223 / 237
第198話 テロリスト首謀者(2)
失語症――
アメリカ本国に帰還された時、病院でそう診断された。
複雑に羅列された英熟語や英単語を読むことが難しくなった。
私は生憎一人だった。近親は既に他界していた。だが一人でも食べるためには働かなければいけない。
福利厚生サービス自体はあった。だが少なすぎた。元々アメリカは高所得低福祉の国家だから。
そして私はアメリカに復讐を誓った。アメリカに忠誠を誓った私はアメリカに裏切られたのだから。
そうして…彼らと出会うこととなる。当時文字の読めない武器商人として働く私に彼らは接近してきた。
そして――
_________________
-アメリカ合衆国 カリフォルニア州
グレン・アンダーソン・フリーウェイ-
そして私は今、何かも分からない特殊部隊に包囲されていた。
少なくとも米軍ではないことくらいは分かる。彼らは体裁を気にし、民間人一般車のいるところで安々と発砲はしない。
事実、周りにいる民間人は何事かと困惑し、車から外に出てくる者、焦って逃げ出そうとする者、大声で叫ぶ者、電話で切羽詰まりながら話す者など様々。
「……降りるんだ」
近づいて来たリーダーらしき特殊部隊の男がそう言ってM4カービンを突きつけてきた。
従わなければ隣あるいは運転席助手席に座る奴らと一緒にしてやるぞということなのだろう。
「あんたら一体なんだ?」
テロリストの首謀者たる私は素直な思いでそう聞いた。もう何も驚くつもりはなかった。ニューヨークで散々経験したのだから。
「……」
だが誰も答える者はいなかった。ただ銃を突きつけて来る人間が一人二人と増えながら慎重に近づいて来ているだけ。
「私は元米海兵隊の人間だ」
「いいから早く降りろ!」
指示に従わない私に苛立っているのか、いや当然だろう。私はあそこで多数のSPや警察官や特殊部隊、そして民間人を殺害したのだから。
私が生かされているのは私があの場で一番何か知っていそうな立場だからと判断されたからに違いない。
「……靴は置いてきたか?もう二度とあの場に戻らぬようにとな」
直後私は背に隠した手榴弾のピンを抜いた。
_________________
米海兵隊は兵役を終えて帰国する時、靴を置いて帰国する風習がある。
もう二度とこの戦場に戻らないという意味の表れ。時には靴紐によって何重にも繋がった靴が洗濯物の物干し竿じみた場所にぶら下げられることもある。
後にテロリストの首謀者含む16人は全員死亡が確認された。
大統領は息こそあるものの事件の衝撃で意識不明の重体、そこにできた溝は副大統領が務めることとなった。
アメリカ政府は総勢でテロ組織の存在を追った。
その結果、彼らはダークウェブ上に存在していた。
手の甲でダブルピースしていた画像付きのウェブサイト。名前はIRA。
アイルランド共和国軍と呼ばれる約10、20年前に世間を騒がせた組織の過激派だった。
このテロ組織の本拠地を潰すべく、イギリス政府はSASを派遣。
SASとアイルランド共和軍による戦闘がダブリンにて行われた……
アメリカ本国に帰還された時、病院でそう診断された。
複雑に羅列された英熟語や英単語を読むことが難しくなった。
私は生憎一人だった。近親は既に他界していた。だが一人でも食べるためには働かなければいけない。
福利厚生サービス自体はあった。だが少なすぎた。元々アメリカは高所得低福祉の国家だから。
そして私はアメリカに復讐を誓った。アメリカに忠誠を誓った私はアメリカに裏切られたのだから。
そうして…彼らと出会うこととなる。当時文字の読めない武器商人として働く私に彼らは接近してきた。
そして――
_________________
-アメリカ合衆国 カリフォルニア州
グレン・アンダーソン・フリーウェイ-
そして私は今、何かも分からない特殊部隊に包囲されていた。
少なくとも米軍ではないことくらいは分かる。彼らは体裁を気にし、民間人一般車のいるところで安々と発砲はしない。
事実、周りにいる民間人は何事かと困惑し、車から外に出てくる者、焦って逃げ出そうとする者、大声で叫ぶ者、電話で切羽詰まりながら話す者など様々。
「……降りるんだ」
近づいて来たリーダーらしき特殊部隊の男がそう言ってM4カービンを突きつけてきた。
従わなければ隣あるいは運転席助手席に座る奴らと一緒にしてやるぞということなのだろう。
「あんたら一体なんだ?」
テロリストの首謀者たる私は素直な思いでそう聞いた。もう何も驚くつもりはなかった。ニューヨークで散々経験したのだから。
「……」
だが誰も答える者はいなかった。ただ銃を突きつけて来る人間が一人二人と増えながら慎重に近づいて来ているだけ。
「私は元米海兵隊の人間だ」
「いいから早く降りろ!」
指示に従わない私に苛立っているのか、いや当然だろう。私はあそこで多数のSPや警察官や特殊部隊、そして民間人を殺害したのだから。
私が生かされているのは私があの場で一番何か知っていそうな立場だからと判断されたからに違いない。
「……靴は置いてきたか?もう二度とあの場に戻らぬようにとな」
直後私は背に隠した手榴弾のピンを抜いた。
_________________
米海兵隊は兵役を終えて帰国する時、靴を置いて帰国する風習がある。
もう二度とこの戦場に戻らないという意味の表れ。時には靴紐によって何重にも繋がった靴が洗濯物の物干し竿じみた場所にぶら下げられることもある。
後にテロリストの首謀者含む16人は全員死亡が確認された。
大統領は息こそあるものの事件の衝撃で意識不明の重体、そこにできた溝は副大統領が務めることとなった。
アメリカ政府は総勢でテロ組織の存在を追った。
その結果、彼らはダークウェブ上に存在していた。
手の甲でダブルピースしていた画像付きのウェブサイト。名前はIRA。
アイルランド共和国軍と呼ばれる約10、20年前に世間を騒がせた組織の過激派だった。
このテロ組織の本拠地を潰すべく、イギリス政府はSASを派遣。
SASとアイルランド共和軍による戦闘がダブリンにて行われた……
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
【完結】異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
神に選ばれ、魔素の循環する界へと送り込まれたのは――現代の薬師。
剣も魔法も扱えない彼が憑依したのは、戦闘力ゼロの商人見習いの少年だった。
彼の武器は、知識と経験。商品を生み出し、人脈を築き、産業を広げていく。
「居場所を見つけたい」その願いが、やがて世界を変える力となる。
これは、一人の薬師が紡ぐ研究と開発、そして成長の物語。
【カクヨムでも掲載しています】
表紙は紹介文をもとに、ai【adobe firefly】で作成したものです。(参考程度に……)