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第2章 300年前の真実
長い話の始まり
しおりを挟むそれは今思えば、未熟さが生み出した嫉妬だったのだろう……
私の血はリュドルフリアと同じく、少しばかり変わった性質を持っていた。
同族の血は肉体に害を及ぼすが―――私の血は、精神に害を及ぼした。
何かの拍子に私の血を取り込んだ同胞は、じわじわと己を失っていくのだ。
最終的には知性をなくし、本能だけで生きる野生動物と等しくなる。
言葉を交わすことも叶わず、縄張りに入った途端に暴れる厄介な存在。
そうなってしまった同族に下される処分は、僻地にいるのなら隔離。
同胞に危害を加えるようなら、殺す他に道はなかった。
それを私自身も周囲も理解したのは、いつのことだったか。
私はいつの間にか―――誰からも、遠巻きにされる存在となっていた。
まあ、怖いだろうな。
これまでに得てきた知識も何もかもが消えていくのを、自分では止められないのだから。
だがな、私は決して孤独ではなかったのだ。
私には、自身と同じだと思えるリュドルフリアがいたから。
互いに遠ざけられがちな者どうし、彼とは必然的に、共に語らう仲になっていた。
お互いに、難儀な血を持ってしまったものだな、と。
自分が抱えたこの重荷も、二人でなら笑って受け流すことができた。
一人でもいい。
たった一人でも、自分と同じ立場で語らってくれる者がいる。
それだけで、心は安らいだ。
だが……―――それを、あいつが全て奪っていった。
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