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第一章 毒師よ目覚めよ
3,毒師ってショボくないですか?
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3,毒師ってショボくないですか?
「……ここらへんか」
レミさんと別れ、俺は城下町へと出た。
「……これが異世界の市場か……!」
途端に人で溢れた道が俺の目に飛び込んできた。
「らっしゃい! 安いよ安いよ!」
「おお、そこのお嬢さん! この首飾りなんてお似合いです!」
活気に満ちているのは、俺の世界となんら変わらない。ただ、少し違うのは文字だ。
「……読めるっちゃ読めるな」
どういうわけか、日本語でも英語でも無い文字なのだが、読めるのだ。そういえば、この世界でも違和感なく喋れているっていうのも、もしかしたら転生したからなのか?
「……すいませーん」
とりあえず俺は先程同様、情報を集めることにした。
「あいよ。兄ちゃん、何を注文するんだい?」
俺は近くで何か食い物の屋台をしていたオヤジに話しかけてみた。
「ああいや、注文はするからよ、何個か質問してもいいか? ほら、この格好を見ればわかるとは思うけど、俺、遠くの国から来た旅人なんだ」
「ほー、言われてみりゃあ確かにここいらでは見ない服だな。いいぜ、答えてやるよ」
よし、見立て通り、質問したら答えてくれそうな感じで良かったぜ。
「えーっと、まずこの国の名前は?」
「え? そんなことも知らずに来たんか? この国はだな、国王レドロスⅦ世様が治める『メギド』だ。活気に満ちてて、サイコーの国だぜ」
「だな。俺もそう思う。あと、金なんだが……」
「あ? まさかてめぇ、無一文……」
「ああ、違う違う! ほら!」
慌てて麻袋を取り出し、ジャラッと中身を出す。
「なんでぇ、そこそこ持ってるじゃねぇか」
オヤジはそう言いながら、3枚銅貨を抜き取り、そして何か俺の前に差し出す。
「まずはコイツを食え。レードリザードの尻尾の串焼きだ」
「あ、どうも」
俺は素直に受け取る。そして、恐る恐る一口――
「……うまっ!」
めちゃくちゃうまい。牛肉よりも固いが、ホロホロと崩れる感じで、何よりも粗めに振られた塩がめちゃくちゃパンチが効いてる! 肉汁もたっぷりで、クセになるぜこの旨さ!
「おっ、兄ちゃんイケる口だな。で、なんだっけ? 金についてだったか」
「あ、ああ、そう。この国の金をもらったはいいけど、相場とかがわからないんだ」
「はいよ。まず、さっきオレが取った硬貨が一銅貨。んで、百銅貨で一銀貨。そして百銀貨で一金貨、百金貨で一白金貨だな。宿だったら一五銅貨ぐらいが相場だな」
「なるほど……」
俺は串焼きを食べながら考える。一銀貨をレミさんに貰ったので、宿に大体六日泊まれるのか。
「あと、ここいらで働き手を募集している店とかって心当たり無い? なんならおっちゃんのこの屋台で働かせてほしいんだけど」
金は使えばなくなる。そんな事、子供だってわかっている。今は帰るだとか、そんな事を考えるより、生き抜くのが先決だ。
「あいにくこの屋台はオレ一人で十分だ。ただ、近くにある豪傑の店『竈亭酒場』なら、もしかしたら……」
「お、マジか! サンキュおっちゃん!」
「おうよ。もし決まったらまた来いよ」
俺はおっちゃんに礼を言って別れた。そして、少し疲れたので、道から少し外れて裏路地の方へ。
「ふー、なんとか落ち着いたけど、まじでなんだこの状況?」
近くの木箱に座り、改めてウィンドウを開く。
「普通、異世界転生だとかって、チュートリアルとかあるもんだろ……それに転生特典とか」
しかし、ないものねだりはできない。俺は泣く泣くじっくりとステータスウィンドウを見る。
「大木 柊夜、職業『毒師』か……それ以外にはなんにもねー」
他にもインベントリとかいう、クソ便利な機能を発見したが、ページの隅から隅までスクロールしてみても何もなかった。一応金の入った袋はそこに入れておく。
「……とりあえず状況確認からか?」
まずは名前。俺は大木 柊夜、一八歳。今年大学に入った、一年生だ。ええっと、ここに来た経緯は……覚えていない。いやほんとに。覚えていることとしては、なんだか暗い空間を彷徨っていたことぐらいか?
「にしても毒師ねぇ……」
まだまだわからない事だらけなので、毒師の説明が出ていたので読んでみる。
固定職業毒師。毒師はオリジナルスキル『耐毒』『毒生成』を得ることができる。毒師は毒に関するスキルの熟練度にボーナスがかかる。……その先の文字はなぜか読み進めることができなかった。
「……なんじゃこりゃ」
毒に全振りじゃねぇかよ。まあ、まずはオリジナルスキルを習得してみるか。
職業をタップし、そこから進んだところにあるオリジナルスキル習得を押す。
【耐毒】 【毒生成】 を取得しました_
「おお、習得できた。んで、どんな感じなんだ?」
今取得したスキルをタップし、詳細を開く。
『耐毒Ⅰ』 1/1000
レベルⅠの毒にそこそこ耐えることができる。レベルⅡの毒に少し耐えることができる。
『毒生成Ⅰ』 1/1000
体内の毒素を排出できる。
「……なるほど……」
スキルの熟練度は1000か。多分、使っていくごとに熟練度が上がっていくシステムなんだろう。にしてもだ。
「……ショボいなぁ……」
耐毒はたしかに便利な気がする。というか使える。問題は毒生成のほうだ。
「体内の毒素を排出? ……ああ、あれか、デトックスってやつか」
毒素が毒生成に繋がるとはちょっと考えにくいが、まあ、やってみるか。
「スキル行使……?」
スキルの使い方がよくわからんので、パッと思いついた言葉を言ってみる。すると――
「……うおっ、指先からなんか出てきた⁉」
俺の右の人差し指から黒くて少し粘度の高い……いうなれば石油のような液体がドロッと溢れ出してきた。
「うぅ、なんだか不思議な感覚だ……」
ドロドロと指先から出てくる黒い液体を見つめる。これが毒素か?
「……げ、次は透明な液体が出てきたんだけど……」
徐々に色が薄まってきて、今度は透明な液体が出てきた。どちらかというとサラサラしているが、若干とろみがある。
「……わかった、油だこれ」
液体の排出はその後、一分間続いた。
「お、止まった」
液体の排出が終わったので、ウィンドウを開き、スキルスロットを見てみる。
「……毒生成スキル3/1000……まあ、少しだけ上がったって感じか。それよりも……」
どちゃぁ……と粘度の高い黒い液体と、サラサラした油のぶち巻かれた地面を見て、ため息をつく。
「どーすんだこれ」
これが毒になるとは思えない。もしかして、熟練度が上がるまでこれしか出せない……?
仕方がないので、一旦スキルのことは置いておき、職探しに励むことにした。
「よっこいせっ……!」
俺は立ち上がり、メインストリートに戻ろうとする――
「……あれっ? なんかすげー体の調子がいい?」」
立ち上がった瞬間感じた、なんだか体がすっげー軽いんだけど⁉
「もしかしてさっきのデトックスの効果か……?」
おいおい、もしかして超便利スキルだったのでは⁉
「っと、それよりも先に師仕事探しだ。竈亭酒場だっけか……?」
そろそろ日も暮れてきそうなので、急いで探さないとな。
「……ここらへんか」
レミさんと別れ、俺は城下町へと出た。
「……これが異世界の市場か……!」
途端に人で溢れた道が俺の目に飛び込んできた。
「らっしゃい! 安いよ安いよ!」
「おお、そこのお嬢さん! この首飾りなんてお似合いです!」
活気に満ちているのは、俺の世界となんら変わらない。ただ、少し違うのは文字だ。
「……読めるっちゃ読めるな」
どういうわけか、日本語でも英語でも無い文字なのだが、読めるのだ。そういえば、この世界でも違和感なく喋れているっていうのも、もしかしたら転生したからなのか?
「……すいませーん」
とりあえず俺は先程同様、情報を集めることにした。
「あいよ。兄ちゃん、何を注文するんだい?」
俺は近くで何か食い物の屋台をしていたオヤジに話しかけてみた。
「ああいや、注文はするからよ、何個か質問してもいいか? ほら、この格好を見ればわかるとは思うけど、俺、遠くの国から来た旅人なんだ」
「ほー、言われてみりゃあ確かにここいらでは見ない服だな。いいぜ、答えてやるよ」
よし、見立て通り、質問したら答えてくれそうな感じで良かったぜ。
「えーっと、まずこの国の名前は?」
「え? そんなことも知らずに来たんか? この国はだな、国王レドロスⅦ世様が治める『メギド』だ。活気に満ちてて、サイコーの国だぜ」
「だな。俺もそう思う。あと、金なんだが……」
「あ? まさかてめぇ、無一文……」
「ああ、違う違う! ほら!」
慌てて麻袋を取り出し、ジャラッと中身を出す。
「なんでぇ、そこそこ持ってるじゃねぇか」
オヤジはそう言いながら、3枚銅貨を抜き取り、そして何か俺の前に差し出す。
「まずはコイツを食え。レードリザードの尻尾の串焼きだ」
「あ、どうも」
俺は素直に受け取る。そして、恐る恐る一口――
「……うまっ!」
めちゃくちゃうまい。牛肉よりも固いが、ホロホロと崩れる感じで、何よりも粗めに振られた塩がめちゃくちゃパンチが効いてる! 肉汁もたっぷりで、クセになるぜこの旨さ!
「おっ、兄ちゃんイケる口だな。で、なんだっけ? 金についてだったか」
「あ、ああ、そう。この国の金をもらったはいいけど、相場とかがわからないんだ」
「はいよ。まず、さっきオレが取った硬貨が一銅貨。んで、百銅貨で一銀貨。そして百銀貨で一金貨、百金貨で一白金貨だな。宿だったら一五銅貨ぐらいが相場だな」
「なるほど……」
俺は串焼きを食べながら考える。一銀貨をレミさんに貰ったので、宿に大体六日泊まれるのか。
「あと、ここいらで働き手を募集している店とかって心当たり無い? なんならおっちゃんのこの屋台で働かせてほしいんだけど」
金は使えばなくなる。そんな事、子供だってわかっている。今は帰るだとか、そんな事を考えるより、生き抜くのが先決だ。
「あいにくこの屋台はオレ一人で十分だ。ただ、近くにある豪傑の店『竈亭酒場』なら、もしかしたら……」
「お、マジか! サンキュおっちゃん!」
「おうよ。もし決まったらまた来いよ」
俺はおっちゃんに礼を言って別れた。そして、少し疲れたので、道から少し外れて裏路地の方へ。
「ふー、なんとか落ち着いたけど、まじでなんだこの状況?」
近くの木箱に座り、改めてウィンドウを開く。
「普通、異世界転生だとかって、チュートリアルとかあるもんだろ……それに転生特典とか」
しかし、ないものねだりはできない。俺は泣く泣くじっくりとステータスウィンドウを見る。
「大木 柊夜、職業『毒師』か……それ以外にはなんにもねー」
他にもインベントリとかいう、クソ便利な機能を発見したが、ページの隅から隅までスクロールしてみても何もなかった。一応金の入った袋はそこに入れておく。
「……とりあえず状況確認からか?」
まずは名前。俺は大木 柊夜、一八歳。今年大学に入った、一年生だ。ええっと、ここに来た経緯は……覚えていない。いやほんとに。覚えていることとしては、なんだか暗い空間を彷徨っていたことぐらいか?
「にしても毒師ねぇ……」
まだまだわからない事だらけなので、毒師の説明が出ていたので読んでみる。
固定職業毒師。毒師はオリジナルスキル『耐毒』『毒生成』を得ることができる。毒師は毒に関するスキルの熟練度にボーナスがかかる。……その先の文字はなぜか読み進めることができなかった。
「……なんじゃこりゃ」
毒に全振りじゃねぇかよ。まあ、まずはオリジナルスキルを習得してみるか。
職業をタップし、そこから進んだところにあるオリジナルスキル習得を押す。
【耐毒】 【毒生成】 を取得しました_
「おお、習得できた。んで、どんな感じなんだ?」
今取得したスキルをタップし、詳細を開く。
『耐毒Ⅰ』 1/1000
レベルⅠの毒にそこそこ耐えることができる。レベルⅡの毒に少し耐えることができる。
『毒生成Ⅰ』 1/1000
体内の毒素を排出できる。
「……なるほど……」
スキルの熟練度は1000か。多分、使っていくごとに熟練度が上がっていくシステムなんだろう。にしてもだ。
「……ショボいなぁ……」
耐毒はたしかに便利な気がする。というか使える。問題は毒生成のほうだ。
「体内の毒素を排出? ……ああ、あれか、デトックスってやつか」
毒素が毒生成に繋がるとはちょっと考えにくいが、まあ、やってみるか。
「スキル行使……?」
スキルの使い方がよくわからんので、パッと思いついた言葉を言ってみる。すると――
「……うおっ、指先からなんか出てきた⁉」
俺の右の人差し指から黒くて少し粘度の高い……いうなれば石油のような液体がドロッと溢れ出してきた。
「うぅ、なんだか不思議な感覚だ……」
ドロドロと指先から出てくる黒い液体を見つめる。これが毒素か?
「……げ、次は透明な液体が出てきたんだけど……」
徐々に色が薄まってきて、今度は透明な液体が出てきた。どちらかというとサラサラしているが、若干とろみがある。
「……わかった、油だこれ」
液体の排出はその後、一分間続いた。
「お、止まった」
液体の排出が終わったので、ウィンドウを開き、スキルスロットを見てみる。
「……毒生成スキル3/1000……まあ、少しだけ上がったって感じか。それよりも……」
どちゃぁ……と粘度の高い黒い液体と、サラサラした油のぶち巻かれた地面を見て、ため息をつく。
「どーすんだこれ」
これが毒になるとは思えない。もしかして、熟練度が上がるまでこれしか出せない……?
仕方がないので、一旦スキルのことは置いておき、職探しに励むことにした。
「よっこいせっ……!」
俺は立ち上がり、メインストリートに戻ろうとする――
「……あれっ? なんかすげー体の調子がいい?」」
立ち上がった瞬間感じた、なんだか体がすっげー軽いんだけど⁉
「もしかしてさっきのデトックスの効果か……?」
おいおい、もしかして超便利スキルだったのでは⁉
「っと、それよりも先に師仕事探しだ。竈亭酒場だっけか……?」
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