【漫画版公開中】転移先は女子大生の部屋でした‐ある日、美少女姫様とイケメン騎士様が転がり込んできたら‐

原案:トウキ汐・作画:猫倉ありす

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【日常漫画付】元カレと友達と⑥

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おまけ漫画付いてます。
本編は真面目なのに漫画はいつも通りゆるいです。あと2P目に知花の下着姿出てくるので、苦手な方は本編読み終わったら、閉じてくださいね。
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 駅前から離れるにつれ、煩い程に響いていた演説の声は徐々に小さくなっていく。
 知花は薄暗くなっていく中、恐怖を紛らわせるように肩に掛けた鞄を両手で握った。

「…まさか知花から連絡くれるとは思わなかった。和泉はあんだけ頼んだのに、無視したからな。相変わらず素っ気ないし、酷いと思わないか?」

 太一が颯太と自分を会わせないために、取った行動だということは知花にだって理解できる。
 それを批判する物言いに知花は奥歯を噛みしめ、颯太を睨みつけた。

「先輩…お願いがあります。もう私と太一の前に現れないでください」

 相手のペースに飲み込まれないよう、簡潔に要求を伝える。
 知花にしては珍しい態度に、颯太は少し目を見開き、口角を上げた。
 他の人が見ればその笑いも人好きのする良い笑顔だろうが、今の知花には相手を小馬鹿にするようにしか見えず、更に奥歯を噛む力を強めた。

「知花、悪かった。俺のせいであんな目に遭ってるなんて知らなかったんだ…。あの頃は俺の元カノとかファンの子達も子供だったから、あんなことになっちゃったけど、もう流石にこの歳になれば、虐めてくる奴なんかいないよ。そうなっても俺が絶対助けるから、また俺と付き合おう?」

 さも自分も苦しかったかのように、表情を歪めて話すが、既に真実を知ってしまっている知花には効果などない。
 むしろその様子が滑稽で、厭わしく、そして腹立たしかった。

 どれほど、自分がこの人に苦しめられただろうか。
 どれほど、太一が傷付けられただろうか。

「…先輩すみません。私は卑怯で、クズで、女の敵みたいな人と付き合う気は無いです」

 あの時は何も出来なかった。

 けどあの日から、使える物は親の金や権力であろうと使える時には使うと考えを変えた。
 今この場じゃなくても、この目の前の人間をいつか排除できるのなら御の字だ。
 そっと鞄に忍ばせたボイスレコーダー、片手に隠せるほど小さな催涙スプレー。
 無傷で帰れるとは思っていない。

 けれど、今はそれでいい。

「高校生の時は、何にも分かってなくて、ただ格好いい、人気の先輩に告白されちゃった!なんてノリで付き合っちゃったけど、本当は好きでも何でも無かったんですよ」

 多くの女子の憧れの的。
 実際、知花はそこまで彼に魅力を感じていなかったが、皆が格好良いと褒めそやす人に告白されたら、断るのも勇気がいる。

『どうせすぐ別れる』

 誰もがそう言った。
 知花もそう思っていた。

 そんな浅はかな考えで、この悪魔の誘いに乗ってしまった。
 払った代償はあまりにも大きすぎて、今もこんなに後悔する羽目になっている。

「だから、先輩とはキスもそれ以上もしたいと思わなくて、私、拒否してたんです」

 震える足元に力をこめ、ただ真っ直ぐ立つ。
 怯えているのを悟られたら終わりだ。

「…知花は顔は可愛いけど、前から馬鹿だなとは思ってた。普通、俺みたいなのとヤレるなら喜ぶだろ?」

 知花は静かに首を横に振った。

「……汚いとしか思えないし、好きでもない人とするなんて、気持ち悪い」

『気持ち悪い』

 きっとこの悪魔が女性から掛けられたことなどないであろう言葉を、あえて知花は吐いた。

 知っている。

 この男は意外と短気で、すぐに手を上げることを。

「黙って聞いてりゃ、このアマ!!」
「いっ…!!」

 颯太は知花の長い髪を一束握ると自身の方へと引っ張る。
 知花は髪を無理やり引っ張られた痛みでよろけるが、転びそうになるのを耐え、顔を上げた。

「先輩!!女の子達の写真と動画消してください!もう、私や太一の前に現れないで!!」
「和泉…あいつも鬱陶しいんだよな…前から、知花の周りうろちょろしやがって。つーか、あん時もしょーもない動画一つでゆすりやがって…。思いっきり殴って清々したけどな」

「太一は、鬱陶しくなんか無い…。私が虐められても、太一だけはいつも変わらずに居てくれた。だから…」

 だからきっと、颯太の罠にかからずに済んだのだ。

 朝、教室に行くと返してくれる挨拶。

 教科書や物が壊されれば、一緒に片付けをしてくれた。

 制服が汚されたら、ジャージを貸してくれたことだってある。

 嫌がらず
 避けたりもせず
 ぶっきらぼうで愛想もないけれど
 自分は味方だと、態度で伝え続けてくれた。

 知花は大きく息を吸い込んで、吸い込んだ以上に叫んだ。

「太一は私の大事な友達なのっ!!馬鹿にしないでっ!!!!」


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おまけ漫画。ハロウィンネタ②
2話の数日前の話。



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