深夜バイトの小話

kozu

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レストラン厨房バイトの週末

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深夜なのに騒いでいる客が多い。厨房にまで客の笑い声が聞こえてくる。今に始まったことではないけど。週末のレストランの込み具合は中々だ。
しかも、今日はレストランの奥の個室に有名人が友人と女連れで来ている。一緒に働いてるお喋り好きなホールスタッフがファンで、料理を運ぶたびに俺にあーだこーだと報告してくる。
料理を作る時間の空いた時間を見つけては、明日の仕込みも並行しているため適当に返事をする。長年のバイト経験でほぼすべての料理提供ができるようになっていったため、今の厨房には俺一人のシフトを組まされている。
注文が入り、魔法鳥が読み上げる。
メニューを確認して必要な食材を取りに向かう。まず、冷蔵庫に入り檻に入った人間を1,2,3…と在庫を数え、しっかり冷蔵庫の温度に馴染んでいるか確認する。冷蔵庫でしっかり冷えてそうな中から適当に1匹掴む。
このレストランは生きがいい人間を見れるよう、冷蔵庫の人間が入れられている檻だけメイン通り沿いに客の目に留まるようなディスプレイになっている。
人間は食用工場から特別に空間移動で直接このレストランの檻に卸している。
わざわざ生きのいい人間を食いに来る客もいるってさっきのお喋り好きなホールスタッフに教えてもらった覚えがある。
1匹連れて冷蔵庫から出て調理台に乗せる。調理台の下の小さめの冷蔵庫から料理の材料を取り出す。人間の止血シールと中級用と書かれたシールを剥がす。人間は口をパクパクさせて何かを言っているが呼吸音しか喉を通っていない。
背中を押さえつけ手際良く後ろの穴に絞り袋の金口を差す。絞り袋にはペースト状にされた食材が入っている。絞り袋1本分では足りないため、あと2本分の絞り袋を追加でいれる。
合計3本分入れたら、食材がはみ出ないように彩りとして葉っぱのついた、茹でて食べられる人参を1本入れて、蓋の役割になってもらう。
人間をひっくり返して前の細い穴には、あらかじめ準備してある具材をトロトロに煮込んだ熱々ソースを漏斗のようなものを用いを前の穴に差して中に注ぎ入れる。
食用工場で前後の穴を拡張済みため、ソースを入れやすい。
後ろの穴同様に前の穴にもこぼれないように蓋をする。
蓋と言っても、こぼれないよう注ぎ口の肉棒部分を軽く茹でた細長くしなやかな野菜で漏れ出ないようにぐるぐる縛る。縛った部分を蝶々結びにすると女受けいい。
これで、さっきまで冷蔵庫に入っていて冷たくなっている人間と、ペーストされた食材、熱々ソースが食べるときに温度差が売りのこの店の料理が完成した。人間を皿に盛り付ける。
人間の口にはソースやペーストは入れない。人間を生かせたまま料理提供するのがこの料理の大きなポイントだ。口や気管を塞いでは、客に提供されるまで死んでしまう。
最後に人間の手足を固定していた結束バンドを外す。外したとしても皿の上から出ることはない。詰めたペーストが重くて動くことはない。
でっかいハサミを持った蟹やエビでさえ食べる間際にはハサミの結束バンドは外されるもんだ。

一皿完成したらすぐに運んでもらう。残りの4皿も冷蔵庫を往復してじゃんじゃん仕上げる。
注文の数だけ客に提供する。


料理が完成し終わって気が付いた。ホールスタッフが忘れているのか、あまり使われない人間の声の機能を戻すアンプルが目の前にある。
この料理は生きている。生きているから音でも楽しみたいっていうのがこの料理らしい。
実際、人間の音を楽しみたいのかは分からないが、アンプルも提供するのがこの店のルールである以上、守らなくちゃな。
長年この店でバイトをしているせいか、この店のルールを人一倍気にしている。
ちょうど来たお喋り好きなホールスタッフにアンプルを渡し、客に届けてもらう。

後は、生きた人間料理を作っている間に来た他の注文を無駄な動作なく作っていくし、客が使った食器類をどんどん洗う。
客が残した食品ごみは生ごみに放り込む。

ただバイトとして仕事をするのみ。
今回は人間をしただけだ。
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