悪徳領主の娘に転生しました。貧乏領地を豊かにします!

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奇跡の力!そして─

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半透明の女性はシルフィードであった。

「うそ………シルフィードなの?」

ノームが呟いた。

『………私はシルフィードの精霊力の残りカス。思念体の様なもの。すぐに消えてしまうわ。お願い、私はもう死んで全ての力をクイーン・アントに奪われた。もう生まれ変わる事も出来ないわ。お願い、私の眷属に力を与えて新しいシルフィードとして、四大精霊の一柱に加えて欲しいの。世界のバランスを保つ為に、四大精霊を欠けさせる訳にはいかないから』

!?

「あなた…………」

『そこの少女がクイーン・アントにダメージを与えてくれたから、クイーン・アントの支配力が弱まり、最後の力で伝える事ができたの。ありがとう………そしてごめんなさい』

シルフィードはすぐに消えそうだった。

「ま、待て!消えるでない!妾はもっとお主と語り合いたい事があるのじゃぞ!」

ウンディーネも駆け寄るが、シルフィードの姿はどんどん薄くなっていった。

『ヤバイ!どうする!考えるのよ!?私!唸れ!私の脳内エナジーよ!!!』

なにかないの!?シルフィードを救う方法が!
…………!?

そういえば!

『私の眷属に【力を与えて】新しいシルフィードとして─』

そうだよ!精霊力の残りカスって言ったけど、契約して魔力を供給すれば!?

シオンは消えそうなシルフィードに指を切ってその血を無理やり口に押し込んだ!

「シオン!何を!?」

「我が名はシオン・シルクード!四大精霊の契約者である!シルフィード!私と契約して!!!!」

突然、シルフィードの姿が眩しく光だした。

「くっ!?何が起こったのじゃ!」

シルフィードの姿が完全に光に溶け込み、地面から植物が生えてシルフィードを覆った。

「シオン!」
「違う!?私は緑聖魔術を使っていないわ!」

植物に覆われたシルフィードは全身が見えないくらい覆われていたが、眩しい光は漏れだしていた。

そして─

その光がまたクイーン・アントの頭にあるクリスタルへと戻っていった。

バッリーーーーン!!!!!

クイーン・アントのクリスタルが突然割れた。

「クイーン・アントーーーーーー!!!!!」

苦しんでいるクイーン・アントを治療しようと、ポーションなど与えていたベルゼブブが絶叫した。

「…………まさか、生き返れるなんて思っていなかったわ」

そこにはシオンと同じぐらいの少女が現れた。先ほどは、ウンディーネ達のようなお姉さん系の姿だったが、今は10歳前後の少女の姿である。
髪は薄い緑色で、腰まである長い髪が特徴であった。眼はつり目であったが、優しい感じが伝わってくる。

「シル………フィードなの?」
「ええ、本当にありがとう。力不足で姿は縮んでしまったけど、生き返る事ができたの。世界樹が力を貸してくれたのよ」

「世界樹が!?」
「生命の樹とはよくいったものじゃ。まさか四大精霊をも復活させる事ができるとは………」
「シオンの魔力と世界樹に溜められた精霊力(生命力)が合わさり奇跡が生まれたということかも知れないわ!?」

よかったーーーーー!!!!!消えそうだったから、血がすり抜けたらどうしようかと思ったよ!

「は、ははは……………本当にシオンは規格外だよね」
「本当じゃ…………本当に感謝しかないのぅ………」

ウンディーネとノームは涙を流していた。

「ウンディーネ、ノーム、素晴らしい契約者に廻り合えたわね。私も仲間に入れて貰えるかしら?こんな姿ではあるけれど」

二人はシオンを見て─

「「もちろん!!!」」

こうして、シオン達は目的を果たすことに成功したのだった。








「さて、ベルゼブブ!年貢の納め時よ!」

ぐったりしているクイーン・アントをよそに、ベルゼブブに詰め寄るシオン達。

「ふ、ふふふふ…………よくも長年の成果であるクイーン・アントを…………許さん……許さんぞーーーー!!!!」

ベルゼブブの魔力が上がっているのがわかった。ベルゼブブの姿が『金色』に変化し何かオーラの様なものが見えていた。

「…………腐っても四天王というだけはあるわね」

なかなか油断できないほどの魔力であった。あの姿は本気モードなのだ!

「貴様ら全員ぶっ殺してやる!チリも残らず皆殺しだ!!!!!」

キレて口調が変わった。本来の素に戻ったのだろうか?
その時、クイーン・アントも起き上がったのだ。

「おおっ!流石は私の最高傑作です!よし、遊びはここまでです!本気で奴らを皆殺しにしなさい!」

ベルゼブブはクイーン・アントに命令した。

グルルルルルッ………………

「お前達も楽に死ねるとはおも─」

はっ?

グチャリ!

!?

グチャグチャ……………

なんと!クイーン・アントがベルゼブブを食べてしまった!?
余りの出来事に、シオン達は呆気に取られて見ている事しか出来なかった。

「えっ、どうして…………?」

誰もその質問に答えれなかった。突如として主人であるベルゼブブを喰ったクイーン・アントはシオン達を睨み付けると襲い掛かった!

「速い!!!」

クイーン・アントは大きな口で喰い殺そうと噛んできた!

ガッチーーーン!!!!

なんとか避けるとノームが魔法を放った!

「精霊魔術『土壁』!」

クイーン・アントの周囲に石の壁が現れ、動きを止めた!

「時間を稼いで!必殺技をだすから!」

シオンが叫んだ!

「了解じゃ!」

ベルゼブブの力を取り込んだクイーン・アントにはフィトンチッドは効きそうになかった。耐久性が上がったのだろう!パワーアップしたクイーン・アントはノームの石壁を壊して前に出ようとしたが、ギルド長が船の時にやったように大きな岩を弾丸の様に投げた!

ドッカーーーン!!!!

グギャッ!!!!

多少の打撃ではびくともしなかったクイーン・アントが痛がった。

「今じゃ!リヴィ!合わせるのじゃ!精霊魔術『水蛇』!」
「動きを封じるのね!水魔術『水流縛』!」

似たような技でクイーン・アントを封じ込める。しかしここで、クイーン・アントも魔術を使った!

「まずい!また風魔法がくるぞ!」

そこに、シルフィード(少女)が前に出た。

「私に任せて!」

シルフィードはクイーン・アントが集めた風を散らせた!

「私の力を扱えても、ただ放つだけなのね。風魔法の真髄は補助魔法にて真価を発揮するのよ?」

同じ風魔法を使い周囲の風をジャミングして、魔法を無効化したのだ。

「準備は整った!」

シオンが叫ぶとシオンの足元には巨大な魔方陣が浮かび上がっていた。






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