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第一章 毒師よ目覚めよ
4,豪傑の経営する酒場
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4,豪傑の経営する酒場
「ここか? 竈亭酒場ってのは……」
すでに辺りは少しずつ薄暗くなって来ており、夜が来るのは時間の問題だ。
「……うわぁ入りずらっ……」
剛毅な男のための酒場。子供はお断り! って書いてあるんだよなぁ……。
「……ええぃ! 入るしかねえ!」
男は度胸よ! と扉を開け、店に入る。
「すいませーん……」
俺は薄暗く、奥行きのある店内へと足を踏み入れた。
「……まだ開店前だよボーヤ」
俺がキョロキョロ店の人はいないだろうかと探していると、奥の方からよく通る、綺麗なハリのある女性の声が聞こえた。
「あ、すいません! 俺、ここで働きたくって!」
「……ほう? 面白いこと言うねぇ。ちょっと待ってな」
微笑……したのだろうか? 微かに声が軟化し、やがてこちらへと歩いてくる足跡が。
「へぇ……、なかなかにいい顔してんじゃないか」
徐々にシルエットが見えてくる。
「でもまだ男らしさが足りないねぇ」
……そしてついに姿を表した。
「アタシはこの酒場の店主、マゼンタ・ダイン。ボーヤ、名前は?」
彼女は、鋭い眼光、ぷっくりとした色気のある唇、艶のある髪、そして……どどーん! という感じのスタイル。……つまり、大変ふくよかな女性だった。痩せたら絶対にキレイなのに……。
「お、俺は大木 柊夜と言います。お願いします、行くアテもなくて、このままだとヤバいんです」
とりあえず俺の今の現状を伝える。
「ほーう。そこでこの店、ということかい?」
「はい、そこの出店のおっちゃんにおすすめされまして……」
「なるほど……ってことは、アタシのことを知らないんだね?」
「え? あ、はい」
たしかに、店は紹介してもらったが、店主がどんな人か聞くのを忘れてた。
「アタシは元冒険者、朱鬼のマゼンタって通り名で呼ばれてたね。そして、豪傑の一人でもある」
「豪傑?」
ああ、そういえば豪傑の経営する酒場だって言ってたな。
「ボーヤ、もしかして異国から来たの?」
「あっ、そうなんです。俺、この国のこと、なんにも知らなくて……」
まあ、異国というか、異世界なんですけどね来たの。
「ふぅん……なら説明してあげるわ。豪傑は国が定めた十人の猛者のことよ。それで、アタシ、朱鬼のマゼンタは荒くれで有名なんだけど……」
ズイッ、と大変圧のある顔を俺に近づける。
「それでも本当に働きたいのかい?」
「はい! お願いします!」
今の俺には選択肢なんて、あって無いようなもんだ。こんな身分もわからないぽっと出の俺を雇ってくれる店が他にあるとも限らないし、ここで働くしか無い!
「……いいよ、雇ってやろうじゃない。ただ、弱音吐いたらアタシがオシオキするからねぇ……」
「ありがとうございます!」
よし! これで仕事を手に入れたぞ! 帰る帰らないは置いておいて、とりあえずはなんとかなりそうだ。
「よし、良い返事だ。じゃあ、ボーヤ、ええっと」
「柊夜です。大木 柊夜」
「シューヤね、覚えた。じゃあ、シューヤ。もうすぐ店を開けるから、準備なさい。エプロン類はキッチン横の戸棚に入っているから」
そう言い残してドスドスと厨房に消えていった。
「……ういっす!」
よし! やってやるぞ!
「ここか? 竈亭酒場ってのは……」
すでに辺りは少しずつ薄暗くなって来ており、夜が来るのは時間の問題だ。
「……うわぁ入りずらっ……」
剛毅な男のための酒場。子供はお断り! って書いてあるんだよなぁ……。
「……ええぃ! 入るしかねえ!」
男は度胸よ! と扉を開け、店に入る。
「すいませーん……」
俺は薄暗く、奥行きのある店内へと足を踏み入れた。
「……まだ開店前だよボーヤ」
俺がキョロキョロ店の人はいないだろうかと探していると、奥の方からよく通る、綺麗なハリのある女性の声が聞こえた。
「あ、すいません! 俺、ここで働きたくって!」
「……ほう? 面白いこと言うねぇ。ちょっと待ってな」
微笑……したのだろうか? 微かに声が軟化し、やがてこちらへと歩いてくる足跡が。
「へぇ……、なかなかにいい顔してんじゃないか」
徐々にシルエットが見えてくる。
「でもまだ男らしさが足りないねぇ」
……そしてついに姿を表した。
「アタシはこの酒場の店主、マゼンタ・ダイン。ボーヤ、名前は?」
彼女は、鋭い眼光、ぷっくりとした色気のある唇、艶のある髪、そして……どどーん! という感じのスタイル。……つまり、大変ふくよかな女性だった。痩せたら絶対にキレイなのに……。
「お、俺は大木 柊夜と言います。お願いします、行くアテもなくて、このままだとヤバいんです」
とりあえず俺の今の現状を伝える。
「ほーう。そこでこの店、ということかい?」
「はい、そこの出店のおっちゃんにおすすめされまして……」
「なるほど……ってことは、アタシのことを知らないんだね?」
「え? あ、はい」
たしかに、店は紹介してもらったが、店主がどんな人か聞くのを忘れてた。
「アタシは元冒険者、朱鬼のマゼンタって通り名で呼ばれてたね。そして、豪傑の一人でもある」
「豪傑?」
ああ、そういえば豪傑の経営する酒場だって言ってたな。
「ボーヤ、もしかして異国から来たの?」
「あっ、そうなんです。俺、この国のこと、なんにも知らなくて……」
まあ、異国というか、異世界なんですけどね来たの。
「ふぅん……なら説明してあげるわ。豪傑は国が定めた十人の猛者のことよ。それで、アタシ、朱鬼のマゼンタは荒くれで有名なんだけど……」
ズイッ、と大変圧のある顔を俺に近づける。
「それでも本当に働きたいのかい?」
「はい! お願いします!」
今の俺には選択肢なんて、あって無いようなもんだ。こんな身分もわからないぽっと出の俺を雇ってくれる店が他にあるとも限らないし、ここで働くしか無い!
「……いいよ、雇ってやろうじゃない。ただ、弱音吐いたらアタシがオシオキするからねぇ……」
「ありがとうございます!」
よし! これで仕事を手に入れたぞ! 帰る帰らないは置いておいて、とりあえずはなんとかなりそうだ。
「よし、良い返事だ。じゃあ、ボーヤ、ええっと」
「柊夜です。大木 柊夜」
「シューヤね、覚えた。じゃあ、シューヤ。もうすぐ店を開けるから、準備なさい。エプロン類はキッチン横の戸棚に入っているから」
そう言い残してドスドスと厨房に消えていった。
「……ういっす!」
よし! やってやるぞ!
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