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閑話
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シオンが四大精霊のウンディーネと契約を結んだと言う話は大陸中を駆け巡った。
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とある一室にて─
「なんだと!?もう一度報告せよ!」
リュミナス王国の一件を、母国に報告した使者は再度、上官に伝えた。
「先の王族主催の夜会にて、大量の貴族達が断罪され処罰されました。しかも、その殆どが我が国の工作により、ギャンブルなどで借金を作らせ、弱味を握っていた調略済みの貴族達でした!」
ワナワナ…………
怒りで身体を震わせている上官に、使者は身体を縮ませていた。
「………王国を攻め落とす為に何年も掛けてバカな貴族達を堕落させ、治安を悪くさせてこれからって時だったんだぞ!どれだけの時間と金を注ぎ込んだと思っている!?」
資金としては、弱味を握られた貴族達は領民から税率を上げて絞り取り、借金の返済に充てていたので、資金に関しては取り戻していたのだが、この作戦は10年以上の長期に及ぶリュミナス王国全体への調略であったのだ。無駄にした時間に対して、上の『御方』は決して許さないだろう。
「どうすれば…………このままでは私の命も無いぞ!?」
焦る上官に、使者は続けた。
「申し上げます。事はそう単純なことではないのです!」
「どういうことだ?」
使者が話した内容は信じがたい事であった。
「なっ!?お前、嘘を申すな!そんなバカなことが有り得るわけなかろうが!」
四大精霊の一柱(ひとはしら)であるウンディーネが王城の夜会に現れただと?しかも、五歳の少女が契約者であり王家と同盟を結んでいる?
有り得ぬ!!!
人よりも上位の存在が、一国に肩入れするなど…………!?
いや、待てよ?もし本当の話であるなら、どうしようもない事態と言う事で言い訳が立つ!
自分の命に関わる事で、必死に頭を捻らせる上官は使者に言った。
「お前の話はわかった。しかし、事が事だ。複数の証言が欲しい。ほかからの情報も含めて精査してから本国へ報告する。お前は引き続き四大精霊について探るのだ」
はっ!と言って使者はその場を後にした。そしてその場には上官のみ残った。
「四大精霊か………下手を打てば破滅だが、上手く契約者を懐柔出来れば………クククッ!」
こうして、リュミナス王国を滅ぼす計画は、四大精霊を手に入れる作戦へと変更されるのであった。
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別の国では─
「なに?」
王国から急ぎ戻った外交官に、その主人はもう一度報告させた。
「はっ!リュミナス王国にて、他国の使者として王族主催の夜会に参加した時でした。パーティーの最後に大勢の貴族が断罪され、更には四大精霊のウンディーネが現れ、王族と同盟関係にあるような事を申しておりました」
むぅ…………この場にいる主人は腕を組み、口を開いた。
「四大精霊は明確に同盟と口にしたのか?」
「いえ、四大精霊と契約を結んでいるのは、僅か五歳の少女でした。名をシオン・シルクードと言っておりました。その少女の後見人として王族が介入しているようでした」
その報告を聞いた主人は─
「クククッ……はーはははは!これは愉快よ!まさか四大精霊と契約を結んだのが五歳の少女とはな?あの生臭坊主共の策略にまんまと引っ掛かっておった間抜けな国王が、こんなジョーカーを隠しておったとはな!」
機嫌のよい主人に、外交官だった『諜報員』は尋ねた。
「我が主、グラン・ガイア皇帝陛下、如何致しましょうか?」
「まずは情報を集めよ!いくらでも金と人を使え!我が名において許可する!絶対に生臭坊主共に後れを取るでないぞ!」
かしこまりました。と言って外交官の姿を捨てた諜報員は音もなくその場から消えていった。
「四大精霊か…………是非とも手に入れたいものよ。確か、シオン・シルクードと言ったな?シルクード………かつて英雄が統治していた場所だったのぅ?」
誰にも聞こえる事のない声で呟くのだった。
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更に別の国では─
「御報告致します!リュミナス王国で四大精霊の一柱であるウンディーネ様が顕現されたと報告がありました!
」
「!?」
報告によると、王族の夜会にてウンディーネ様が現れ、不正を行っていた貴族達の断罪に手を貸したという。
「リュミナス王国は数少ない亜人を受け入れてくれている同盟国だ。最近は貴族の堕落が目に付いたが国王はまともな御方だった」
報告を受けたエルフの責任者は少し考えて伝えた。
「可能な限り情報収集に努めなさい。時期が来たら正式な使者を送りましょう」
責任者の言葉に報告した者は尋ねた。
「すぐに使者を出さなくてよろしいのでしょうか?世界樹が枯れてきているというのに」
亜人国はエルフや獣人、ドワーフと言った多種族の国家だ。その中央にある世界樹と呼ばれる千年樹が枯れてきている。大きな世界樹が枯れれば、豊富な薬草の採取や食料生産などの恩恵を受けている亜人達は致命的なダメージを受けるのだ。
「我々の守護者である四大精霊の一柱である『シルフィード様』が姿を現さなくなって久しい。同じ四大精霊のウンディーネ様に尋ねれば何か分かるかも知れないが…………他国に世界樹の問題を知られるのはまずい!まずは確実に協力を受けられる状況を作りたいのです」
「かしこまりました!」
報告者は責任者の意を汲み取りその場を立ち去り、すぐに人手を集めるのだった。
こうして、大陸全土に波紋が広がって行くことにシオンは気付いていなかった。
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とある一室にて─
「なんだと!?もう一度報告せよ!」
リュミナス王国の一件を、母国に報告した使者は再度、上官に伝えた。
「先の王族主催の夜会にて、大量の貴族達が断罪され処罰されました。しかも、その殆どが我が国の工作により、ギャンブルなどで借金を作らせ、弱味を握っていた調略済みの貴族達でした!」
ワナワナ…………
怒りで身体を震わせている上官に、使者は身体を縮ませていた。
「………王国を攻め落とす為に何年も掛けてバカな貴族達を堕落させ、治安を悪くさせてこれからって時だったんだぞ!どれだけの時間と金を注ぎ込んだと思っている!?」
資金としては、弱味を握られた貴族達は領民から税率を上げて絞り取り、借金の返済に充てていたので、資金に関しては取り戻していたのだが、この作戦は10年以上の長期に及ぶリュミナス王国全体への調略であったのだ。無駄にした時間に対して、上の『御方』は決して許さないだろう。
「どうすれば…………このままでは私の命も無いぞ!?」
焦る上官に、使者は続けた。
「申し上げます。事はそう単純なことではないのです!」
「どういうことだ?」
使者が話した内容は信じがたい事であった。
「なっ!?お前、嘘を申すな!そんなバカなことが有り得るわけなかろうが!」
四大精霊の一柱(ひとはしら)であるウンディーネが王城の夜会に現れただと?しかも、五歳の少女が契約者であり王家と同盟を結んでいる?
有り得ぬ!!!
人よりも上位の存在が、一国に肩入れするなど…………!?
いや、待てよ?もし本当の話であるなら、どうしようもない事態と言う事で言い訳が立つ!
自分の命に関わる事で、必死に頭を捻らせる上官は使者に言った。
「お前の話はわかった。しかし、事が事だ。複数の証言が欲しい。ほかからの情報も含めて精査してから本国へ報告する。お前は引き続き四大精霊について探るのだ」
はっ!と言って使者はその場を後にした。そしてその場には上官のみ残った。
「四大精霊か………下手を打てば破滅だが、上手く契約者を懐柔出来れば………クククッ!」
こうして、リュミナス王国を滅ぼす計画は、四大精霊を手に入れる作戦へと変更されるのであった。
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別の国では─
「なに?」
王国から急ぎ戻った外交官に、その主人はもう一度報告させた。
「はっ!リュミナス王国にて、他国の使者として王族主催の夜会に参加した時でした。パーティーの最後に大勢の貴族が断罪され、更には四大精霊のウンディーネが現れ、王族と同盟関係にあるような事を申しておりました」
むぅ…………この場にいる主人は腕を組み、口を開いた。
「四大精霊は明確に同盟と口にしたのか?」
「いえ、四大精霊と契約を結んでいるのは、僅か五歳の少女でした。名をシオン・シルクードと言っておりました。その少女の後見人として王族が介入しているようでした」
その報告を聞いた主人は─
「クククッ……はーはははは!これは愉快よ!まさか四大精霊と契約を結んだのが五歳の少女とはな?あの生臭坊主共の策略にまんまと引っ掛かっておった間抜けな国王が、こんなジョーカーを隠しておったとはな!」
機嫌のよい主人に、外交官だった『諜報員』は尋ねた。
「我が主、グラン・ガイア皇帝陛下、如何致しましょうか?」
「まずは情報を集めよ!いくらでも金と人を使え!我が名において許可する!絶対に生臭坊主共に後れを取るでないぞ!」
かしこまりました。と言って外交官の姿を捨てた諜報員は音もなくその場から消えていった。
「四大精霊か…………是非とも手に入れたいものよ。確か、シオン・シルクードと言ったな?シルクード………かつて英雄が統治していた場所だったのぅ?」
誰にも聞こえる事のない声で呟くのだった。
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更に別の国では─
「御報告致します!リュミナス王国で四大精霊の一柱であるウンディーネ様が顕現されたと報告がありました!
」
「!?」
報告によると、王族の夜会にてウンディーネ様が現れ、不正を行っていた貴族達の断罪に手を貸したという。
「リュミナス王国は数少ない亜人を受け入れてくれている同盟国だ。最近は貴族の堕落が目に付いたが国王はまともな御方だった」
報告を受けたエルフの責任者は少し考えて伝えた。
「可能な限り情報収集に努めなさい。時期が来たら正式な使者を送りましょう」
責任者の言葉に報告した者は尋ねた。
「すぐに使者を出さなくてよろしいのでしょうか?世界樹が枯れてきているというのに」
亜人国はエルフや獣人、ドワーフと言った多種族の国家だ。その中央にある世界樹と呼ばれる千年樹が枯れてきている。大きな世界樹が枯れれば、豊富な薬草の採取や食料生産などの恩恵を受けている亜人達は致命的なダメージを受けるのだ。
「我々の守護者である四大精霊の一柱である『シルフィード様』が姿を現さなくなって久しい。同じ四大精霊のウンディーネ様に尋ねれば何か分かるかも知れないが…………他国に世界樹の問題を知られるのはまずい!まずは確実に協力を受けられる状況を作りたいのです」
「かしこまりました!」
報告者は責任者の意を汲み取りその場を立ち去り、すぐに人手を集めるのだった。
こうして、大陸全土に波紋が広がって行くことにシオンは気付いていなかった。
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