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カラクリは単純

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アースとレアは父親の登場に驚いていた。

「貴様の不死身のカラクリは見破った。魔将軍最弱のザンドよ」

グイードは見下した眼で見詰めた。

「き、貴様!私を愚弄するとは死──」

ザンドは最後まで喋れなかった。グイードが目にも止まらぬ速さで全身を切り裂いたからだ。

「レア!アース!魔力の1番強まった所を見ろ!」

父親の言葉に意識を集中した。
アースより、魔力の扱いが得意なレアが気付いた。

「お父様、ザンドの足元が1番魔力が強いです!」
「そうだ。よく気付いたな」

グイードはレアの頭を撫でた。

「ほほほほっ!話している時に攻撃するとは躾がなっていませんね?正直、頭にきましたが、結局、貴方も不死身である私を倒す事はできませんよ?」

ザンドは怒りを露にしたが、余裕があった。不死身のカラクリがわかったと言われて、内心不安がよぎったが、結局は攻撃をするだけで、核心に触れてはいなかったからだ。

「いや、貴様はもう詰んでいる」

グイードは居合いのように、斬激を飛ばしてザンドを再度十文字に切り裂いた。

「貴様!!!何度やっても無駄だと言っているだろうが!下等な人間が!我が本気の一撃で死ぬが──」

ドンッーーーーーーー!!!!!!!!

グイードはザンドが喋っている時に、右腕を前に出し、人差し指をクイッと上に曲げると、突然、ザンドの足元の地面がドンッと急激に空に伸びて、 一気に30メートルほど高さまで上がった。

「き、きさま!何を………!?」

ザンドは気付いてしまった。
この人間は不死身のカラクリに気付いたと。

「だから言っただろう?貴様のカラクリは見破ったと。ネタをバラすと、先に出したゴーレムすら貴様の存在を隠すフェイクだったのだろう?本体の体内に核であるコアがあり、それを壊すと倒せると、どこかで見ているかも知れない四大精霊様に見せつけるのが目的だった」

!?

「しかし、貴様にはコアはない。そう、貴様の本体は地面の下に隠れており、樹木の様に足元から魔力を送り、目の前のザンドを形作っていたんだ。私が切り刻んだのは、形を保つ為に、多少なりとも魔力供給をしなければならず、その時、魔力が強まり本体の場所を探るためだったのだ」

グイードは剣を腰に戻すと、抜刀の構えを取った。

「地面にいる本体ごと空高く飛ばした。逃げ場はないぞ!」

ザンドは破れかぶれで砂の魔法を放ったが、一瞬で消し飛ばされた。

「クソッ!?」


焦るザンドにグイードは静かに呟いた。

「帝国剣術秘技・ガイアブレイク!」

グイードの闘気が天を突くほど伸び、巨大な剣となって空にいるザンドに振り降りてきた。

「あ゛あああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」

闘気の刃はザンドを真っ二つにして、そのまま下にある地面ごと『本体』を切り裂いた!

ドッーーーーーーーン!!!!!!!!

グイードの技の爪痕は数百メートルも大地に巨大な斬激の跡を残した。

「………は、ははは…………マジかよ」

父親の圧倒的な闘気と技を見て渇いた声で笑った。

唖然としているのは自国の兵士も同じであった。

「こ、こんなに強かったのですか………?」
「だから言ったであろう?帝国最強の騎士だと」

「どうして今まで実力を隠しておられたのですか!?」

「強さとは見せびらかすものではないからだ。ワシが平和にした帝国国内では、力を見せる機会も少なかったであろうしな」

!?

「もう一度言っておく。貴様達が忠誠を誓うのは皇帝グイードじゃ!肝に命じろ!」

「「「はっ!!!!」」」」

騎士達の士気も上がった所でグランも高らかに叫んだ!

「皆の者!魔王の側近である魔将軍は人間の手で、皇帝グイードが倒した!我々は戦えるのだ!全軍、魔王軍残党を殲滅する!続けーーーーーーーーー!!!!!!!!」


オオオオオオォォォォ!!!!!!!!!


帝国軍は突撃を開始した。

「アース、レア、怪我はないかい?」

父親であるグイードは子供達に声を掛けた。

「ああ、たいしたことはないよ」
「私も大丈夫です」

アースはバツの悪そうに言った。

「どうして実力を隠していたんですか?」
「親父であるグランが帝国を平和にした。出没する魔物も、騎士団で相手が務まる。ならば、私のすることはペンを持ち、より帝国を富ませる法案を考えたりすることだと思ったんだ。まぁ、たまには隠れて身体を動かしていたがな」

アースは背を向けて言った。

「………今度、稽古を着けてください」
「ああ、この戦いが終わったらな!」

二人は突撃したグランの後を追うのだった。










「あれ?私の出番は???」

転移でやって来たノームは自分の出番が無い事にあれっ?と首を傾げた。

「い、いや!予定通りよね!魔王との決戦に私達、四大精霊を温存する話だった………はずだし!これでいいのだ!」

ノームは無理矢理納得して、トンボ帰りするのだった。

(ちゃんと予定通りですよ?)



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