最弱騎士だけど、最強の王女の騎士に選ばれました

黒田さん信者

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           ――――二ヶ月後――――



「ルベル・ライヴァー。貴殿をこの学園の序列九位と認め、王女の『近衛』になる資格を授ける」

「……ありがたき幸せ」

 ルベルは学園長から胸に序列九位を示す勲章をもらい、自席に戻る。そして、ふぅ、とため息を吐いた。とうとうここまで来た、その感慨が今となってルベルの胸に押し寄せてきた。

「さて諸君、とうとうこの学園を去るときが来た! まずはおめでとう! だが、これは始まりであり――」

「……ルベル、おめでとうっ」

 親友であるアークがまるで自分のことかのように喜び、肩を叩く。

 アークは騎士としては線の細い、中性的な顔立ちをしている。サラサラとした銀髪ショートカットで、遠目から見たら女性と見間違うほどだ。もともと親が親交があったということもあり、欠落者であるルベルの数少ない友人の一人だ。

「ああ、サンキュー。しかしまだこの火傷が痒いんだが……」

 頬の火傷のあとをかく。あのあと、治療魔術は施されたものの、やはりダメージを受けすぎたらしく、重症と判断されたところを重点的に治癒させられたため、日常生活に問題なし、または、自然に治癒すると判断された部位は放置された。

「それは仕方ないよ。それにしても、まさか本当に学園闘技で優勝するなんて……本当に凄いよ」
「ん、まあ、それしか近衛になる方法が無かったからな」

 近衛、それは、この国の王女を守る重要な仕事。他にもやることはあるが、今は割愛。近衛になるためには、この学校の定める強さの順位――『序列』の九位以内に入るしかない。だが、序列八位までは、『魔法』と『剣術』と『生まれ』が関係してくる。



 其の一、魔法は第五級魔法まで使用が可能なこと。

これだけで大半の生徒が諦める。ルベルもその中の一人だ。



 其の二、剣術は教師、または師団の中の者に一度でも勝っていること。
 
 これはルベルは余裕でクリアしている。ここまでの項目で九割が近衛になることを諦める。



 其の三、中級貴族以上の生まれに限る。

 これはほとんどの者にとっては問題ない。大体この騎士学校に入学しているのは、ほぼ上級貴族しかいない。もしくは、貴族では無いものの、剣の名家であったりして上級貴族に匹敵する地位を持つ生徒。しかし、ルベルは下級貴族の子供。

 この中のどれか一つでも当てはまっていないと、序列八位までにはなれない。



 最終的な序列八位までは、卒業の三ヶ月前に決まる。そして、最後に残った序列九位こそ、実力で勝ち取ることのできる序列である。学園闘技の優勝者が、序列九位となる。そう、ルベルはそこで優勝したので、ほとんど無い希望を勝ち取ったわけである。
 
「以上をもちまして、卒業式を終了します。一同、礼!」
 
 ここでちょうどよく終わりの挨拶となった。

「……んー、終わったな。さ、帰るか」

 ルベルは立ち上がり、ワイワイと楽しそうに話し込む同級生の群れをかき分ける。

「ちょ、ちょっと待ってよ! ルベル、君は礼服を持ってないから、僕の家に寄って借りていく約束だろう!?」
 
「ああ、すまない。忘れてた。じゃあ、今から行こうか」

 アークを強引に引っ張ってこの人混みをすり抜けていく。

「ふわぁぁ……! こ、こんな強引に引っ張らないでよぉ……」

 アークの弱音に耳を貸さずズンズン進み、人混みを抜けた。

「ふぅ、凄い人混みだったね……」

「だな。さて、行くか」

 ルベルはアークの手を離し、ほれ行くぞ、と先に行ってしまった。

「ま、待ってよぉ……」

 くすん、と涙目のアークも慌てて着いていく。

 実はこの卒業式が終わった後、学園闘技でルベルに敗れたり、日頃の剣の訓練でボコボコにされてきた生徒達全員でルベルを集団リンチする予定だったので、正解とも言える行動だった。
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