【改稿版】微笑みの悪役令嬢!~微笑むだけで上手くいくものですわ~

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微笑み55

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「はぁはぁ・・・クロウ王子が走って行ったけど、もう終わっちゃった?」

急いできたのかユーリは息を切らせていた。

「もうっ!ユーリ遅いわよ!」
「ごめん、先生に呼ばれて片付けを手伝わされていたのよ~~」

ガックリとユーリは項垂れた。

「あ、そうだ、レオン王子がたまたま近くにいたけど、一応試してみる?」
「レオン王子ですか・・・情報では1番確率の低い婚約者候補でヘタレでしたよね?」

セーラはなんとも言えない顔で言った。

「え、ええ、我が兄ながらキング・オブ・ヘタレの称号を持つ者なのよね~」

なに!それ!!???

「私も話を聞く限り、セーラさんのお兄様は『ない』と思っているのですが・・・」
「でも、シオン様と義姉に、家族になれるのは捨て難いのよね~」

「確かに私もセーラお姉様と家族になるのは嬉しいですが・・・う~ん?」

どうしようかと考えているとユーリが行動を起こした。

「とりあえず全員を試した方が後から、抜き打ちのテストだったって言い訳できるでしょっ?そっちの方が楽し・・コホンッ!そっちの方が公平でしょう?ここに連れてくるわ♪」

そういうとユーリは走って出て行った。

「あ、ちょっと!?」

止める間もなく行ったユーリに軽くため息をつくとセーラはリンに言った。

「うちの兄でも遠慮なくやって良いからね。でも前も言ったけどやり過ぎ禁止でね」
「了解です♪」

屋上の建物の影に隠れると、ユーリはすぐにレオン王子を連れてきた。

「本当に屋上にシオンがいるのか?今日は早く帰ったと思ったが?」
「良いから!そのシオンが内密の話があるって言っているんだから、つべこべ言わずに着いてきなさい!」

ユーリは王子相手でも言いたい放題である。

「シオン~連れてきたよ~」
「本当にいた・・・」

警戒していたのか呟くように言った。

「じゃ、私はもう帰るから、後は2人でね~」

!?

「えっ、ちょっ!?」

『おかしい。この、からかう事の大好きなユーリがこのまま帰るだと?』

レオンは気づかれないよう警戒心を上げた。

「レオン王子、お待ちしておりました」

ユーリが居なくなるの待ってからリンが話しかけた。

「それで自分に話とはなんだい?」

尋ねるとリンはレオン王子の胸に飛び込んで抱きついた。

「ようやく2人っきりですね」
「えっ?シオン???」

状況が飲み込めず動揺するレオンにリンは畳み掛けた。

「私、ずっとレオン様の事が気になっていたのです。レオン様の気持ちをお聞かせ下さいませんか?」

ウルウルと上目遣いで見上げるリンにレオンは───

「・・・誰だお前は?」

!?

レオンはバッとリンを引き剥がすと後ろに下がり、手に炎を纏わせた。

「ユーリの悪戯だと思うが、シオンに変装するとは・・・流石に度が過ぎるぞ!」

ゴゴゴゴッッ!!!!!!

「正体を表せ!でないと痛い目を見ることになるぞ!!!」

レオンの怒りに、手の上に出した炎も大きくなっていった。

「な、なにを言っているんですか!?私はシオン──」

「黙れ!遠目ではわからなかったが、ここまで近づけば流石に気づくぞ!シオンに変装してハニートラップを仕掛けたつもりだろうが、俺の大事な人に化けるとは、余り俺を怒らせるなよ?」


『ヒッ!?これのどこがヘタレキングなんですか!?完璧にこちらの思惑に気づいているじゃないっ!』

リンは余りの恐怖に後ろに後ずさった。

「「そこまでーーーーーー!!!!!!!!」」

ユーリとセーラが飛び出してレオンを止めるのだった。

「お兄様!ごめんなさい!ちょっとした悪戯だったの。それにこの子はシオンの妹さんのリンちゃんで、シオンの家族なの!許してください!」
「ごめんなさい!悪ノリが過ぎました。反省しているから炎を消して!」

リンちゃんを庇って、レオンの目の前で頭を下げる2人にレオンもシオンの妹とは予想外であり、固まってしまった。

「えっ?シオンの妹!!!?」

な、なるほど。
それなら似ているのも頷ける。

レオンは深呼吸をしてから声をかけた。

「はぁ~、悪かったよ。怒りすぎたな。大丈夫か?」

涙目になっているリンも、恐る恐るレオンに視線を合わせた。

「ごめんなさい・・・」

今回は流石のリンも恐怖を感じて素直に謝るのだった。
ただ・・・・

『ちょっとカッコいいかも♪』

別の意味で問題が発生しそうだった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】

愚者の声
「クククッ、順調にラブコメが進んでいるね!」

シオン
「ほう?」

愚者の声
「これからシオンを放っておいて、妹ちゃんがメインで話を進めていけば・・・・」

シオン
「ほうほう?」

愚者の声
「ハッ、い、いや、これからはシオンの活躍も作っていかないとなぁ~」

シオン
「それはいつからかしら♪」

逃っーーー!!!!!?

シオン
「待ちなさーい!」

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