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ラウンド25 輝きは軽く五割増し!
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かくして迎えた土曜日。
待ち合わせ場所に指定された海浜公園の入り口で、ノアは落ち着かない様子でジョーを待っていた。
お淑やかって何!?
可愛いって、どんな格好だ!?
まさかこんなにあっさりとデートの了承をもらえるなんて思っていなくて、電話の後の自分は大パニック。
翌朝は、ジョーの顔をまともに見られなかった。
すぐに異変を察知した職員たちに嬉しがりながらも泣きつくと、皆は全力のグッドサイン。
『あんら~♪ ジョーさんってば、そういうのが好み~?』
にやにやと表情をだらしなくしながら、最近のファッションのトレンドからとっておきの美容室など、何から何まで丁寧に教えてくれた。
「こ……これでいいのか…?」
夜に一緒にショッピングに付き合ってくれた彼女たちは、これなら大丈夫だと言ってくれたが……正直、自信はない。
個人的に異性と出かけるなんて、キリハを引きずってセレニア観光をしたくらいだもの。
「まったく……ガチガチに緊張しすぎ。」
「うひょわぁっ!?」
突然背後から冷たい何かを頬に当てられて、ノアは思い切り飛び上がる。
「こらこら。しおらしい女の子は、そんな変な悲鳴はあげません。」
ちょん、と。
リップを塗った唇に、優しく指を当てられる。
ごく自然に間近から目が合って、体だけではなく意識までもが硬直してしまった。
シャツとジャケットにジーンズというカジュアルスタイル。
よくある服装ではあるが、耳に揺れる十字架のイヤリングと、胸元に下がったプレートネックレスが、ちょっとしたワイルドさを伴った若さを醸し出している。
そういえば、ジョーとしての建前では同い年だが、アルシードは自分より三つ下の二十七歳。
まだまだ若いのだから、アクセサリーといったおしゃれにも敏感か。
これまではきっちりとした軍の制服姿か、落ち着いた白衣姿ばかり見ていたので、私服姿が新鮮で仕方ない。
ふんわりとした巻き毛と可愛い顔つきだから、そっち系の服を着ているのかと思いきや、結構スタイリッシュでかっこいい系の服を着るのか。
なんだか、ちょっと背伸びして大人ぶりたい子供みたい。
でも、これはこれでありだと思う。
普通に似合っているし、普通にかっこいいし……
(うおおぉぉっ! 私は、こんなことを考えるタイプだったのかあぁっ!?)
パニック継続中のノアは、上手く言葉を紡げずに口をパクパクとさせる。
対するジョーは、余裕を滲ませた雰囲気で微笑むだけだった。
「いつまで突っ立ってんの? さっさと乗りな。」
ノアの手に買ってきた缶コーヒーを乗せ、ジョーが指差した先にあるのは一台の車。
「車……わざわざ借りてきたのか?」
「まあね。島国のセレニアじゃ、デートの定番といえばドライブだから。」
端的に告げたジョーは、そこで笑みを深める。
「ルルアでルルア式のデートをするのもつまらないでしょ? いい感じに混ぜて、楽しませてあげましょう?」
さりげなく腰に添えられる手。
気付けば自然な流れで導かれて、車の助手席に座らされていた。
「今日はしおらしい女の子として、僕にエスコートされておきなさい。その格好、似合ってるじゃない。」
仕上げとばかりに、ジョーは悪戯っぽいウインクを一つ。
(ふおおぉぉっ!!)
なんだこいつ!
ものすごく手慣れてやがる!!
まさか、何度もこういう経験が…っ!?
急速に速度を上げる鼓動がうるさい。
デートをしたいと言ったのは自分なのだけど、こんなレディ扱いは想定外だ!!
(女の子……女の子って…っ)
「シートベルトをしなさーい。」
いつの間にか運転席に滑り込んでいたジョーが、これまた当然のようにシートベルトをかけてくれる。
「さっきから、何をそんなにテンパってんの?」
ちょっと困ったような色が半分、こちらをからかうような色が半分といった微笑み。
その輝きは、普段から軽く五割は増しているように見えた。
「ん…? アル……お前、耳に何をつけているのだ?」
ふと気付く。
ジョーの耳に、無線式のイヤホンらしきものがはまっているのだ。
「ああ、これね。」
ジョーはイヤホンに指をかける。
「ウルドさんやボディーガードさんたちとの通信用。いくらなんでも、大統領様を一人で連れ出すなんて危ないでしょうが。」
「あ、そういうことか……」
少しだけ、浮かれた気持ちが落ち着いた。
ちょっと前まで、ごりごりの武力主義だったルルアだ。
地位は戦って勝ち取るのが美学と考える連中も多いので、要人の暗殺や襲撃など珍しくもない。
こういう時にもそれを気にしなきゃいけないのは、複雑ではあるのだけど……
(アルは……少しも怯えないのだな……)
シートベルトをして、車のエンジンをかけ始めるジョー。
その態度は堂々としつつも落ち着いたもので、命の危機と背中合わせの状況にいるとは到底思えない。
それは、ドラゴン殲滅部隊の一員として第一線で戦ってきた経験があるからだろうし、表社会と裏社会の双方で情報を支配してきた黒い一面もあるからなのだろう。
(本当に、ルルア向きの度胸をしているよ。)
思い出した殺伐とした緊張感も、すぐに和らいでしまう。
こんなにも気を抜いて身を預けていられるなんて、大統領になってからは初めてかもしれない。
「そんじゃ、出発するよー。」
「ああ! どこへ連れていってくれるのか、楽しみにしているぞ!!」
気分も一転。
ノアは意気揚々と拳を掲げた。
待ち合わせ場所に指定された海浜公園の入り口で、ノアは落ち着かない様子でジョーを待っていた。
お淑やかって何!?
可愛いって、どんな格好だ!?
まさかこんなにあっさりとデートの了承をもらえるなんて思っていなくて、電話の後の自分は大パニック。
翌朝は、ジョーの顔をまともに見られなかった。
すぐに異変を察知した職員たちに嬉しがりながらも泣きつくと、皆は全力のグッドサイン。
『あんら~♪ ジョーさんってば、そういうのが好み~?』
にやにやと表情をだらしなくしながら、最近のファッションのトレンドからとっておきの美容室など、何から何まで丁寧に教えてくれた。
「こ……これでいいのか…?」
夜に一緒にショッピングに付き合ってくれた彼女たちは、これなら大丈夫だと言ってくれたが……正直、自信はない。
個人的に異性と出かけるなんて、キリハを引きずってセレニア観光をしたくらいだもの。
「まったく……ガチガチに緊張しすぎ。」
「うひょわぁっ!?」
突然背後から冷たい何かを頬に当てられて、ノアは思い切り飛び上がる。
「こらこら。しおらしい女の子は、そんな変な悲鳴はあげません。」
ちょん、と。
リップを塗った唇に、優しく指を当てられる。
ごく自然に間近から目が合って、体だけではなく意識までもが硬直してしまった。
シャツとジャケットにジーンズというカジュアルスタイル。
よくある服装ではあるが、耳に揺れる十字架のイヤリングと、胸元に下がったプレートネックレスが、ちょっとしたワイルドさを伴った若さを醸し出している。
そういえば、ジョーとしての建前では同い年だが、アルシードは自分より三つ下の二十七歳。
まだまだ若いのだから、アクセサリーといったおしゃれにも敏感か。
これまではきっちりとした軍の制服姿か、落ち着いた白衣姿ばかり見ていたので、私服姿が新鮮で仕方ない。
ふんわりとした巻き毛と可愛い顔つきだから、そっち系の服を着ているのかと思いきや、結構スタイリッシュでかっこいい系の服を着るのか。
なんだか、ちょっと背伸びして大人ぶりたい子供みたい。
でも、これはこれでありだと思う。
普通に似合っているし、普通にかっこいいし……
(うおおぉぉっ! 私は、こんなことを考えるタイプだったのかあぁっ!?)
パニック継続中のノアは、上手く言葉を紡げずに口をパクパクとさせる。
対するジョーは、余裕を滲ませた雰囲気で微笑むだけだった。
「いつまで突っ立ってんの? さっさと乗りな。」
ノアの手に買ってきた缶コーヒーを乗せ、ジョーが指差した先にあるのは一台の車。
「車……わざわざ借りてきたのか?」
「まあね。島国のセレニアじゃ、デートの定番といえばドライブだから。」
端的に告げたジョーは、そこで笑みを深める。
「ルルアでルルア式のデートをするのもつまらないでしょ? いい感じに混ぜて、楽しませてあげましょう?」
さりげなく腰に添えられる手。
気付けば自然な流れで導かれて、車の助手席に座らされていた。
「今日はしおらしい女の子として、僕にエスコートされておきなさい。その格好、似合ってるじゃない。」
仕上げとばかりに、ジョーは悪戯っぽいウインクを一つ。
(ふおおぉぉっ!!)
なんだこいつ!
ものすごく手慣れてやがる!!
まさか、何度もこういう経験が…っ!?
急速に速度を上げる鼓動がうるさい。
デートをしたいと言ったのは自分なのだけど、こんなレディ扱いは想定外だ!!
(女の子……女の子って…っ)
「シートベルトをしなさーい。」
いつの間にか運転席に滑り込んでいたジョーが、これまた当然のようにシートベルトをかけてくれる。
「さっきから、何をそんなにテンパってんの?」
ちょっと困ったような色が半分、こちらをからかうような色が半分といった微笑み。
その輝きは、普段から軽く五割は増しているように見えた。
「ん…? アル……お前、耳に何をつけているのだ?」
ふと気付く。
ジョーの耳に、無線式のイヤホンらしきものがはまっているのだ。
「ああ、これね。」
ジョーはイヤホンに指をかける。
「ウルドさんやボディーガードさんたちとの通信用。いくらなんでも、大統領様を一人で連れ出すなんて危ないでしょうが。」
「あ、そういうことか……」
少しだけ、浮かれた気持ちが落ち着いた。
ちょっと前まで、ごりごりの武力主義だったルルアだ。
地位は戦って勝ち取るのが美学と考える連中も多いので、要人の暗殺や襲撃など珍しくもない。
こういう時にもそれを気にしなきゃいけないのは、複雑ではあるのだけど……
(アルは……少しも怯えないのだな……)
シートベルトをして、車のエンジンをかけ始めるジョー。
その態度は堂々としつつも落ち着いたもので、命の危機と背中合わせの状況にいるとは到底思えない。
それは、ドラゴン殲滅部隊の一員として第一線で戦ってきた経験があるからだろうし、表社会と裏社会の双方で情報を支配してきた黒い一面もあるからなのだろう。
(本当に、ルルア向きの度胸をしているよ。)
思い出した殺伐とした緊張感も、すぐに和らいでしまう。
こんなにも気を抜いて身を預けていられるなんて、大統領になってからは初めてかもしれない。
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「ああ! どこへ連れていってくれるのか、楽しみにしているぞ!!」
気分も一転。
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