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建設するよー!

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アクエリアス家が仮住まいしている元子爵家の屋敷で一泊したシオン達は翌朝、食堂へとやって来ていた。

ドキドキ
ドキドキ

パクリッ!

「合格ーーーー!!!!」

「きゃーーーー!!!ありがとうございます!」

何をしているかと言うと、朝食にシオンが考案したパンケーキの試食会をしていたのです!

「良く私がいない間に腕を上げましたね?」

ガツガツッ!
ムシャムシャ!

「シオンお嬢様がいつ戻って来られても大丈夫なように日々、研究を重ねておりました。まさか『塩』を入れる事により、より甘さが引き立つなどとは思いませんでしたわ!」

シオンに合格を貰えたメイドさんは、感激の余り涙を浮かべている。

「ハフハフ、美味しいです~!」
『美味しいのー!』

さっきからガツガツと残念守護精霊のスフィアが食べていた。

「ちょっと!仮にも精霊なんだから行儀良く食べなさいよ?」

軽く注意しつつ、別のメイドがまた料理を持ってきた。

「あの!こちらも味見をお願いします!」
「いえ!こっちも!」

どんどん増えてくる料理にシオンはえっ!?えっ!?と狼狽えた。

「こら!お前達!いくらなんでもそんなに1度に食べられるか!また今度にしなさい!」

後ろから料理長がやってきて、この騒ぎを止めた。

「申し訳ありません!皆、シオンお嬢様に美味しく食べて貰いたいと張り切ってしまい…………」

みんなの気持ちが伝わったため、シオンは一口づつ食べて感想を言った。残りは残飯騎士団………ではなくて、食いしん坊軍団にお願いした。

いやー!リーヴィルとスフィアの食いップリは素晴らしいわ!メイドさん達も喜んでどんどん持ってくるしね!

お腹も膨れた事だし運動しようかな!

「ふぅ~ではそろそろと、行動を開始しますか!」

「おや?シオン、もう働くのかい?もっとゆっくりしても良いんだよ?」

ちょうど、お兄様と出くわした。

「ぐっすり眠れたし大丈夫!森の近くに街の建設も許可が出たしこの村は今後、王国と帝国の商人の中継地点になるわ!しっかりとした街にしたいのよ」

やる気に満ちたシオンをみて、兄クオンもシオンに着いていくと言い出した。

「わかりましたわ。お兄様、この村を増設するに当たっての見取図はありますか?」

クオンは肩をすくめて言った。

「ふふふっ、流石は我が妹だ。確かにこの『村』を『街』にする設計図はできているよ?でも、シオンが考えているのとは違うんじゃないかい?」

お兄様が懐からこの村を効率性を考えた設計図を出した。私に渡す為に持ち歩いていたみたいだ。

シオンはクオンから街の設計図を見ると、う~んと唸った。確かに良く出来た設計図ではあった。正方形の城壁に守られた城塞都市である。

「シオン、これはあくまでも予定の設計図だから、シオンがもっと良い案があれば好きにして良いからね?」

クオンの言葉にシオンは考えて言った。

「お兄様、少し考えていた事があるのですが…………」

シオンはクオンに今後の街に付いての考えを話した。

「セメント?コンクリートだって?」

山脈には石灰が山のようにあるのに気付いて、龍族に運搬してもらえば大量に運べる思ったのだ。お兄様やお父様は、この村を【城塞都市】にして、森の手前に築くアクエリアス領【首都】を守る【砦】にしたいのだろう。

いきなり首都で新技術を試すのは心配なので、この村の城壁をセメントで作って試してみたいと思ったのだ。

「わかったよ。取り敢えず建築物をシオンに建てて貰って、城壁をそのコンクリートで作ってみよう。シオンの話が本当なら今までにない強固な物が作れるだろうね。楽しみだよ!」

自分の知らない新しい技術に、クオンは笑顔で後押ししてくれた。

こうして、この世界にはないコンクリートでの建築物の作業に取り掛かるのであった。











「ほう、もう働き出したのか?」

屋敷の外から大きな音と歓声が聞こえてくる。ちょうど息子のクオンから新しい素材使った建築物の作成の報告を受けたばかりの父、デルタ公爵が窓の外を見ながら呟いた。

「御主の娘、シオンが何者か気にならないのか?アレは普通の人間の子ではなかろう?神に祝福を受けた者やも知れんぞ?」

デルタ公爵の執務室いた龍王様が問い掛けた。

「確かに普通の子供ではないでしょうな。しかし、我が妻から産まれたのは事実。そして家族の仲まで取り持ってくれたのもシオンなのです。中身も含めて大切な家族であり、娘で間違いありませんよ」

きっぱりと返答するデルタ公爵を見て龍王様は軽く頭を下げた。

「いらん質問じゃったな。申し訳ない。………人とは異物を嫌う者が多いのでな。もし御主がシオンを邪険にしようとしておるなら、我が龍族がシオンを保護しようと思うたが………いらんお世話じゃったようだ」

ふふふっと笑う龍王様にデルタ公爵も答えた。

「心遣いありがとうございます。しかし我がアクエリアス家の家族はお互いに大切に思っていますので大丈夫です。全てはシオンが居るからまとまったとも言えますが」

「では、シオンに向けられる悪意から守らねばならぬな?」
「ええ、全くです!」

そんな時、ドアのノックが鳴った。

「失礼致します。王国と帝国の間者を捕まえましたが如何しましょう?」

ドアからはセバスが入ってきた。

「我らが大人しくしておるのか探りにきたか?まだ領民の大移動に気付いてはいないな?」

「はい、我がアクエリアス領はここ真南にあり、他の領地を跨ぎません。今の所は領主であるアクエリアス家に繋がりが深い者から移動していますので、王国の………国王達からも予想の範囲内かと思います」

領地の鞍替えで、領主だけ移動する訳がない。領主が運営する商会や農家なども一定数は移動するのは普通だと思うだろう。

「王国の間者についてはセバスに任せる。洗脳しこちらの虚偽の情報を持って行かせろ。帝国は誰からの指示なのか確認して、あの王子の手の者なら解放してやれ」

セバスはデルタ公爵の指示の元、頭を下げて出ていった。

「これから忙しくなりそうじゃの?」
「ええ、全くです。しかしシオンとも会えて、楽しくなりそうです」

「まったくじゃ!」

シオンの破天荒な行動に苦労はするが、今までにない刺激もあり二人して笑い合うのだった。








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