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第4章 絶望から希望へ
〝行こう〟
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ディアラントたちとの話し合いの結果、出立は明後日の早朝となった。
洞窟に向かうのは、ジョーを除くドラゴン殲滅部隊の全員。
ターニャとジョーは宮殿でモニタリングに勤しみつつ、審問会の対応に注力するとのことだ。
さらに、現場に向かうメンバーの中でも洞窟に入るのは、キリハ、ユアン、ディアラントの三人に限定された。
他の皆は、洞窟の外で機材と共に待機である。
ユアンの話によると、洞窟の中はそこまで広くないので、レクトが身を隠せるようなスペースはない。
レクトを討伐するための武器も入らないだろうとのことだ。
おそらく、洞窟の中でレクトが出迎えてくるのだとしたら、ルカの体を借りた状態であるはず。
今回の自分たちの目的は、そんなレクトからルカを奪還すること。
ルカをレクトの支配から解放する方法は、ユアンに秘策があるらしい。
その効果はすでにエリクとシアノで検証済みなので、ルカの動きを十秒ほど止められれば、その秘策を実行できるとのこと。
―――ただまあ、おまけの副作用が強力すぎるんだけどね。
ユアンがぼそっと不穏なことを言っていたが、気にしないことにしよう。
すでに秘策を講じたというエリクやシアノが元気に過ごしているのだ。
命に影響するものではあるまい。
とにかく今は、ルカを取り戻すことだけに集中だ。
「キリハ……」
地下駐車場で出立の準備を整えていると、ふいに声をかけられる。
そちらに目を向けると、サーシャとカレンが二人で身を寄せ合い、不安そうな表情でこちらを見つめていた。
そして、そんな彼女たちを支えるように、二人の肩に手を置くエリクの姿も。
「みんな、見送りに来てくれたんだ。」
「あ、当たり前でしょ? どこかの誰かさんったら、せっかくできたガールフレンドに全然会いに来ないんだもん。」
「カレンちゃん!」
直球なカレンの物言いに、サーシャが途端に慌てふためく。
「あ、あはは…。ごめん。ここ最近、誰かと打ち合わせをしてるか、焔に馴染み直してるかのどっちかだったから……」
「ううん、いいの! 今は、キリハが大事に思うことを優先して。私は、そのために頑張ったんだから。」
変に気を遣わせまいとしているのか、カレンの発言をごまかすように両手を振るサーシャ。
そんな彼女の髪に、キリハは優しく指を通す。
「サーシャのことだって大事だよ。」
「!!」
キリハが微笑むと、サーシャの顔が一気に赤く染まる。
「本当は、もっと話したいことや聞きたいことがあるんだ。その時間を作るためにも、早く終わらせて戻ってくる。だから、俺を信じて待ってて。」
「は……はい……」
振っていた両手を組んだサーシャは、倒れるようにカレンへともたれかかる。
「ちょっと、キリハ。この子免疫ないんだから、本気の王子様モードは手加減してあげてよ。」
「え? 王子様モードって?」
「あ、ごめん。とっさに言ったけど、キリハが分かるわけないわ。これまでも、サーシャにだけは無自覚王子様だったしなぁー。」
「………?」
首を捻るキリハに、カレンは重たげな息を一つ。
「とりあえずその宣言どおり、ちゃんと帰ってきなよ? このウサギちゃんは、キリハがいないと寂しくて死んじゃうんだからね?」
「カレンちゃん! キリハを困らせることを言わないでーっ!!」
「だめだって! サーシャの分っかりやす~い恋心をきちんと認識するのに二年もかかったこの鈍感には、はっきりと言っておかなきゃ。」
「だとしても、今はだめーっ!!」
目を回してパニックになるサーシャが、なんと可愛いことか。
キリハやエリクだけではなく、通りがかった人々もほっこりである。
「カレン。カレンも俺を信じててね。ちゃんと、ルカを連れて帰ってくるから。」
カレンがサーシャを使って場を和ませようとしているのは明らか。
そうすることで、自分の気持ちをうやむやにしようとしていることも。
「ほらね。キリハ君には、すぐにばれちゃうって。」
「……うん。」
一瞬反応に困ったカレンだったが、キリハの純粋な眼差しとエリクの促しに負けて肩を落とす。
「本当は、あたしが直接ひっぱたいて正気に戻してやりたいところだけど……」
そう呟いた彼女の目尻に、光るものが浮かぶ。
しかしそれが頬を伝う前に目元を拭ったカレンは、穏やかな笑顔でキリハを見つめた。
「今回は、キリハに譲ってあげる。あたしの分まで、ルカに説教をしてやって。キリハの声なら、あの馬鹿にも届くはずだから。」
「うん。昨日聞いたこと、ちゃんとルカに伝えてくるよ。帰ってきたら真っ先にカレンに引き渡すから、楽しみはその時まで取っておいて。」
「まったくよ! どんだけ疲れてようと、説教は説教よ。一晩は寝かせてやんないんだから!」
「その後は僕とシアノ君がうんと構うだろうから……ルカ、しばらく寝る暇もないかもね。」
やる気満々のカレンに乗っかり、エリクが冗談混じりにそんなことを言った。
最後にサーシャを含めて皆で笑い、キリハは後ろを振り仰ぐ。
そこでは、準備を終えた皆がスタンバイ状態。
その筆頭にいるフールとディアラントが、穏やかながらも力強い雰囲気で自分を待っている。
「―――行こう!!」
最後の戦いに向けて。
キリハは躊躇うことなく地面を蹴った。
洞窟に向かうのは、ジョーを除くドラゴン殲滅部隊の全員。
ターニャとジョーは宮殿でモニタリングに勤しみつつ、審問会の対応に注力するとのことだ。
さらに、現場に向かうメンバーの中でも洞窟に入るのは、キリハ、ユアン、ディアラントの三人に限定された。
他の皆は、洞窟の外で機材と共に待機である。
ユアンの話によると、洞窟の中はそこまで広くないので、レクトが身を隠せるようなスペースはない。
レクトを討伐するための武器も入らないだろうとのことだ。
おそらく、洞窟の中でレクトが出迎えてくるのだとしたら、ルカの体を借りた状態であるはず。
今回の自分たちの目的は、そんなレクトからルカを奪還すること。
ルカをレクトの支配から解放する方法は、ユアンに秘策があるらしい。
その効果はすでにエリクとシアノで検証済みなので、ルカの動きを十秒ほど止められれば、その秘策を実行できるとのこと。
―――ただまあ、おまけの副作用が強力すぎるんだけどね。
ユアンがぼそっと不穏なことを言っていたが、気にしないことにしよう。
すでに秘策を講じたというエリクやシアノが元気に過ごしているのだ。
命に影響するものではあるまい。
とにかく今は、ルカを取り戻すことだけに集中だ。
「キリハ……」
地下駐車場で出立の準備を整えていると、ふいに声をかけられる。
そちらに目を向けると、サーシャとカレンが二人で身を寄せ合い、不安そうな表情でこちらを見つめていた。
そして、そんな彼女たちを支えるように、二人の肩に手を置くエリクの姿も。
「みんな、見送りに来てくれたんだ。」
「あ、当たり前でしょ? どこかの誰かさんったら、せっかくできたガールフレンドに全然会いに来ないんだもん。」
「カレンちゃん!」
直球なカレンの物言いに、サーシャが途端に慌てふためく。
「あ、あはは…。ごめん。ここ最近、誰かと打ち合わせをしてるか、焔に馴染み直してるかのどっちかだったから……」
「ううん、いいの! 今は、キリハが大事に思うことを優先して。私は、そのために頑張ったんだから。」
変に気を遣わせまいとしているのか、カレンの発言をごまかすように両手を振るサーシャ。
そんな彼女の髪に、キリハは優しく指を通す。
「サーシャのことだって大事だよ。」
「!!」
キリハが微笑むと、サーシャの顔が一気に赤く染まる。
「本当は、もっと話したいことや聞きたいことがあるんだ。その時間を作るためにも、早く終わらせて戻ってくる。だから、俺を信じて待ってて。」
「は……はい……」
振っていた両手を組んだサーシャは、倒れるようにカレンへともたれかかる。
「ちょっと、キリハ。この子免疫ないんだから、本気の王子様モードは手加減してあげてよ。」
「え? 王子様モードって?」
「あ、ごめん。とっさに言ったけど、キリハが分かるわけないわ。これまでも、サーシャにだけは無自覚王子様だったしなぁー。」
「………?」
首を捻るキリハに、カレンは重たげな息を一つ。
「とりあえずその宣言どおり、ちゃんと帰ってきなよ? このウサギちゃんは、キリハがいないと寂しくて死んじゃうんだからね?」
「カレンちゃん! キリハを困らせることを言わないでーっ!!」
「だめだって! サーシャの分っかりやす~い恋心をきちんと認識するのに二年もかかったこの鈍感には、はっきりと言っておかなきゃ。」
「だとしても、今はだめーっ!!」
目を回してパニックになるサーシャが、なんと可愛いことか。
キリハやエリクだけではなく、通りがかった人々もほっこりである。
「カレン。カレンも俺を信じててね。ちゃんと、ルカを連れて帰ってくるから。」
カレンがサーシャを使って場を和ませようとしているのは明らか。
そうすることで、自分の気持ちをうやむやにしようとしていることも。
「ほらね。キリハ君には、すぐにばれちゃうって。」
「……うん。」
一瞬反応に困ったカレンだったが、キリハの純粋な眼差しとエリクの促しに負けて肩を落とす。
「本当は、あたしが直接ひっぱたいて正気に戻してやりたいところだけど……」
そう呟いた彼女の目尻に、光るものが浮かぶ。
しかしそれが頬を伝う前に目元を拭ったカレンは、穏やかな笑顔でキリハを見つめた。
「今回は、キリハに譲ってあげる。あたしの分まで、ルカに説教をしてやって。キリハの声なら、あの馬鹿にも届くはずだから。」
「うん。昨日聞いたこと、ちゃんとルカに伝えてくるよ。帰ってきたら真っ先にカレンに引き渡すから、楽しみはその時まで取っておいて。」
「まったくよ! どんだけ疲れてようと、説教は説教よ。一晩は寝かせてやんないんだから!」
「その後は僕とシアノ君がうんと構うだろうから……ルカ、しばらく寝る暇もないかもね。」
やる気満々のカレンに乗っかり、エリクが冗談混じりにそんなことを言った。
最後にサーシャを含めて皆で笑い、キリハは後ろを振り仰ぐ。
そこでは、準備を終えた皆がスタンバイ状態。
その筆頭にいるフールとディアラントが、穏やかながらも力強い雰囲気で自分を待っている。
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最後の戦いに向けて。
キリハは躊躇うことなく地面を蹴った。
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