かっていて日常生活を送る分には問題ない様になっており、その範疇で何か起これば学園の責任とされているが、自ら結界の外を出た場合は万が一何か起こっても学園側は一切関与しないと、入学する際は事前に釘を刺され、誓約書まで書かされている。
戦闘コースの鍛錬場は、また別に用意されている為、余程の命知らずでも無い限り、森で訓練を行おうという生徒はまずいない。
昨年も、度胸試しのつもりで森に不用意に立ち入った生徒が、そのまま帰らぬ人となり、一時学園を騒がせていた。
そんな森に、デイビッドは毎日立ち入っているというのか?
一体どうして……否、性別まで隠している身として、普通に戦闘コースの訓練場を使えないのは分かるが、一体どうしてそんなリスクを冒してまで、鍛錬を行おうとするんだ?
困惑する私の様子に、キエラは苦笑する。
「……驚きはった? でも、デイビッドはそういう奴や。自分の野望を果たす為に、アホみたいに努力をし続ける、そんな男や」
「野望……?」
「【ひたすら高みへと、上り詰めること】」
ドクン、と心臓が鳴った。
何だかんだで私は、どこかでデイビッドの野望を、甘く見ているところがあった。
逆ハーレムを作って、攻略対象を下僕化して、国を掌握する。
そんなことを言っておきながら、デイビッドは、攻略自体には、そんなに積極的に見えなかったから。ただのノリで言っただけで、本気で攻略対象を下僕化する気は無いんじゃないか、そんな風に思っていた。
だけど、今確信した。デイビッドは本気だ。
否、下僕化自体は、あくまで方法の一つであり、そこまで乗り気ではないのかもしれない。正直、不本意なのだろうと思う。女装行為も含めて。
だが、その背景にある、野心は本物だ。デイビッドは本気で、国の頂点に上り詰める気でいる。
そしてその為に、必死で尽力しているのだ。
……私の知らないところで。
「……しっかし、デイビッドのことがそんなに気になるなんて、ルクレア様、もしかしてデイビッドに惚れてもうたん?」
「な」
ニヤニヤと笑いながら告げられた言葉に絶句する。
……いやいやいやいや。ないないないないない!
私がデイビッドに惚れるとかないからっ!
あんな鬼畜女装野郎に惚れるとか、どんだけ趣味おかしいのよ!?
そんな私の様子に、何を勘違いしているのか、キエラは訳知り顔で首を左右に振る。
「ええねん。ええねん。そんな必死で否定せんでも、私は誰にも言いふらしたりせぇへんですから」
「違っ……」
「デイビッド、何だかんだで優しいからなぁ~」
こんな愛くるしい美少女を、躊躇なく肉体言語で虐げてくる悪魔が優しいとかどんだけ!?
ちょっと待て、不本意過ぎる勘違いやめてくれ!
しかし反論しようと思って発するはずだった言葉は、続くキエラの言葉にかき消された。
「――優しいっちゅーか、甘い?」
その響きの無機質さに、ぞくりと冷たいものが背中を走った。
キエラの榛色の瞳が、真っ直ぐに私に向けられる。
「デイビットは甘い。甘すぎるわ。……ルクレア様も、そう思うやろ?」
その表情は先程同様に、にこやかに笑んでいるのに、その瞳の、声の、温度は、ただひたすらに冷たい。
「【ペナルティ】、一度も使われたことあらへんのやろ? 一方的に隷属魔法を結ばれたのにも関わらず。――そないな隷属魔法の使い方、今まで聞いたことあらへんわ。もったいない」
……あ、駄目だ。
キエラ・ポーサ
――こいつ、オージンと同じ人種(はらぐろ)だ。
学園を取り囲む森は、滅多なことの無い限りほとんどの生徒は足を踏み入れない。
僅かに整備された馬車用の道を覗けば、ほとんどは自然のまま手つかずのの状態のそこは、一部磁場も狂っている場所があったり、野生の動物や魔獣が住み着いていたりと、単身で乗り込むのは危険だ。
学園周辺数百メートル以内と決められたルートには、学園の創始者が施した大規模な結界魔法が掛かっていて日常生活を送る分には問題ない様になっており、その範疇で何か起これば学園の責任とされているが、自ら結界の外を出た場合は万が一何か起こっても学園側は一切関与しないと、入学する際は事前に釘を刺され、誓約書まで書かされている。
戦闘コースの鍛錬場は、また別に用意されている為、余程の命知らずでも無い限り、森で訓練を行おうという生徒はまずいない。
昨年も、度胸試しのつもりで森に不用意に立ち入った生徒が、そのまま帰らぬ人となり、一時学園を騒がせていた。
そんな森に、デイビッドは毎日立ち入っているというのか?
一体どうして……否、性別まで隠している身として、普通に戦闘コースの訓練場を使えないのは分かるが、一体どうしてそんなリスクを冒してまで、鍛錬を行おうとするんだ?
困惑する私の様子に、キエラは苦笑する。
「……驚きはった? でも、デイビッドはそういう奴や。自分の野望を果たす為に、アホみたいに努力をし続ける、そんな男や」
「野望……?」
「【ひたすら高みへと、上り詰めること】」
ドクン、と心臓が鳴った。
何だかんだで私は、どこかでデイビッドの野望を、甘く見ているところがあった。
逆ハーレムを作って、攻略対象を下僕化して、国を掌握する。
そんなことを言っておきながら、デイビッドは、攻略自体には、そんなに積極的に見えなかったから。ただのノリで言っただけで、本気で攻略対象を下僕化する気は無いんじゃないか、そんな風に思っていた。
だけど、今確信した。デイビッドは本気だ。
否、下僕化自体は、あくまで方法の一つであり、そこまで乗り気ではないのかもしれない。正直、不本意なのだろうと思う。女装行為も含めて。
だが、その背景にある、野心は本物だ。デイビッドは本気で、国の頂点に上り詰める気でいる。
そしてその為に、必死で尽力しているのだ。
……私の知らないところで。
「……しっかし、デイビッドのことがそんなに気になるなんて、ルクレア様、もしかしてデイビッドに惚れてもうたん?」
「な」
ニヤニヤと笑いながら告げられた言葉に絶句する。
……いやいやいやいや。ないないないないない!
私がデイビッドに惚れるとかないからっ!
あんな鬼畜女装野郎に惚れるとか、どんだけ趣味おかしいのよ!?
そんな私の様子に、何を勘違いしているのか、キエラは訳知り顔で首を左右に振る。
「ええねん。ええねん。そんな必死で否定せんでも、私は誰にも言いふらしたりせぇへんですから」
「違っ……」
「デイビッド、何だかんだで優しいからなぁ~」
こんな愛くるしい美少女を、躊躇なく肉体言語で虐げてくる悪魔が優しいとかどんだけ!?
ちょっと待て、不本意過ぎる勘違いやめてくれ!
しかし反論しようと思って発するはずだった言葉は、続くキエラの言葉にかき消された。
「――優しいっちゅーか、甘い?」
その響きの無機質さに、ぞくりと冷たいものが背中を走った。
キエラの榛色の瞳が、真っ直ぐに私に向けられる。
「デイビットは甘い。甘すぎるわ。……ルクレア様も、そう思うやろ?」
その表情は先程同様に、にこやかに笑んでいるのに、その瞳の、声の、温度は、ただひたすらに冷たい。
「【ペナルティ】、一度も使われたことあらへんのやろ? 一方的に隷属魔法を結ばれたのにも関わらず。――そないな隷属魔法の使い方、今まで聞いたことあらへんわ。もったいない」
……あ、駄目だ。
キエラ・ポーサ
――こいつ、オージンと同じ人種(はらぐろ)だ。
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