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微笑み23
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ある日のこと、両親が王都の別宅にやって来た。
「シオン!熱が出て寝込んだと聞いたが大丈夫だったかい!?」
「一体いつの話しですか!?」
すでにシオンが寝込んだ日から1ヶ月近く経っていた。
「だって仕事が忙しくて、部下はシオンに会いに行かせてくれなかったんだもん」
良い大人が『もん』って可愛くいってもキモいだけですからね?
「シオンも元気そうで良かったわ♪」
お母様は先日、お城に用事がありここに立ち寄ったのですよね。あの時もシオンエナジー補充と言って私に抱きついて、離してくれなかったと記憶しておりますよ。
「それで、二人してここに来たのはどういったご用なのでしょうか?」
!?
「ガーン!シオンちゃん!親が娘を心配して会いに来てはいけないのかい!?」
口でガーンってあんた………いえ、もういいです。
こういう両親でしたね。せっかく学園に入って親元を離れて独り暮らしを始めたのにね──
(大きな屋敷に侍女と執事と守衛、騎士団がいるのを独り暮らしの定義に入るのか疑問ですが)
「こほん、そろそろ本題に入ろうか」
最初から入ってよ!?
「もうすぐ曾祖母様の命日でな。お城で献花を捧げに来たんだよ」
「えっ!?曾祖母様の命日!?」
「ああ、普通は曾祖母の命日までは献花しないだろうが、何せ曾祖母様はフレイム・ハート家から出たこの国の王妃様になった御方だからな」
「それに、曾祖母様の治世の時代は黄金時代と呼ばれた凪(なぎ)の時代。波風がなく平和が続いた素晴らしい時代を築いてくれたのだ。今でも曾祖母様が起こした業績ははかりしげない」
「お父様!曾祖母様のお話しを聞かせて下さい!」
「ああ、良いだろう。応接室でゆっくり話そう」
「はい!」
私と同じ名前の曾祖母様の武勇伝に興味津々です!応接室に移動した私達はお父様とお母様を向かいにソファーに座り、侍女が用意した紅茶で口を濡らして語り始めた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「今から約80年ほど前の話しだ。曾祖母様は学園の卒業パーティーで冤罪を掛けられた。しかし、そこに当時の王太子殿に助けられ結婚を申込まれたんだ」
「キャー!いつ聞いても素敵ね!」
お母様が年甲斐もなくうっとりしている。
「そして、皆に祝福されて王妃様になった曾祖母様にほどなくして試練が訪れた。エンミリオン王国とは逆隣にある帝国が攻めて来たんだ。どこの国も肥沃な大地のある我が国は魅力的に映るのだろうね」
「総勢3万の大軍が押し寄せてきた時、王妃様も戦場に付いていくと言い出してね」
「曾祖母様は凄い魔導師だったのですか!?それとも剣技が凄かったとか!?」
お父様は軽く首を振り言った。
「確かに曾祖母様は運動神経も良く、学園の成績は良かったそうだが本職の騎士や魔導師には負けるだろうね」
「えっ?どうして………」
「戦場にいくと言った時、涙目で震えていそうだ。だが、それが周りに火を着けたのだ!怖いのを必死に我慢して、国の為、兵の為に立ち上がったと」
「周りの人々も、王妃様の為に~と立ち上がったそうよ」
へぇ~、怖いのを我慢して戦場になんてなかなか出来ないよね。
「シオンの様に、力や魔力が強い者だけではないのだよ。力が無くても必死に頑張ろうとする人に、周りの人々は付いてくるんだ」
お父様の言葉は私の胸に響いた。いつもは親バカな所もあるけど時々カッコいい所もあるんだよね。
「帝国3万の軍に、王国は1万だった。数は劣勢で普通に戦っても負けてしまう。そこで当時の曾祖母様の夫であった王様は焦土作戦に出た。村人を避難させ、井戸や川に毒を入れ、畑など荒らして現地徴収出来ないようにした。多少の非難はあったが、作戦としては効果的で、3万もの兵を養う食糧の調達は難しく、水の調達が出来なくなった帝国軍はすぐに弱体化した。そこを周り込んだ王国軍が背後から強襲して倒したんだ」
3倍の兵力差なのに勝ったんだ!
「敵の士気は低く、こちらは王妃様のおかげで士気は最高潮だったからね。末端の兵ですら鬼神の如く雄叫びを上げながら戦ったそうだ。帝国は一気に3万の兵を失い国自体弱体化した。少し不敬になるが当時の王は腹黒でな。弱体化した帝国を属国や周辺国を煽り帝国を襲わせた。こうして帝国は王国に手を出せなくなったんだ」
うわぁ~
「ちなみに、こちらからも仕返しに帝国に攻め込んでね。隣接する鉱山の領土を奪ったのよ♪まぁ、帝国は鉱山をたくさん持っているから死にもの狂い取り返しには来なかったわ。それどころじゃ無かったのもあるけどね」
「王妃様は兵士に死ぬなと言ったのよ。死んだら泣いちゃいますと言ってね。兵士達は王妃様を泣かせないぞ!と一致団結したので曾祖母様は【涙の王妃】(ティアーズ・クイーン)と呼ばれるようになったのよ♪」
「庇護欲を注がれる王妃様を守るため、その時代の貴族達は一致団結をして国の為に働いた。悪さをする貴族は少く平和な時代が続いたんだ」
「人心掌握術に長けていたのね。もっとも天然だったそうですが」
なんか曾祖母様のイメージが崩れていく。凄いんだか凄くないんだか…………
こうしてシオンは後日、お城に向かうことになるのでした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「ようやく前作の繋がりを書くことが出来た」
シオン
「遅すぎますわ!」
愚者の声
「今回の話は前から作ってあったんだよね。なかなか出せずにすみません」
シオン
「まったく、曾祖母様の二つ名カッコいいですわね」
愚者の声
「貴女にもあるじゃん。【微笑みの令嬢】って……」
シオン
「私も【涙目の王妃】みたいなゴロの良い2つ名が欲しい!」
愚者の声
┐(´∀`)┌
シオン
「ムカつきますわ!」
(゜o゜(☆○=(-_- )゙
愚者の声
「ぐふっ…………【悪役令嬢】………ガクッ」
「シオン!熱が出て寝込んだと聞いたが大丈夫だったかい!?」
「一体いつの話しですか!?」
すでにシオンが寝込んだ日から1ヶ月近く経っていた。
「だって仕事が忙しくて、部下はシオンに会いに行かせてくれなかったんだもん」
良い大人が『もん』って可愛くいってもキモいだけですからね?
「シオンも元気そうで良かったわ♪」
お母様は先日、お城に用事がありここに立ち寄ったのですよね。あの時もシオンエナジー補充と言って私に抱きついて、離してくれなかったと記憶しておりますよ。
「それで、二人してここに来たのはどういったご用なのでしょうか?」
!?
「ガーン!シオンちゃん!親が娘を心配して会いに来てはいけないのかい!?」
口でガーンってあんた………いえ、もういいです。
こういう両親でしたね。せっかく学園に入って親元を離れて独り暮らしを始めたのにね──
(大きな屋敷に侍女と執事と守衛、騎士団がいるのを独り暮らしの定義に入るのか疑問ですが)
「こほん、そろそろ本題に入ろうか」
最初から入ってよ!?
「もうすぐ曾祖母様の命日でな。お城で献花を捧げに来たんだよ」
「えっ!?曾祖母様の命日!?」
「ああ、普通は曾祖母の命日までは献花しないだろうが、何せ曾祖母様はフレイム・ハート家から出たこの国の王妃様になった御方だからな」
「それに、曾祖母様の治世の時代は黄金時代と呼ばれた凪(なぎ)の時代。波風がなく平和が続いた素晴らしい時代を築いてくれたのだ。今でも曾祖母様が起こした業績ははかりしげない」
「お父様!曾祖母様のお話しを聞かせて下さい!」
「ああ、良いだろう。応接室でゆっくり話そう」
「はい!」
私と同じ名前の曾祖母様の武勇伝に興味津々です!応接室に移動した私達はお父様とお母様を向かいにソファーに座り、侍女が用意した紅茶で口を濡らして語り始めた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「今から約80年ほど前の話しだ。曾祖母様は学園の卒業パーティーで冤罪を掛けられた。しかし、そこに当時の王太子殿に助けられ結婚を申込まれたんだ」
「キャー!いつ聞いても素敵ね!」
お母様が年甲斐もなくうっとりしている。
「そして、皆に祝福されて王妃様になった曾祖母様にほどなくして試練が訪れた。エンミリオン王国とは逆隣にある帝国が攻めて来たんだ。どこの国も肥沃な大地のある我が国は魅力的に映るのだろうね」
「総勢3万の大軍が押し寄せてきた時、王妃様も戦場に付いていくと言い出してね」
「曾祖母様は凄い魔導師だったのですか!?それとも剣技が凄かったとか!?」
お父様は軽く首を振り言った。
「確かに曾祖母様は運動神経も良く、学園の成績は良かったそうだが本職の騎士や魔導師には負けるだろうね」
「えっ?どうして………」
「戦場にいくと言った時、涙目で震えていそうだ。だが、それが周りに火を着けたのだ!怖いのを必死に我慢して、国の為、兵の為に立ち上がったと」
「周りの人々も、王妃様の為に~と立ち上がったそうよ」
へぇ~、怖いのを我慢して戦場になんてなかなか出来ないよね。
「シオンの様に、力や魔力が強い者だけではないのだよ。力が無くても必死に頑張ろうとする人に、周りの人々は付いてくるんだ」
お父様の言葉は私の胸に響いた。いつもは親バカな所もあるけど時々カッコいい所もあるんだよね。
「帝国3万の軍に、王国は1万だった。数は劣勢で普通に戦っても負けてしまう。そこで当時の曾祖母様の夫であった王様は焦土作戦に出た。村人を避難させ、井戸や川に毒を入れ、畑など荒らして現地徴収出来ないようにした。多少の非難はあったが、作戦としては効果的で、3万もの兵を養う食糧の調達は難しく、水の調達が出来なくなった帝国軍はすぐに弱体化した。そこを周り込んだ王国軍が背後から強襲して倒したんだ」
3倍の兵力差なのに勝ったんだ!
「敵の士気は低く、こちらは王妃様のおかげで士気は最高潮だったからね。末端の兵ですら鬼神の如く雄叫びを上げながら戦ったそうだ。帝国は一気に3万の兵を失い国自体弱体化した。少し不敬になるが当時の王は腹黒でな。弱体化した帝国を属国や周辺国を煽り帝国を襲わせた。こうして帝国は王国に手を出せなくなったんだ」
うわぁ~
「ちなみに、こちらからも仕返しに帝国に攻め込んでね。隣接する鉱山の領土を奪ったのよ♪まぁ、帝国は鉱山をたくさん持っているから死にもの狂い取り返しには来なかったわ。それどころじゃ無かったのもあるけどね」
「王妃様は兵士に死ぬなと言ったのよ。死んだら泣いちゃいますと言ってね。兵士達は王妃様を泣かせないぞ!と一致団結したので曾祖母様は【涙の王妃】(ティアーズ・クイーン)と呼ばれるようになったのよ♪」
「庇護欲を注がれる王妃様を守るため、その時代の貴族達は一致団結をして国の為に働いた。悪さをする貴族は少く平和な時代が続いたんだ」
「人心掌握術に長けていたのね。もっとも天然だったそうですが」
なんか曾祖母様のイメージが崩れていく。凄いんだか凄くないんだか…………
こうしてシオンは後日、お城に向かうことになるのでした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「ようやく前作の繋がりを書くことが出来た」
シオン
「遅すぎますわ!」
愚者の声
「今回の話は前から作ってあったんだよね。なかなか出せずにすみません」
シオン
「まったく、曾祖母様の二つ名カッコいいですわね」
愚者の声
「貴女にもあるじゃん。【微笑みの令嬢】って……」
シオン
「私も【涙目の王妃】みたいなゴロの良い2つ名が欲しい!」
愚者の声
┐(´∀`)┌
シオン
「ムカつきますわ!」
(゜o゜(☆○=(-_- )゙
愚者の声
「ぐふっ…………【悪役令嬢】………ガクッ」
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