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決戦前に──
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これから書き上がったらすぐに投稿していきます。
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近付くほどに異質な気配が強くなっていった。
近くで仕事をしていたメイドや執事達は気分が悪そうに、通路で倒れている者もいるほどだった。
「大丈夫。この悪質な魔力に当てられていただけよ。後ろにいる騎士達に運ばせて下さいな」
蒼さんの診断に国王様はすぐに指示を出した。
「ここまでくれば一般のメイドなどを装って逃げる事は無さそうね」
「ええ、でも【次善の策】は用意しておきましょう。質の悪い呪いみたいですので」
蒼さんとアクアは悪役令嬢のような恐い顔をしながらコソコソッと話し合った。
「おや………国王陛下!この先の部屋は──」
「………ああ、クロウの部屋だな」
!?
ライトの1歳年下の弟さんだよね!
慎重に進んでいく最中にフィーネが声を掛けた。
「国王様。疑問に思っていたのですが、ライト王子に毒物を与えていた第2王子クロウ王子と側妃様に罰を与えなかったのですか?」
そう証拠の毒物の飴玉も押収しているのにどうしてだろうと思っていたんだよね。
「表立っては与えていなかったが、側妃にはすでに罰は与えている。実家を中央から遠ざけ、発言権と権力を失わせた。拒否すれば王族に毒を盛ったと言うことで一族連座で処刑にすると伝えた上でな。側妃はここ数年は病床と言うことで部屋で軟禁にしてある」
こわっ!?
意外にヘヴィな案件だった!?
青くなったシオンにライトが優しく声を掛けた。
「シオンは優しいからこんな血なまぐさい話を聞かせたくなかったんだよ」
「うん………」
その後、宰相さんが言葉を挟んだ。
「クロウ王子についてはまだ子供と言う事で、アークモン侯爵家の息の掛かっていない教師達に再教育を施していました。ただ──」
宰相さんが言いにくそうに言葉を濁した。
「クロウはこの王城で秘密裏に仲間を増やしていった。表向きはとくに問題のない事になっていたからな。こちらの密偵をヤツに近付け、内情を探っていた。どうやら、ライトが学園に入学して居なくなったこの時期を見計らって、大々的に動いていたようだ」
「側妃の権力がなくなってはそんなに仲間の勧誘が上手くいくとは思えないのですが?」
そうだよね。美味しい思いができないと集まらないよね?
「それがそれなりの仲間………クロウを推す者が出てきております。どうやらクロウ王子には魔法の才能が並外れてあるようで、クロウ王子の魔法の才能を推しているそうです」
「アイツにそんな才能が………」
ライトは少し驚いた様に呟いた。ライトも才能がない訳ではない。ライトは努力家の人だ。苦手な事でも何度も繰り返して覚えていく真面目な所は好ましいと思っているのよ。
最近、カッコよくなったし、真面目な青少年って私の好みなのかも?
シオンがそう思っていると蒼さんや紅さんまで驚いた顔でシオンを見た。
「えっ?どうしたの?」
突然シオンの方を振り返った蒼さん達に首を傾げるシオンだった。
「いいえ、別になんでもないわよ♪」
『これはライト王子の一途な想いが実ったのかしら♪』
『シオンはお子ちゃまだからな。まだその気持ちに気付いていないだろう。でも脈がない訳では無さそうだな』
『まだジーク君もいるし、まだまだ楽しめそうね』
恐ろしい事に、この伝説の生き物達は人間の思考が読めるのだ。
決戦前だと言うのにニマニマされる居心地の悪いシオンだった。
そして、クロウ王子の部屋に辿り着いたのでした。
「開けるぞ」
紅さんが危険がないか扉を開けた。
!?
ドーーーーーン!!!!!!
扉を開けると同時に火炎魔法が飛んできて紅さんに着弾したのだった。
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近付くほどに異質な気配が強くなっていった。
近くで仕事をしていたメイドや執事達は気分が悪そうに、通路で倒れている者もいるほどだった。
「大丈夫。この悪質な魔力に当てられていただけよ。後ろにいる騎士達に運ばせて下さいな」
蒼さんの診断に国王様はすぐに指示を出した。
「ここまでくれば一般のメイドなどを装って逃げる事は無さそうね」
「ええ、でも【次善の策】は用意しておきましょう。質の悪い呪いみたいですので」
蒼さんとアクアは悪役令嬢のような恐い顔をしながらコソコソッと話し合った。
「おや………国王陛下!この先の部屋は──」
「………ああ、クロウの部屋だな」
!?
ライトの1歳年下の弟さんだよね!
慎重に進んでいく最中にフィーネが声を掛けた。
「国王様。疑問に思っていたのですが、ライト王子に毒物を与えていた第2王子クロウ王子と側妃様に罰を与えなかったのですか?」
そう証拠の毒物の飴玉も押収しているのにどうしてだろうと思っていたんだよね。
「表立っては与えていなかったが、側妃にはすでに罰は与えている。実家を中央から遠ざけ、発言権と権力を失わせた。拒否すれば王族に毒を盛ったと言うことで一族連座で処刑にすると伝えた上でな。側妃はここ数年は病床と言うことで部屋で軟禁にしてある」
こわっ!?
意外にヘヴィな案件だった!?
青くなったシオンにライトが優しく声を掛けた。
「シオンは優しいからこんな血なまぐさい話を聞かせたくなかったんだよ」
「うん………」
その後、宰相さんが言葉を挟んだ。
「クロウ王子についてはまだ子供と言う事で、アークモン侯爵家の息の掛かっていない教師達に再教育を施していました。ただ──」
宰相さんが言いにくそうに言葉を濁した。
「クロウはこの王城で秘密裏に仲間を増やしていった。表向きはとくに問題のない事になっていたからな。こちらの密偵をヤツに近付け、内情を探っていた。どうやら、ライトが学園に入学して居なくなったこの時期を見計らって、大々的に動いていたようだ」
「側妃の権力がなくなってはそんなに仲間の勧誘が上手くいくとは思えないのですが?」
そうだよね。美味しい思いができないと集まらないよね?
「それがそれなりの仲間………クロウを推す者が出てきております。どうやらクロウ王子には魔法の才能が並外れてあるようで、クロウ王子の魔法の才能を推しているそうです」
「アイツにそんな才能が………」
ライトは少し驚いた様に呟いた。ライトも才能がない訳ではない。ライトは努力家の人だ。苦手な事でも何度も繰り返して覚えていく真面目な所は好ましいと思っているのよ。
最近、カッコよくなったし、真面目な青少年って私の好みなのかも?
シオンがそう思っていると蒼さんや紅さんまで驚いた顔でシオンを見た。
「えっ?どうしたの?」
突然シオンの方を振り返った蒼さん達に首を傾げるシオンだった。
「いいえ、別になんでもないわよ♪」
『これはライト王子の一途な想いが実ったのかしら♪』
『シオンはお子ちゃまだからな。まだその気持ちに気付いていないだろう。でも脈がない訳では無さそうだな』
『まだジーク君もいるし、まだまだ楽しめそうね』
恐ろしい事に、この伝説の生き物達は人間の思考が読めるのだ。
決戦前だと言うのにニマニマされる居心地の悪いシオンだった。
そして、クロウ王子の部屋に辿り着いたのでした。
「開けるぞ」
紅さんが危険がないか扉を開けた。
!?
ドーーーーーン!!!!!!
扉を開けると同時に火炎魔法が飛んできて紅さんに着弾したのだった。
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