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第6章 復讐の道
裏切り者の末路
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建物の中は、僕がこっそりとばらまいた毒で惨憺たる状況に陥っていた。
想像どおり、動ける大人はゼロ。
まあ、こうなるように細かく計算したんだから、当たり前の結果だけど。
僕が一切抵抗しなくなったからって、それなりに自由を許したのがいけないんだ。
おかげで建物の構造も把握できたし、気付かれずに毒を仕込めるポイントも網羅できたよ。
至る所で、大人たちがばたばたと倒れている。
全然動けないあいつらに微笑みを向けてやると、あいつらは化け物を見るような目をして怯えた。
(どいつがいいかなぁ……)
悲鳴と泣き声が飛び交う建物を、のんびりと歩きながら考える。
そうして一つのドアを開けた先で、面白いものを見つけた。
そこは、端的に言えば管理室とでも言えばよかったのだろうか。
建物に設置された監視カメラの映像が映るモニターと、たくさんのパソコンが並ぶ部屋だった。
とりあえず、現在地くらいは把握しておこうか。
そう思った僕は、そこでも倒れている有象無象のことは放置で、パソコンに向かう。
「………っ」
キーボードに指が触れようとした刹那、憎たらしい兄の顔が浮かんだ。
「……馬鹿なお兄ちゃん。」
呟きながら、キーボードを叩き始める。
船に乗せられてどこに連れてこられたのかと思ってたら、セレニアじゃないじゃん。
ここ、なんて国なの?
どうでもいいことを考えながら、プログラム画面を立ち上げて、長いコードの羅列を打ち込む。
「お兄ちゃんが負けず嫌いなのを知ってたし、僕もこっちには興味がなかったから、あえて言わなかったのに。」
本当は、お前が打つプログラムなんて、一目見ただけで覚えてたんだよ?
わざわざお前と話を合わせるためにそれを復習して、僕なりの改良も加えた後だったんだ。
お前の実力なんて、とっくの昔に超えてたんだよ。
ほらね?
あっという間に、セレニア警察のシステムに入り込めちゃったよ?
お前が僕を裏切らなければ、この技術を使うつもりなんてなかったのになぁ……
通報まであと一歩。
そこでふと手を止めて、足元に転がっている馬鹿を見下ろす。
「ひっ……」
僕に見下ろされたそいつは、凍てついた目を大きく見開いて、歯をガチガチと震わせていた。
「ねぇ、一つ訊きたいんだけど…。―――お兄ちゃん、死んだ?」
淡々と。
無感動に、そう訊ねる。
「死にたくなかったら、正直に答えな?」
言い訳をさせるつもりなんかなかったので、さっさと脅して吐かせることに。
「あ、ああ…っ。死んだ……死んだよ! リーダーの指示で、バラバラにして海に捨てた。もう、何も残ってない…っ」
「そう…」
そっかぁ。
結局、死んじゃったんだ。
―――ラッキーだな。
「助けてほしい?」
ちょうどいいから、使うのはこいつでいいや。
そう思って、ポケットからキャップの閉まった試験管を取り出して見せる。
「これね、完全無効薬。ただの解毒薬じゃあ、そのうちまたガスにやられちゃうけどぉ……これなら、僕みたいにピンピン動けるようになるよ?」
「………っ!?」
「欲しい?」
「欲しい……欲しいです! どうか……どうか、助けてください…っ!!」
体が少しでも動いたなら、土下座でもして額を床にこすりつけていたんだろうな。
必死なそいつを見ていると、さらに胸の奥が冷える感覚がした。
「じゃあ、僕の言うことを聞いてくれる?」
「はい! なんでも、なんでも言うことを聞きます!! だから……だから…っ」
涙で顔をぐちゃぐちゃにして、そいつは何度も頷く。
あーあ、チョロいチョロい。
でもまあ、ここまで怯えてるなら、僕の言いなりにはなってくれるか。
「そう…。じゃあ、特別にあんただけは助けてあげる。上手く働いてよ? あんたのケータイ、常に僕の監視下に置いとくからね。」
最強の脅し文句を叩きつけておき、そいつの口に無効薬を流し込んでやった。
その後、そいつがまともに動けるようになるまでは、自宅のネットワークに侵入して暇潰しをしていた。
見るのは当然、あのくそ兄貴のパソコンデータ。
そこに残っていた、兄とこいつらのやり取り。
僕が嫌いだという決定的な記述はそこになかったけど、少なくとも、兄が僕をこいつらに売ろうとしたのは事実であることが分かった。
見れば見るほどに、心が闇に覆われていく。
それをひしひしと感じながら、動けるようになったそいつは、さっさと建物から逃がした。
あいつには、やってもらわなきゃいけないことがあるからね。
それからその辺に落ちている携帯電話を使って、父さんに電話をかける。
「アル……アルなのか!? 一ヶ月以上も……今、どこにいるんだ!?」
電話に出た父さんは心底驚いて、涙声で必死に問いかけてきた。
一ヶ月以上……
体感的には数週間くらいだったんだけど、そんなに時間が経ってたんだ。
そんな感想を抱いたけれど、それで心は揺れない。
久しぶりに聞く父さんの声にも、なんとも思わなかった。
「さぁ…? ここがどこなのか、僕も分からないんだ。とりあえず、今から警察のシステムに攻撃を仕掛けるから、どうにか逆探知してよ。―――ここにいるお馬鹿さんたちが、死ぬ前にね。」
そう告げて、一方的に電話を切った。
想像どおり、動ける大人はゼロ。
まあ、こうなるように細かく計算したんだから、当たり前の結果だけど。
僕が一切抵抗しなくなったからって、それなりに自由を許したのがいけないんだ。
おかげで建物の構造も把握できたし、気付かれずに毒を仕込めるポイントも網羅できたよ。
至る所で、大人たちがばたばたと倒れている。
全然動けないあいつらに微笑みを向けてやると、あいつらは化け物を見るような目をして怯えた。
(どいつがいいかなぁ……)
悲鳴と泣き声が飛び交う建物を、のんびりと歩きながら考える。
そうして一つのドアを開けた先で、面白いものを見つけた。
そこは、端的に言えば管理室とでも言えばよかったのだろうか。
建物に設置された監視カメラの映像が映るモニターと、たくさんのパソコンが並ぶ部屋だった。
とりあえず、現在地くらいは把握しておこうか。
そう思った僕は、そこでも倒れている有象無象のことは放置で、パソコンに向かう。
「………っ」
キーボードに指が触れようとした刹那、憎たらしい兄の顔が浮かんだ。
「……馬鹿なお兄ちゃん。」
呟きながら、キーボードを叩き始める。
船に乗せられてどこに連れてこられたのかと思ってたら、セレニアじゃないじゃん。
ここ、なんて国なの?
どうでもいいことを考えながら、プログラム画面を立ち上げて、長いコードの羅列を打ち込む。
「お兄ちゃんが負けず嫌いなのを知ってたし、僕もこっちには興味がなかったから、あえて言わなかったのに。」
本当は、お前が打つプログラムなんて、一目見ただけで覚えてたんだよ?
わざわざお前と話を合わせるためにそれを復習して、僕なりの改良も加えた後だったんだ。
お前の実力なんて、とっくの昔に超えてたんだよ。
ほらね?
あっという間に、セレニア警察のシステムに入り込めちゃったよ?
お前が僕を裏切らなければ、この技術を使うつもりなんてなかったのになぁ……
通報まであと一歩。
そこでふと手を止めて、足元に転がっている馬鹿を見下ろす。
「ひっ……」
僕に見下ろされたそいつは、凍てついた目を大きく見開いて、歯をガチガチと震わせていた。
「ねぇ、一つ訊きたいんだけど…。―――お兄ちゃん、死んだ?」
淡々と。
無感動に、そう訊ねる。
「死にたくなかったら、正直に答えな?」
言い訳をさせるつもりなんかなかったので、さっさと脅して吐かせることに。
「あ、ああ…っ。死んだ……死んだよ! リーダーの指示で、バラバラにして海に捨てた。もう、何も残ってない…っ」
「そう…」
そっかぁ。
結局、死んじゃったんだ。
―――ラッキーだな。
「助けてほしい?」
ちょうどいいから、使うのはこいつでいいや。
そう思って、ポケットからキャップの閉まった試験管を取り出して見せる。
「これね、完全無効薬。ただの解毒薬じゃあ、そのうちまたガスにやられちゃうけどぉ……これなら、僕みたいにピンピン動けるようになるよ?」
「………っ!?」
「欲しい?」
「欲しい……欲しいです! どうか……どうか、助けてください…っ!!」
体が少しでも動いたなら、土下座でもして額を床にこすりつけていたんだろうな。
必死なそいつを見ていると、さらに胸の奥が冷える感覚がした。
「じゃあ、僕の言うことを聞いてくれる?」
「はい! なんでも、なんでも言うことを聞きます!! だから……だから…っ」
涙で顔をぐちゃぐちゃにして、そいつは何度も頷く。
あーあ、チョロいチョロい。
でもまあ、ここまで怯えてるなら、僕の言いなりにはなってくれるか。
「そう…。じゃあ、特別にあんただけは助けてあげる。上手く働いてよ? あんたのケータイ、常に僕の監視下に置いとくからね。」
最強の脅し文句を叩きつけておき、そいつの口に無効薬を流し込んでやった。
その後、そいつがまともに動けるようになるまでは、自宅のネットワークに侵入して暇潰しをしていた。
見るのは当然、あのくそ兄貴のパソコンデータ。
そこに残っていた、兄とこいつらのやり取り。
僕が嫌いだという決定的な記述はそこになかったけど、少なくとも、兄が僕をこいつらに売ろうとしたのは事実であることが分かった。
見れば見るほどに、心が闇に覆われていく。
それをひしひしと感じながら、動けるようになったそいつは、さっさと建物から逃がした。
あいつには、やってもらわなきゃいけないことがあるからね。
それからその辺に落ちている携帯電話を使って、父さんに電話をかける。
「アル……アルなのか!? 一ヶ月以上も……今、どこにいるんだ!?」
電話に出た父さんは心底驚いて、涙声で必死に問いかけてきた。
一ヶ月以上……
体感的には数週間くらいだったんだけど、そんなに時間が経ってたんだ。
そんな感想を抱いたけれど、それで心は揺れない。
久しぶりに聞く父さんの声にも、なんとも思わなかった。
「さぁ…? ここがどこなのか、僕も分からないんだ。とりあえず、今から警察のシステムに攻撃を仕掛けるから、どうにか逆探知してよ。―――ここにいるお馬鹿さんたちが、死ぬ前にね。」
そう告げて、一方的に電話を切った。
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