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194,手術開始!
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194,手術開始!
「くっ……!」
いきなり目の前が真っ白になり、ギュンギュンと魔力が大気を巡っていくのを感じた。
「……着きました! 魔書館です! 誰かいませんかー!」
ナナカは大声で、本の山に向かって叫ぶ。
……ここが魔書館か……。
俺はあたりを見回す。あるのは、本棚と本と椅子のみ。
「…………状況は理解しているわ。今すぐこちらに梨紗を!」
「シーナお姉さま!」
「わかった! そこに運べばいいんだな!?」
俺は梨紗を揺らさないように、そっと持ち上げる。声の主は、無数にある部屋の一室で、ナナカを呼んでいた。
「ここのベッドに寝かせてください! そうしたらあとは私がやりますので!」
銀髪のお姉さんがテキパキと指示を出す。
「わ、わかった!」
そっと梨紗を真っ白なシーツの敷かれた無機質なベッドに寝かせる。
「ぐっ……」
痛そうな梨紗の声。もう少しだけ我慢してくれ!
「今から梨紗を治療します。先に血の確保をしましょう」
彼女は透明な袋に詰められた血を取り出した。そして、それを鉄の棒にぶら下げ、そこから伸びる針を梨紗の腕に刺した。
「輸血です。これから手術を始めます」
シーナさんはどこからか薄い手袋を取り出し、手にはめた。そしてマスクをし、白衣を気着、帽子をかぶる。
「手術を始めます。ナナカ、そこのメスを取ってください」
「は、はい」
ナナカも似たような格好になり、慌ててシーナさんに銀色に光る小刀を、机の上に並んだ器具の中から取り出し渡した。
そしてシーナさんは、小刀を梨紗のお腹に押し当てた。
「切開を開始します」
プシャ、切られた梨紗のお腹から鮮血が飛び散った。
「これはひどい状況ですね……」
「うわっ……」
むき出しの臓器。どれもが血みどろだ。
「うぷっ……」
ナナカはそれを見て口元を押さえた。
「ここまでの傷、普通の医術では完治させることは不可能です。医者もさじを投げるでしょう。でも、魔術、魔法は違います」
シーナさんはメスを一旦置き、魔導書を取り出した。
「……開放!」
声高に魔導書を持って叫ぶ。すると――
「……赤く、なった?」
シーナさんの髪色が、銀髪からナナカと同じ赤色になった。
「賢者の写本! 彼女に癒やしの奇跡を!」
持っていた本から緑色の癒やしの光……ヒール、いや、ハイ・ヒールを傷に振りまく。
「す、凄え……」
ハイ・ヒール。ヒールの上位版だ。もちろん、ヒールよりも、どれをとっても上の性能だ。傷の治りの速さ、再生の綺麗さ、魔力消費。しかし、それだけでない。ハイ・ヒールのすごいところは、呪いなどもかき消せるということだ。さらに習得がヒールを習得して、さらにいろいろな条件をクリアしなければならない。今俺の世界で使える。
「ぐぅぅ……!」
梨紗はもがき、苦しみだした。
「……これ以上は本人の体力の限界を超えます。ヒールを一旦終了します」
そう、ヒールは傷を治すが、ただ治すだけではない。使うには患者の体力が必要なのだ。患部の再生は、自己治癒力を高めて行うもの。そのため、患者の体力が無ければ行えない。伝説のエリクサーなどにはそんなデメリットは存在しないらしいが、ポーションも同じだ。ただ、ヒールは治せる範囲が広い。そこが違いだ。
「、内臓はこれでなんとかなるかもしれません。あとは、縫合をしましょう。それと、ガーゼパッキングを行います」
「……ガーゼパッキング?」
ガーゼパッキングとは、多量の出血で手術が続行困難と判断された場合に行われる手法である。特に内臓の中でも肝臓などは多くの血管が通っているため、傷口が数か所に及ぶ場合、患者が耐えられない。そのため、ガーゼで患部を覆い、固まるのを待ち、患者の体力の回復を待つ。しかし、これは応急処置に過ぎないため、三日ほどしたらまた手術を再開せねばならない。
「……これでよし。なんとか窮地は脱しました」
帽子を取り、ふぅ、と一息つく。
「次はそこの彼女をやりましょう。彼女も重症です」
シーナさんはリーヴァを見た。
「あ……」
リーヴァは立ち上がろうとしたが、力が入らないのか、よろめいて、また座り込んだ。
「あ、そのままでお願いします。……そうですね、骨折が多いようですが、大丈夫でしょう。ポーションを無理やり飲ませたのが効いているようです。骨はもうくっつき始めています。それに、応急処置で塞いだ皮膚の下ではもう筋繊維が修復を始めています」
「う……」
ぐったりと、弱々しく呻く。
「しかし、体力が落ちています。感染症などが心配なので、抗生物質を飲ませておきましょう」
テキパキと処置を行い、あっという間に二人を別の部屋に運んだ。
「……ふぅ」
そして十数分後、やや疲れた顔で俺たちのもとへ戻ってきた。
「とりあえず二人はこれで大丈夫でしょう」
「ありがとうございますシーナお姉さまー!」
ナナカがシーナさんに飛びついた。
「こらこら、まだ窮地を脱しきったわけではありませんよ」
シーナさんはやんわりとナナカをたしなめる。
「さて、次はネリアさんの治療です。……いえ、義弟と呼んだほうがいいのかですかね?」
「…………へ?」
「ちょっ! ちょっとシーナお姉さま! 何を言っているんですか!?」
「いえ、私はただ未来の――」
「これ以上はしゃらーっぷ! です!」
もがもがと口を塞がれながらも、何かを喋ろうとするシーナさん。なんか微笑ましいな……
「……ご主人!?」
「ネリアさん!」
ぐらりと視界が揺れた。
「くっ……!」
いきなり目の前が真っ白になり、ギュンギュンと魔力が大気を巡っていくのを感じた。
「……着きました! 魔書館です! 誰かいませんかー!」
ナナカは大声で、本の山に向かって叫ぶ。
……ここが魔書館か……。
俺はあたりを見回す。あるのは、本棚と本と椅子のみ。
「…………状況は理解しているわ。今すぐこちらに梨紗を!」
「シーナお姉さま!」
「わかった! そこに運べばいいんだな!?」
俺は梨紗を揺らさないように、そっと持ち上げる。声の主は、無数にある部屋の一室で、ナナカを呼んでいた。
「ここのベッドに寝かせてください! そうしたらあとは私がやりますので!」
銀髪のお姉さんがテキパキと指示を出す。
「わ、わかった!」
そっと梨紗を真っ白なシーツの敷かれた無機質なベッドに寝かせる。
「ぐっ……」
痛そうな梨紗の声。もう少しだけ我慢してくれ!
「今から梨紗を治療します。先に血の確保をしましょう」
彼女は透明な袋に詰められた血を取り出した。そして、それを鉄の棒にぶら下げ、そこから伸びる針を梨紗の腕に刺した。
「輸血です。これから手術を始めます」
シーナさんはどこからか薄い手袋を取り出し、手にはめた。そしてマスクをし、白衣を気着、帽子をかぶる。
「手術を始めます。ナナカ、そこのメスを取ってください」
「は、はい」
ナナカも似たような格好になり、慌ててシーナさんに銀色に光る小刀を、机の上に並んだ器具の中から取り出し渡した。
そしてシーナさんは、小刀を梨紗のお腹に押し当てた。
「切開を開始します」
プシャ、切られた梨紗のお腹から鮮血が飛び散った。
「これはひどい状況ですね……」
「うわっ……」
むき出しの臓器。どれもが血みどろだ。
「うぷっ……」
ナナカはそれを見て口元を押さえた。
「ここまでの傷、普通の医術では完治させることは不可能です。医者もさじを投げるでしょう。でも、魔術、魔法は違います」
シーナさんはメスを一旦置き、魔導書を取り出した。
「……開放!」
声高に魔導書を持って叫ぶ。すると――
「……赤く、なった?」
シーナさんの髪色が、銀髪からナナカと同じ赤色になった。
「賢者の写本! 彼女に癒やしの奇跡を!」
持っていた本から緑色の癒やしの光……ヒール、いや、ハイ・ヒールを傷に振りまく。
「す、凄え……」
ハイ・ヒール。ヒールの上位版だ。もちろん、ヒールよりも、どれをとっても上の性能だ。傷の治りの速さ、再生の綺麗さ、魔力消費。しかし、それだけでない。ハイ・ヒールのすごいところは、呪いなどもかき消せるということだ。さらに習得がヒールを習得して、さらにいろいろな条件をクリアしなければならない。今俺の世界で使える。
「ぐぅぅ……!」
梨紗はもがき、苦しみだした。
「……これ以上は本人の体力の限界を超えます。ヒールを一旦終了します」
そう、ヒールは傷を治すが、ただ治すだけではない。使うには患者の体力が必要なのだ。患部の再生は、自己治癒力を高めて行うもの。そのため、患者の体力が無ければ行えない。伝説のエリクサーなどにはそんなデメリットは存在しないらしいが、ポーションも同じだ。ただ、ヒールは治せる範囲が広い。そこが違いだ。
「、内臓はこれでなんとかなるかもしれません。あとは、縫合をしましょう。それと、ガーゼパッキングを行います」
「……ガーゼパッキング?」
ガーゼパッキングとは、多量の出血で手術が続行困難と判断された場合に行われる手法である。特に内臓の中でも肝臓などは多くの血管が通っているため、傷口が数か所に及ぶ場合、患者が耐えられない。そのため、ガーゼで患部を覆い、固まるのを待ち、患者の体力の回復を待つ。しかし、これは応急処置に過ぎないため、三日ほどしたらまた手術を再開せねばならない。
「……これでよし。なんとか窮地は脱しました」
帽子を取り、ふぅ、と一息つく。
「次はそこの彼女をやりましょう。彼女も重症です」
シーナさんはリーヴァを見た。
「あ……」
リーヴァは立ち上がろうとしたが、力が入らないのか、よろめいて、また座り込んだ。
「あ、そのままでお願いします。……そうですね、骨折が多いようですが、大丈夫でしょう。ポーションを無理やり飲ませたのが効いているようです。骨はもうくっつき始めています。それに、応急処置で塞いだ皮膚の下ではもう筋繊維が修復を始めています」
「う……」
ぐったりと、弱々しく呻く。
「しかし、体力が落ちています。感染症などが心配なので、抗生物質を飲ませておきましょう」
テキパキと処置を行い、あっという間に二人を別の部屋に運んだ。
「……ふぅ」
そして十数分後、やや疲れた顔で俺たちのもとへ戻ってきた。
「とりあえず二人はこれで大丈夫でしょう」
「ありがとうございますシーナお姉さまー!」
ナナカがシーナさんに飛びついた。
「こらこら、まだ窮地を脱しきったわけではありませんよ」
シーナさんはやんわりとナナカをたしなめる。
「さて、次はネリアさんの治療です。……いえ、義弟と呼んだほうがいいのかですかね?」
「…………へ?」
「ちょっ! ちょっとシーナお姉さま! 何を言っているんですか!?」
「いえ、私はただ未来の――」
「これ以上はしゃらーっぷ! です!」
もがもがと口を塞がれながらも、何かを喋ろうとするシーナさん。なんか微笑ましいな……
「……ご主人!?」
「ネリアさん!」
ぐらりと視界が揺れた。
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