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第六話
しおりを挟む滝という名前の若い姿の顧問に連れられて、吉川達四人は二階に空いている部屋に案内された。
「警察とコンタクトできる手段は考えるとして、君たちは雨でずぶ濡れだ。この部屋にはシャワーとユニットトイレと簡易ベッドが4つある。君たちの合宿用に兄が簡易工事をしてくれたようじゃ。また、兄の校長が洋館に用意していた緊急災害対策用の紙材質の下着と中学生の体操着がある。サイズは合わないかもしれないが、しばらくここで待機しておいてくれ。
1時間後にまた呼びに来る。簡単なインスタント食を探してくるよ」
美鶴が滝に、
「ありがとうございます。警察と繋がらなかったら、あとで事情を知りたいのと洋館の向こうね車に気になるものがあったので話したいのでお願いします。」
滝が去って、四人は女子から順番にシャワーを浴びて、体操着に着替えてさっぱりとした。
田口が「とりあえず、皆の濡れた服等をシャワー室の紐にかけて乾かしておくね。下着は各自で保管して」
「ねえ。皆聞いて。警察とコンタクトできるかも」
美鶴が話したくてウズウズした顔をしていたので、四人はベッドに腰を掛けて美鶴が話すのを待った。
吉川が美鶴に返した。
「それは滝顧問にも言ったほうが良くないか?
呼んで来ようか」
「いえ。他の手段で警察にコンタクトできればそれでいいし。
それに私たちに起きたことも整理したいの。この四人しか知らないことじゃない。」
田口がそうよと同調した。
美鶴が他の三人の目を見て口を開いた。
「まず、私たちは令和の高校生として、夏休みにこの東京都の山奥に将棋部合宿をするという顧問に連れられてやってきたのよね」
大内と田口がうなずいた。
「合宿場所の洋館に入ったら顧問だと思っていた男性が倒れていた。その男性が持っていた携帯電話の日付はミレニアム2000年の夏だった。
大きな雷で吊り橋が落ちて、洋館の部屋も大きく振動して空一面が緑の渦のような雲に覆われて洋館の壁も緑の渦ができていた」
吉川も頷いた。
「どの時点かは微妙だけれど、私たちは今、令和ではなく平成のミレニアム2000年の夏にタイムスリップしたのよ」
吉川が令和の顧問に吊り橋を渡る前に渡された手紙のことを話すと、美鶴が跳び上がって喜んだ。
「まさに私たちは、2000年に刺されて息絶えた校長から、事件の謎を解決するために招待されて、令和からこの時代にやってきたのよ」
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