Fairy Song

時雨青葉

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第26歩目 出るか、残るか―――

それぞれの胸中

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「……ふう。」


 お子様たちの足音がとお退くのを待って、シュルクは一息。


「やっぱり、わざと追い出したんだね。」


「……まあな。この話については、周りからあれこれ聞く前に、俺たち二人だけで話した方がいいと思って。」


 振り向いた先で、ベッドに座るフィオリアは穏やかに微笑んでいる。
 その笑顔を見ると気が抜けるようで、シュルクも眉を下げて笑った。


「ここでもまた引き止められてるの?」
「俺だって、今朝じいちゃんに言われたばっかだっての。」


 冗談混じりの会話を交わしながら、フィオリアの隣に腰かける。


「ミオンたちからの質問、どう思った?」
「んー……正直、結構魅力的だったかな。」


「マジかよ。目が見えないのに?」
「でも、みんなのおかげで不自由はしてないし、なんだかんだと慣れてきちゃって。」


「すげぇな、その順能力。」
「そう言うシュルクはどうなの?」


 軽い掛け合いの流れで、そう問われる。


 自分もフィオリアのように軽く答えられたらよかったのに、無意識のうちに言葉を引っ込めてしまっていた。


「……今までとは比べ物にならないほど、迷ってるよ。」


 少しの間を置いて、絞り出すように素直な心境を告げる。


「ここに来てよかったと思う反面、こんな場所なんて知らなきゃよかったって思う。すっげー複雑な気分だよ。」


「そっか。」


 こちらの本音を聞いたフィオリアは、小さく笑うだけ。
 次に、彼女は探るような手つきで腕に手を絡めてきた。




「―――いいんじゃない? ここに残っても。」




 薄く開いた唇から零れたのは、まさかの言葉だった。


「私、ずるい女かも。」


 こちらがろくな反応もできない間に、フィオリアはただ穏やかに言葉をつむぐ。


「シュルクと一緒に呪いを解いて、お母様を苦しみから解放してあげたい。その気持ちも本物のはずなのに……ここでならシュルクがシュルクらしくいられるって思うと、その気持ちが薄らいじゃうの。もちろん、私もここが大好きになってるってのもあるけど。」


 最後の一言を告げたフィオリアの声に、少しの寂しさがにじむ。


「ここは、まるで理想郷ね。お母様とこんな風に触れ合ってみたかった、お父様とこんな風にお話ししてみたかった……そう思って、ガルドさんたちに甘えてる自分がいるの。それにね……」


 ふとくうに手を掲げるフィオリア。
 すると、その指先に優しい光が集まった。


「最近ね、ほんの微かにだけど霊子の声が聞こえるの。〝違うよ。あれは、君の石じゃないんだよ〟って。きっと、霊子たちもシュルクと一緒で、ルルーシェじゃなくてフィオリアとして生きていいって言ってくれてるのね。ここには、外にはない幸せがたくさんあって……本当に幸せすぎて、このままここにいたくなる。そう考えると、私も結構複雑。」


「………」


 フィオリアの話に打てる相づちがない。


 自分がこの場所を好きになっているのもあるけど、愛しい人が心安らかにしているからこそ迷ってしまう。


 まさか、考えていることが全く一緒だったなんて。


「ねえ! ちょっと、お互いに昔話でもしてみない?」


 次の話題に困っていると、フィオリアが急にそんなことを言ってきた。

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