中途半端な俺が異世界で全部覚えました

黒田さん信者

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バレンタイン! 〜ナナカ編〜

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「あああ、どうしよう、どうしよう!」
 俺は自衛隊の宿舎でうろうろしている。
「もー、どうしたんですかご主人」
「い、いや、なんでもないが……」 
 暇そうなナナカが読んでいた漫画から顔を上げ、鬱陶しそうに俺を見てきた。
「ちょっとトイレに行ってくるわ」
「はいはいー、行ってらっしゃいませー」
 そう言ってナナカはまた漫画に戻っていった。

「どーすんだよまじで……」
 ことの発端は数時間前に遡る……。





「なあ、バレンタインデーって知ってるか?」
「へ?」
 食堂で魚定食を食べていた俺に、篤人さんがこっそりと聞いてくる。
「いや、知らないですけど……」
「そうか。やはり異世界にはないのか……」
 と悲しそうな顔をする篤人さん。
「なんの日なんですか、バレンタインデーって」
 特別な日だという感じは伝わったが、なんの日かまでは推察出来ない。
「あー、それはだなー」
 珍しく歯切れが悪い篤人さん。
「この世界に伝わるイベントなのだがな、意中の相手に女性からチョコレートを送るというイベントなのだ」
「へー、そんなイベントがあるんですねー」
「お前、淡白だな……」
「ん? これは女性のイベントなんじゃないですか?」
「そうだが、その……チョコをもらえるのかどうかが決まる、男にとっても大事なイベントなのだ」
「なるほどー。まあ、俺は別に気にしないですかね」
「ネリア、お前はきっと女性関連で苦労する。間違いない」
 篤人さんはここでごほんと咳払いを一つ。
「でだ。ここからが本題なんだ。バレンタイン、つまり2月十四日まで残り五日。俺はある人からのチョコが欲しい。初めてなんだ、ここまで女性を好きになったのは」
「おっ! 篤人さんがそこまで思いを寄せる人がいるんですか!?」
 なんだか俄然興味が出てきたぞ! ストイックで女性を寄せ付けない篤人さんが好意を寄せる女性とは!?
「俺はどうしてもその人からのチョコがほしいんだ。義理でも構わない」
 おおお! そこまでの愛とは!
「で、誰なんですか!? その人は!」
 麻田小隊のメンバーの人かな?
「……ナナカさんだ」
「……………………はい?」
 い、今、ナナカって言わなかった?
「あの燃えるような赤髪、可愛らしい笑顔、気さくな感じ、全てがたまらないんだ!」
 ガタッ! と椅子から弾かれるように立ち上がる。
「ちょっ! 抑えて抑えて!」
 他の人達が注目してますから!
「お、おお、すまん」
 はっと我に返り、椅子に座りなおす篤人さん。
「しかしよりにもよってナナカですか。驚きましたよ」
 まさかナナカだとは。てっきり羽佐田さんとか、奈美とか、梨沙だと思ってたわ。
「ネリア、お願いがあるんだ」
 篤人さんがこれ以上無いぐらい真剣な顔で俺を見つめる。あ、これ、やな予感がするよ。
「ナナカさんからチョコを貰えるように、ネリアからナナカさんに言ってくれないか?」
 ほらー! やっぱりめんどくさいやつじゃんー!
「え、でも、その」
「頼む! このとおりだ!」
 篤人さんは立ち上がり、地面に膝をつく。
「本当に頼む!」
そして額を床に擦り付ける。
「え! ちょー!」
 DOGEZA。土下座である。日本古来から伝わる最強の謝罪、お願いの姿勢。
「た、立ってください! ほら、みんな見てますからー!」
 何事かと人がわらわら集まってきちゃった!
「なんでもする! お願いだー!」
「わ、わかりましたから立ち上がってー!」





 と、いうことなんだぜ。
 まじでどうすればいいんだよこれ。失敗したら自殺しそうな勢いの篤人さんと別れてから、作戦を考えてるけど、まじでなにも浮かばないのな。俺の脳みそってポンコツ! ……まあ、いまさらなんだが。
 まじでどうすっかなー。
 悶々と考えているうちにも時間は刻一刻と過ぎていく。
「と、とりあえず、篤人さんをナナカが知ってるかだよなまずは」
 トイレから出て、漫画を読んでいるナナカのもとへ近づく。
「な、なあナナカ」
「はい何でしょうご主人」
 さあ、ここからが本題だぞ俺。
「篤人さんってわかるか? ほら、俺の小隊の人なんだが」
「……あー、わかりますわかります。たしかプロレス好きの方でしたよね」
「何その情報俺知らない」
 あの人プロレス好きなの? ギャップ萌え!(現実逃避)
「あとは、メガネで、長身のイケメンさんですよね? 覚えてますよー。それがどうしました?」
「よ、よかった、覚えていてくれたか……」
 とりあえず第一関門クリア!
「いや、そのだな、こんど篤人さんが遅くなったが、新人歓迎会をしてくれるそうなんだ。お前も来るか?」
「行きます! 美味しいところに連れて行ってくれるんですかね!」
 多分、お前が参加するって聞いたら、篤人さんは予約している店を少なくともツーランクは上げてくれると思うぞ。
「おっけおっけ、参加するって伝えとくわ」
 とりあえず話題導入は成功。ここからだ。
「今日なんだけど、急に訓練休みになったからさ、買い物に行かないか?」
 篤人さんが今日一日を休みにしてくれた。その分、プレッシャーが重い。
「どうしたんですかご主人! 今日のご主人はご主人らしくありませんよ!? 行きます行きます! 四十秒で支度します!」
「そこまで焦らなくていいからな?」





「ふんふーん、ふふふーん」
「ごきげんだな」
「そりゃあもう! ナナカちゃん大勝利ですよ!」
「え? ナナカちゃん大勝利?」
「なんでもないです! さあ、行きましょうご主人!」
「へいへい」
 外出許可証をもらい、俺達は地下鉄に揺られ、銀座に来ていた。
「…………すっげぇきらびやかなのな、ここ」
 改札を出て、外に出ると、そこは華やかな店が立ち並ぶエリアだった。
「わー! きれいですねご主人!」
 もこもこの白いコートに、黒いブーツ。茶色のスカート。なんかあれだな、どっかで見たことのある配色――
「今日の私の服、どうですか? チョコレートを意識してみたんですよ」
「ぶほっ!」
 むせた。そのワードがナナカから出てくるとは。
「か、かわいいよ、うん」
 なんだか先手を打たれた気分。
「うへへ、ありがとうございまーす! あ、そういえばご主人、バレンタインデーって知っていますか?」
「ぶふほっ!」
 今度こそむせた。
「ししし、知ってるさ! チョコレートがチョコレートして、チョコレートする日だろ!? そーいえば、ナナカさんは誰にチョコレートを渡すのカナ!?」
 まさかコイツ、俺の目的を知っていた!?
 今日の俺の作戦。銀座で何気なくバレンタイン知らないアピールして、チョコレートが篤人さんにも届くようにする作戦。はい、失敗!
「ご主人、なんだかチョコレートが擬人化、動詞化されてますよ? あー、もしかしてぇ」
 ニヤリと小悪魔的な笑顔を浮かべるナナカ。
「チョコ、欲しいんですかぁ?」
「……うん、まあ、欲しいかな」
 本当はもっと欲しがっている人がいるのだが……
「まー、気分次第ですね! もっとナナカちゃんを褒め称えれば、チョコが製造されるかもですよ!」
「なに! ほんとうか!」
 過剰製造させれば篤人さんのもとにもチョコレートが届くのでは!
「ナナカかわいいよナナカ。あれだな、まじ天使だよな。その赤髪とかまじ最高。俺好み。身長もまじ萌え。ベストサイズ。服のセンスもいいし。料理もうまい。良いお嫁さんになるな、間違いない。そのパッチリした目、最高だぜ。本当に妖精だわ。他にも――」
「も、もう止めてくだひゃい……」
 耳まで真っ赤にしたナナカがうつむきながら熱弁する俺の袖を掴む。
「こ、公衆の面前で……もうお嫁に行けないっ!」
「あちょまっ!」
 ナナカが顔を隠し全力ダッシュ! 追いかけねば!
「俺は嘘を言っていないぞー! 全部真実だー!」
 追いかけながら叫ぶ。気を悪くしたなら謝る! まじで嘘は言って無いからな!
「今日のご主人はデレが強すぎますー!」
 結局追いかけっこは小一時間続き、体力切れですぐ帰ることになった。篤人さんごめん……。





      バレンタイン当日!



「……結局言い出せなかった……」
 ナナカに俺以外の、特に篤人さんにあげる予定はないか確認しようとしたのだが、この数日間、あからさまに避けられていた。
「あああ、まじでどーしよ」
 最悪俺がそこら辺でチョコレートを買ってきて、ナナカのぱんつとともに渡すか――
 なんて考えていた朝のブリーフィング。
「えー連絡はこれで以上です。あと、今日はゲストが来てくれています」
 隊長の話が耳に入らないぐらい、俺は考え込んでいる――
「どうもー! お久しぶりです! ナナカです!」
 …………あれっ?
「今日はバレンタインなので、皆さんにチョコレートをお配りしようと思いまして」
 ナナカはいそいそとカバンからチョコレートを取り出す。
「どうぞ篤人さん。甘いものはお好きですか?」
「だだだ、大好きです! ほんとうにもう! 大好きです!」
「それはよかったです。あ、それならもう一個どうぞ!」
「ああっ! ありがたき幸せ!」
 ナナカから手渡しのチョコレートを貰った篤人さんは膝から崩れ落ちた。
「ああ……ありがとう……ありがとう……」
 そして全てのチルドレンに! とか言いそうなので、なるべく視線を逸らす。
「隊長さんもどうぞ!」
「おー、すいませんね、わざわざ私の分まで用意していただいて」
 麻田隊長はにこやかにチョコレートを受け取る。
「いえいえー、いつもご主人がお世話になってます」
 オカンか。
「竜心さんもどうぞ」
「ありがとっす!」
 とまあ、チョコの受け渡しは滞りなく進み(女性陣も貰った)、ナナカは俺の前に来た。
「ど、どうぞっ!」
 ナナカが勢い良く俺に突き出してきたそのチョコレートは――
「……これ、重くないか?」
 軽く総重量五キロは超えているであろう、剣型チョコレートだった。
「それだけ愛が強いってことですよネリア」
 羽佐田さんがもっもっとチョコレートを食べながら呟く。
「あ、私達からは後で渡すからねー」
 奈美が楽しそうにみんなに告げる。
「ご主人」
 改めて俺を見つめるナナカ。
「さて問題です! このチョコレートは義理でしょうか、それとも――」









 【バレンタイン。いかがだったでしょうか。慌ててバレンタインじゃー! って書いたものなので、内容薄いです。篤人さんのナナカ愛を見せたかっただけなんです。
 で、他の人なんですけどね………………書く余力があったら書きます! ソアさんとかソアさんとか! ネタはあるんです! でも、書く元気が! 無いっ! ……まあ、がんばって、せめてソアさんぐらいは書こうと思います。できれば他のヒロインも。では! 良いバレンタインを!(私ですか? バレンタインイベント周回楽しいぜいやっほい!)】
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