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元カレと友達と⑤
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日が落ち始め、帰路へつく人々が増えた頃、ふと公園の時計が目に入った太一が言う。
「…そういや、知花もう家に帰ってる頃じゃねぇ?」
確かにいつもならば、大学の授業も終わり、バイトか帰宅している時間だ。
「今日はご友人と晩御飯を食べに行くと、朝のうちに聞いて…」
「…誰だ?」
大学の友人ならば、バイトの時間と被っていなければ太一も呼ばれることが多い。
その彼が呼ばれず、見当もついていない。
「…まさか」
ある可能性に考えが至ったヒューズが、スマートフォンを取り出した。
「すぐに知花に連絡を取ります」
♪♪♪
「…ヒューズさんだ」
知花はスマートフォンの表示を見て一瞬戸惑った。
彼から連絡が来ることは稀だ。
画面を見つめたまま、その電話に出る気配がない知花にそっと話し掛ける人物がいた。
「…知花、それってこの前、店に一緒にいた男?」
甘く優しい声で語りかけてきたのは、高槻颯太だ。
知花は危険だと知りつつも、颯太へ連絡を取った。
理由はただ一つ、これ以上太一に関わって欲しくはなかったからだ。
颯太は知花に価値を見出している。
ならば交換条件の内容によっては、交渉が可能ではないかと知花は考えたのだ。
(何で、このタイミングで…ヒューズさんまで目を付けられたくないのに…)
「すみません、急ぎかもしれないので、ちょっと電話してきます」
颯太に会話内容を聞かれぬように少し離れるが、今日は政治家の街頭演説で、周囲は人も多く騒がしい。
マイクも入っているし、少し離れた位では意味がなさそうだ。
仕方なく知花はそのまま電話に出た。
『…知花?今何処にいる?』
『えっと…今、友達と合流して駅です』
嘘。二駅先の緑地公園だ。
『…そうか。先程太一に会ってな、姫が夕飯に誘ったんだ。夕飯は外だと聞いていたから、食後のお茶くらいは君も出来たら一緒にどうかと思って。無理そうだったら、作った菓子は取っておくから、帰ってきたら食べるといい』
(…それだけ?え。太一と皆がご飯????)
あっさり切られた電話と、意外な内容に拍子抜けしてしまったが、自分が変な発言をするリスクを冒すことを考えれば、掛け直すことは控えるべきだ。
「…終わった?」
声の方向を振り返ると、そこには穏やかな笑顔の颯太がいた。
知花はその笑顔にぞくりと寒気を覚えた。
(…今度こそ、この人から抜け出すんだ…)
***
あっさりと通話を止めたヒューズに太一は目を丸くしていた。
「…太一、この周辺で『オオカミ先生』と呼ばれる人を知っているか?どうやら、マイクを使って話していたのだが…」
そして口を開いたかと思えば、知花の居場所ではなく、全く関係のない人物の話である。
けれど、その響きに覚えがある太一は腕を組み考え出し、思い出した。
「オオカミ先生…?オオカミ…マイク…?あ、もしかして、大神正孝議員のことか?それなら、この辺の有名な政治家だよ」
地元ではかなり有名な政治家だ。
それも知花は中学までは女子校だったため、その政治家の娘と同級生でもあったから、選挙の度に知花が『唯月ちゃんのパパ』と何とも軽い呼び方をしていたからよく覚えている。
「…知花の声の後ろからその人に関する演説のようなのが聞こえた」
「それなら調べられる」
太一はスマートフォンを取り出し、今彼が居るであろう場所をSNSで探す。
「…あった!今、白鳥駅の西口で応援演説しているみたいだ」
だが問題はそこからだ。
白鳥駅の西口はバスロータリーもあるせいで、人はかなりごった返す。
その中から知花を見つけるのは困難だ。
「大丈夫。そこまで行けば探し出せる」
どう知花を探し出すか呻っている太一の考えを読み取ったかのように、ヒューズは言い切る。
それに補足するように、黙って様子を窺っていたソフィアが告げる。
「こっちでいうGPS?普段、私が迷子にならないように、近場なら感知できる道具を知花の鞄に入れておいたわ」
真実はGPSではなく、魔術具なのだが機能は一緒だ。
一定範囲内ならば、耳に付けたヒューズの魔術具が反応する。
「イイ仕事すんじゃんお嬢様!!」
「ふふ、当然よ」
わしわしと不躾にもソフィアの頭を撫でたが、ソフィアも満更でもない様子で笑っていた。
そして三人はすぐさま白鳥駅へと向かった。
「…そういや、知花もう家に帰ってる頃じゃねぇ?」
確かにいつもならば、大学の授業も終わり、バイトか帰宅している時間だ。
「今日はご友人と晩御飯を食べに行くと、朝のうちに聞いて…」
「…誰だ?」
大学の友人ならば、バイトの時間と被っていなければ太一も呼ばれることが多い。
その彼が呼ばれず、見当もついていない。
「…まさか」
ある可能性に考えが至ったヒューズが、スマートフォンを取り出した。
「すぐに知花に連絡を取ります」
♪♪♪
「…ヒューズさんだ」
知花はスマートフォンの表示を見て一瞬戸惑った。
彼から連絡が来ることは稀だ。
画面を見つめたまま、その電話に出る気配がない知花にそっと話し掛ける人物がいた。
「…知花、それってこの前、店に一緒にいた男?」
甘く優しい声で語りかけてきたのは、高槻颯太だ。
知花は危険だと知りつつも、颯太へ連絡を取った。
理由はただ一つ、これ以上太一に関わって欲しくはなかったからだ。
颯太は知花に価値を見出している。
ならば交換条件の内容によっては、交渉が可能ではないかと知花は考えたのだ。
(何で、このタイミングで…ヒューズさんまで目を付けられたくないのに…)
「すみません、急ぎかもしれないので、ちょっと電話してきます」
颯太に会話内容を聞かれぬように少し離れるが、今日は政治家の街頭演説で、周囲は人も多く騒がしい。
マイクも入っているし、少し離れた位では意味がなさそうだ。
仕方なく知花はそのまま電話に出た。
『…知花?今何処にいる?』
『えっと…今、友達と合流して駅です』
嘘。二駅先の緑地公園だ。
『…そうか。先程太一に会ってな、姫が夕飯に誘ったんだ。夕飯は外だと聞いていたから、食後のお茶くらいは君も出来たら一緒にどうかと思って。無理そうだったら、作った菓子は取っておくから、帰ってきたら食べるといい』
(…それだけ?え。太一と皆がご飯????)
あっさり切られた電話と、意外な内容に拍子抜けしてしまったが、自分が変な発言をするリスクを冒すことを考えれば、掛け直すことは控えるべきだ。
「…終わった?」
声の方向を振り返ると、そこには穏やかな笑顔の颯太がいた。
知花はその笑顔にぞくりと寒気を覚えた。
(…今度こそ、この人から抜け出すんだ…)
***
あっさりと通話を止めたヒューズに太一は目を丸くしていた。
「…太一、この周辺で『オオカミ先生』と呼ばれる人を知っているか?どうやら、マイクを使って話していたのだが…」
そして口を開いたかと思えば、知花の居場所ではなく、全く関係のない人物の話である。
けれど、その響きに覚えがある太一は腕を組み考え出し、思い出した。
「オオカミ先生…?オオカミ…マイク…?あ、もしかして、大神正孝議員のことか?それなら、この辺の有名な政治家だよ」
地元ではかなり有名な政治家だ。
それも知花は中学までは女子校だったため、その政治家の娘と同級生でもあったから、選挙の度に知花が『唯月ちゃんのパパ』と何とも軽い呼び方をしていたからよく覚えている。
「…知花の声の後ろからその人に関する演説のようなのが聞こえた」
「それなら調べられる」
太一はスマートフォンを取り出し、今彼が居るであろう場所をSNSで探す。
「…あった!今、白鳥駅の西口で応援演説しているみたいだ」
だが問題はそこからだ。
白鳥駅の西口はバスロータリーもあるせいで、人はかなりごった返す。
その中から知花を見つけるのは困難だ。
「大丈夫。そこまで行けば探し出せる」
どう知花を探し出すか呻っている太一の考えを読み取ったかのように、ヒューズは言い切る。
それに補足するように、黙って様子を窺っていたソフィアが告げる。
「こっちでいうGPS?普段、私が迷子にならないように、近場なら感知できる道具を知花の鞄に入れておいたわ」
真実はGPSではなく、魔術具なのだが機能は一緒だ。
一定範囲内ならば、耳に付けたヒューズの魔術具が反応する。
「イイ仕事すんじゃんお嬢様!!」
「ふふ、当然よ」
わしわしと不躾にもソフィアの頭を撫でたが、ソフィアも満更でもない様子で笑っていた。
そして三人はすぐさま白鳥駅へと向かった。
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