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過去編
帰還
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砦を奪還して、すぐに状況確認に入った。
比較的に傷の負っていない兵士達に城門や城壁の修理をさせて、傷付いた者達は手厚い治療が行われた。
「負傷者の状況はどうなっている?」
カイルの問い掛けに将軍が答えた。
「はい、エルザ王国軍との死傷者の数は最終的にほぼ同数でしたが、怪我人の数は我が軍の方が倍近く多いですな」
それはそうだ。
数で勝っていたとはいえ、砦側の方が有利なのだ。
「そうか、後で私も見舞いに行こう」
「それは良いですな。兵士達も喜びます」
将軍が頷いた所で本題に入った。
「では、将軍の見解を聞かせて貰いたい。エルザ王国軍は、再度攻めて来ると思うか?」
砦を奪還したとはいえ、怪我人はこちらの方が多いのだ。エルザ王国軍は本国に余力の戦力が残っている。怪我人ばかりのアガレス軍に対抗できるか心配だった。
「斥候の話を聞いて熟考させて頂きますと、その可能性は低いかと存じます」
「なに?それはどうしてだ?」
城門も直っていない今が奪還する絶好の機会であろう?どうして攻めてこないと思う?
「エルザ王国軍の国境には5千の兵士が詰めておりました。我々が砦攻めをしている時に後ろから攻めて来られたら負けてました」
!?
驚くカイルに将軍は淡々と続けた。
「しかし、敵の援軍は来ませんでした。敵も一枚岩ではないと言うことです。無論、絶対ではありませんが、すぐにと言うことはないでしょう」
将軍に理由を説明してもらいカイルも納得したのだった。
「それで、カイル皇王陛下には1度、王都へ戻って頂こうと思います」
「待て!それはまだ早いだろう?砦を奪還したばかりで、怪我人も多い。今、ここを離れて万が一エルザ王国軍が攻めてきたら耐えられないぞ!?」
「いえ、確かにエルザ王国軍が絶対に攻めて来ないとは言えません。しかし、砦を奪還した事で、カイル皇王陛下の戦果は十分に果たしました。今なら怪我人と一緒に王都の兵士と入れ替えに帰還すれば、対面は問題なく保たれます」
カイルは迷った正直にいえば、戻ってシオンを抱き締めたい。産まれたばかりの子供達にも会いたいと思った。
「…………すまない。将軍の好意に甘えさせてもらう」
「皇王陛下はもう少し我々を頼って頂きたいですな。まぁ、援軍の到着まで砦を死守出来なかった軍人を信用出来ないと言うのもわかりますが、それでも人に頼る事も時には大事だと言う事を覚えて置いて下さい。これは老婆心からの忠告ですぞ」
カイルはわかった。感謝すると言って将軍と堅く握手を交わした。
こうしてカイルは1年と半年ぶりに王都へ帰還する事になった。
すでに早馬で砦奪還は知られており、大勢の歓声の中でのパレードの凱旋となった。
「カイル!よくご無事で!?」
王城へ帰還するとシオンが出迎えて、お互いに抱き締め合った。
「ただいま」
「ええ、お帰りなさい」
人目を気にせずしばらく抱き締め合った二人は、次に子供達とあった。
「子供が成長するのは早いなもう立つことができるのか」
カイルは本当に戻って来れたんだと心から安心出来たのだった。
比較的に傷の負っていない兵士達に城門や城壁の修理をさせて、傷付いた者達は手厚い治療が行われた。
「負傷者の状況はどうなっている?」
カイルの問い掛けに将軍が答えた。
「はい、エルザ王国軍との死傷者の数は最終的にほぼ同数でしたが、怪我人の数は我が軍の方が倍近く多いですな」
それはそうだ。
数で勝っていたとはいえ、砦側の方が有利なのだ。
「そうか、後で私も見舞いに行こう」
「それは良いですな。兵士達も喜びます」
将軍が頷いた所で本題に入った。
「では、将軍の見解を聞かせて貰いたい。エルザ王国軍は、再度攻めて来ると思うか?」
砦を奪還したとはいえ、怪我人はこちらの方が多いのだ。エルザ王国軍は本国に余力の戦力が残っている。怪我人ばかりのアガレス軍に対抗できるか心配だった。
「斥候の話を聞いて熟考させて頂きますと、その可能性は低いかと存じます」
「なに?それはどうしてだ?」
城門も直っていない今が奪還する絶好の機会であろう?どうして攻めてこないと思う?
「エルザ王国軍の国境には5千の兵士が詰めておりました。我々が砦攻めをしている時に後ろから攻めて来られたら負けてました」
!?
驚くカイルに将軍は淡々と続けた。
「しかし、敵の援軍は来ませんでした。敵も一枚岩ではないと言うことです。無論、絶対ではありませんが、すぐにと言うことはないでしょう」
将軍に理由を説明してもらいカイルも納得したのだった。
「それで、カイル皇王陛下には1度、王都へ戻って頂こうと思います」
「待て!それはまだ早いだろう?砦を奪還したばかりで、怪我人も多い。今、ここを離れて万が一エルザ王国軍が攻めてきたら耐えられないぞ!?」
「いえ、確かにエルザ王国軍が絶対に攻めて来ないとは言えません。しかし、砦を奪還した事で、カイル皇王陛下の戦果は十分に果たしました。今なら怪我人と一緒に王都の兵士と入れ替えに帰還すれば、対面は問題なく保たれます」
カイルは迷った正直にいえば、戻ってシオンを抱き締めたい。産まれたばかりの子供達にも会いたいと思った。
「…………すまない。将軍の好意に甘えさせてもらう」
「皇王陛下はもう少し我々を頼って頂きたいですな。まぁ、援軍の到着まで砦を死守出来なかった軍人を信用出来ないと言うのもわかりますが、それでも人に頼る事も時には大事だと言う事を覚えて置いて下さい。これは老婆心からの忠告ですぞ」
カイルはわかった。感謝すると言って将軍と堅く握手を交わした。
こうしてカイルは1年と半年ぶりに王都へ帰還する事になった。
すでに早馬で砦奪還は知られており、大勢の歓声の中でのパレードの凱旋となった。
「カイル!よくご無事で!?」
王城へ帰還するとシオンが出迎えて、お互いに抱き締め合った。
「ただいま」
「ええ、お帰りなさい」
人目を気にせずしばらく抱き締め合った二人は、次に子供達とあった。
「子供が成長するのは早いなもう立つことができるのか」
カイルは本当に戻って来れたんだと心から安心出来たのだった。
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