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写鏡の師
009
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「何だったんだ……」
ぽつりと呟き、文弘は天井を見つめる。
「あんなに恐怖を感じたのは初めてだ」
『文弘?』
「鏡さん?」
鏡の声がした窓の方を文弘は見る。
「あ、さっきは言い過ぎてごめん」
『良いの。私も勝手なことをしてごめんなさい。私が文弘の立場だったら、隠しておきたいものね。それをわかっていなかった』
「あ、いや……」
文弘は何か言おうとしたが言葉が出てこず黙る。
――まだ夢のことで心臓がバクバク云ってる。
文弘はため息を吐いて、起き上がり、鞄から手鏡を取る。
「あのさ、鏡さん」
『どうした?』
「……人が他人の夢に入ることは可能?」
『フィクションでは可能というかよくある話ね。でも、ここは現実だから無理じゃないかしら』
「そうだよね……」
『誰かが入ってきたの? 文弘の夢に』
「うん。それがとても怖かった」
『怖い?』
「あんなの初めてだ。あんなに恐怖を与えるだけ与えて去っていくなんて」
『それ、常人ではないわよね』
「じゃあ何? あれは」
文弘の問いに、鏡は首を横に振る。
『それは私も知りたいわ。なぜ、文弘に近寄るのか』
「俺に興味があるって」
『……文弘、本当に気を付けて』
「ん?」
『それなりに長く生きてる私でも、理解できないものだから』
「まあ、人って理解できないものだったりするから」
『違うのよ、文弘』
鏡は文弘の顔をじっと見る。
『人かどうかも判断できないの』
「……え?」
『私のような存在かどうかも判断できない。全部謎というか、異常なのよ』
「異常?」
『人というには異常に妖しいし、人外というには異常に人らしいの』
「…………」
『だから、気を付けて。本当に』
「……わかった。鏡さんも気を付けてね」
『ええ』
鏡は頷き、小さく笑う。
『文弘は優しすぎるわ』
「そんなことないって」
『あるの』
「うーん」
『自分が優しすぎるということを、少しは自覚しないとダメよ? あと、文弘はたくさんの人に愛されていることも』
「鏡さんだけだよ、そう感じてるの」
『いやいや。文弘の近くにいる人はみんなね、文弘の優しさとか不器用さとか、そういうの全部大好きだからね』
鏡はそっと文弘に手を伸ばす。
『自分のこと、大切にしてね』
「……あんたもね」
文弘は鏡の手を握り、笑った。
ぽつりと呟き、文弘は天井を見つめる。
「あんなに恐怖を感じたのは初めてだ」
『文弘?』
「鏡さん?」
鏡の声がした窓の方を文弘は見る。
「あ、さっきは言い過ぎてごめん」
『良いの。私も勝手なことをしてごめんなさい。私が文弘の立場だったら、隠しておきたいものね。それをわかっていなかった』
「あ、いや……」
文弘は何か言おうとしたが言葉が出てこず黙る。
――まだ夢のことで心臓がバクバク云ってる。
文弘はため息を吐いて、起き上がり、鞄から手鏡を取る。
「あのさ、鏡さん」
『どうした?』
「……人が他人の夢に入ることは可能?」
『フィクションでは可能というかよくある話ね。でも、ここは現実だから無理じゃないかしら』
「そうだよね……」
『誰かが入ってきたの? 文弘の夢に』
「うん。それがとても怖かった」
『怖い?』
「あんなの初めてだ。あんなに恐怖を与えるだけ与えて去っていくなんて」
『それ、常人ではないわよね』
「じゃあ何? あれは」
文弘の問いに、鏡は首を横に振る。
『それは私も知りたいわ。なぜ、文弘に近寄るのか』
「俺に興味があるって」
『……文弘、本当に気を付けて』
「ん?」
『それなりに長く生きてる私でも、理解できないものだから』
「まあ、人って理解できないものだったりするから」
『違うのよ、文弘』
鏡は文弘の顔をじっと見る。
『人かどうかも判断できないの』
「……え?」
『私のような存在かどうかも判断できない。全部謎というか、異常なのよ』
「異常?」
『人というには異常に妖しいし、人外というには異常に人らしいの』
「…………」
『だから、気を付けて。本当に』
「……わかった。鏡さんも気を付けてね」
『ええ』
鏡は頷き、小さく笑う。
『文弘は優しすぎるわ』
「そんなことないって」
『あるの』
「うーん」
『自分が優しすぎるということを、少しは自覚しないとダメよ? あと、文弘はたくさんの人に愛されていることも』
「鏡さんだけだよ、そう感じてるの」
『いやいや。文弘の近くにいる人はみんなね、文弘の優しさとか不器用さとか、そういうの全部大好きだからね』
鏡はそっと文弘に手を伸ばす。
『自分のこと、大切にしてね』
「……あんたもね」
文弘は鏡の手を握り、笑った。
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