【漫画版公開中】転移先は女子大生の部屋でした‐ある日、美少女姫様とイケメン騎士様が転がり込んできたら‐

原案:トウキ汐・作画:猫倉ありす

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欲しいのは

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 この日、朝から知花は壁に掛けられたカレンダーと、にらめっこをしていた。

 一二月二十四日、誰もが知っているイベントであり、心待ちにしている日でもあるだろう。

 当然ながら知花もその一人だ。
 けれど、今悩んでいるのはクリスマスのことではない。

 同じ日にある『ヒューズの誕生日』のことであった。

(まさか、イヴと同じとはなぁ…クリスマスプレゼントは二人分用意するつもりだったけど、誕生日プレゼントと合わせるのはなぁ…)


 クリスマスの日が誕生日の人にありがちな、合同プレゼント。
 既にクリスマスプレゼントには目星をつけた知花であったが、誕生日プレゼントまでは、完全に考えが及んでおらず、スマートフォンのスケジュールでようやく気付いたのだ。

 ソフィアにはヒューズと共に選んでプレゼントしたのだから、あげないのは気が引ける。
 それに彼に至っては、何が欲しいか聞いたところで『何もいりません』と言うに違いないから、益々プレゼントをしたい。

「ねぇ…ソフィアちゃん…ヒューズさんって欲しい物とかあるのかな?」

 知花がリビングに向かって声を掛けると、だらしなく大の字でこたつの熱を享受していたソフィアが、むくりと起き上がった。

「そうねぇ…お金には困ってないでしょうし、そんなに物欲有るようには見えないから、知花をあげたら良いんじゃ無いかしら?」
「え!?私!?私なんか貰って……はっ!お嫁さん!!??」

 そういえば、ヒューズさんはモテるようだが、モテる故の悩みもありそうな節がある。
 きっと将来の伴侶選びも大変なのだろう。

「確かに…異世界転移ものには身代わり嫁も定番だけれど、私には些か荷が重いような…!」
「ヒューズのお嫁さんには、知花みたいに明るくて、しっかり者がいいわよ。向こうでずっと仏頂面だったから、堅い性格なのだと思っていたら、実はポンコツなのを悟られない為だなんて、思いもしなかったわ」

 何とも厳しいお言葉。
 彼の騎士らしい姿は、残念ながらここ日本で拝める機会は無いが、家事スキルは本職家政婦さんにも負けていないと思う。
 知花としては自身がお嫁に行くより、お嫁に来て欲しい程だ。

「…いやいや、そうじゃない。プレゼントだ!誕生日プレゼントを何にしようか迷ってるの!」
「そうだったの。そういえば、私も毎年一応彼には聞くけれど、返事は遠回しに「いらない」って言われるわね。まぁ、何にしても知花が選んだ物なら別よ。泣いて、拝んで、家宝にする位には喜ぶんじゃないかしら?」
「そんな王様から、褒美を賜った時みたいな反応するかな…?」

 そこまで大層な地位へと、昇りつめていた覚えはないのだが。
 その時、玄関の扉が開く音が聞こえた。

「ただいま」
「おかえりなさい!ヒューズさん!!」
「おかえりなさい~ヒューズ~アイスが欲しいわ~お餅のもっちりするやつ~」

 またパタりと床に大の字を書いたソフィアに、ヒューズは冷めた目で見降ろす。

「…姫…だらしないのにも程がありますよ…」

 すかさず知花が二人の間へ割り込む。

「ヒューズさん!!こたつの魔力に抗える人間はおりません!!」
「知花は姫を甘やかしすぎだ」

 珍しく知花まで怒られた。
 ぐぬぬと顔を顰めた知花に、今度はソフィアが抱きつきフォローが入る。

「私は甘やかしてくれる知花も好きよ~!!」
「はぁ、天使~!!私も好き~!!」

 抱き合う二人の横を通りすぎ、ヒューズはキッチンへと立つ。

「ほら二人とも夕飯の準備をしますよ。今日はつみれ鍋にしましょう」
「ヒューズ!ねぎと生姜はいっぱい入れて!!」
「お任せください」

 夕飯のメニューに反応し、いつものようにキッチンの前に待機するソフィアを見送ると、知花はもう一度カレンダーを見つめた。

(ヒューズさんが欲しがりそうなものは正直思いつかない。男の人にアクセサリーはなぁ…時計?万年筆とか…?電気使うものは向こうじゃ使えないだろうし…ってなるとアンティーク…?…でも、日常的に使えそうなやつをあげたい…)

 その時知花は閃いた。

(そうだ!!おじいちゃんの残してくれたアレがある!!!!)

「ごめん!!今からちょっと実家帰ってきます!!一時間くらいで戻ります!!」

 突然勢いよくリビングを飛び出した知花を、呆然としたまま二人は見送った。
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