善〈ロウ〉ルートから悪〈カオス〉ルート、運命を誘導する者

序章

騎士団昇級試験2

頭の中が真っ白になった。膨大な情報が１度に入ってきたため頭が痛い・・・一体何だったのだろうか？突然の事に何が起きたのか把握出来ていなかった。

「頭が痛い…クラクラする」

まともに立っていられなくなり膝を付いていた。少し座り込み5分ほどして、ようやく落ち着いてきたので状況を確認して見た。突然、頭に入ってきた情報は前世の記憶だ。俺は地球の日本に産まれた日本人だ。いや、だったと言うべきか？
名前は山田太郎…ではなく、「鈴木秋人すずきあきと」日本で5番目以内には多い名字だ。確か高校生で１つ下の妹がいる四人家族だった。ん・・？俺、高校生だったよな？大人になって就職して、結婚して、子供がいるーそんな記憶は無い・・高校生までの記憶があるだけだ・・

「思い出せない・・俺は高校生の時に死んだのか？」

今の自分はこの世界で生まれて16年間この世界で生きてきた記憶がある。だけど、前世の記憶が戻ったせいでどうも存在が曖昧な感じがする。この世界で生きてきたというより、日本からやって来たイメージだ。この世界が中心では無く、異世界にやって来た…そういう感じだ。
前世と名前が似てるのも何かしら関係があるのかもしれない。割りとある名前ではあるがー
うん、少し落ち着いてきたので考える余裕が出てきたようだ。
「普通の小説なら女神様がチートスキルとかくれるはずなんだがそんな記憶も無いしな・・意外と地球で死んだらここに来るのかな？」

まぁ、そんな事は無いだろう。前世の記憶を頼りに、もっと文明が栄えててもいいしな。
さて、そろそろ戻るか・・いつまでもここに居ても仕方がない。騎士団にはこの場所の事も伝えなければならないしね。踵を返し、入口に戻ろうとすると異変が起きた！

部屋の中央に黒い円球の物体が現れ少しづつ大きくなって来た。物体は静かな音を立てながら確実に形作っていく。ブラックホール見たいな感じでパッと見でヤバい事が分かる。

「何か・・出てくる！？」

黒い球体から緑色の腕が出てきた！腕と言っても爬虫類見たいな感じでどんどん全体的に出てくるとそれはー

グォォォーー！！！！

俗に言うドラゴンが出てきた。体長は5メートルぐらいで大きいと言うべきか、小さいと言うべきか…ただ、ここはダンジョンの１部屋ひとへやであり、他の場所より広いと言っても逃げ場がない。それに小型だと素早く動ける個体だと厄介だ。そもそも騎士見習い１人でドラゴンと戦うなんて無理だ！！！
逃げたくても出口はドラゴンの向こう側だしな。部屋の隅から移動しながら逃げるしかない！
俺は即座に行動に移そうとしたとき、意外にも声が聞こえた。

「理ことわるに背く者に裁きを与えん！」

理に背く？俺が狙いなのか・・？しかもあの物言い・・転生者だと知っている！？混乱する中、ドラゴンに尋ねる。

「ちょっと待ってくれ！俺は偶々たまたまここに迷い込んだだけで何もしていない！ここにあるオーブも触っただけで持ち出そうとはしていないので、怒りを静めてくれ！」

俺は必死に叫んだがドラゴンからの返答は冷酷な者だった。

「ここは選ばれし者しか入る事が出来ぬ聖域である。我が主が神を退け・・・・この聖域を封印していたのだ。故に、ここに入れる者を排除するのが我の使命である」

話す事はもう無いと言うようにドラゴンは襲い掛かって来た。
「くそ！やるしかないのかよ！！」

剣を構え、食い殺そうと突進しながら牙をむくドラゴンを横に飛び去り何とか避ける。するとオーブが大事なのかオーブの祭壇に傷を付けないよう寸前でドラゴンが止まった。

○○○
●○○入口
◎○○

敵●
自◎

今なら入口に向かって走れば逃げれる！ドラゴンが体勢を直す前に入口に向かって全力で走った。剣を構えたがまともに戦って勝てる相手ではないのだ。このまま逃げるしかない！
走って入口に向かうと後ろから熱い熱気を感じ振り返るとドラゴンがブレスを吐いた