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第四十話
しおりを挟む「南場景子は事情を知っていそうだから話を聞くべきだわ。
殺された川田がホテルのエレベータ前で手に持っていた桂馬の駒。
ホテルの部屋のベッドにあった桂馬の駒。
殺された大内と林田の別荘で大内が手にしていた桂馬の駒。
殺された塚本が宿泊していた山水園亭の部屋の机にあった桂馬の駒。
殺された塚本の手帳に書いてあった『使者とは桂馬の桂ミギョンなのか』の文字。
そのすべてに共通している文字がダイニングメッセージなのよ」
「桂という文字だな。
だから桂美京が犯人ということだった。
殺された被害者は桂美京が犯人というメッセージを残したということだった。
よし、早速兵庫と山口の県警に報告して、南場景子を取り調べるよ。
南場景子が桂美京だとして、桂美京は死亡届がでている。
そうすると南場景子はどうしているのか何者なのかを調べる必要あるな」
「南場景子に聞けば何かわかると思うわ」
「よし、今から山口県警に戻ったほうがいいな。
君は今日ここに泊まりだったよな」
吉川は立ち上がり、美都留を残して焼肉屋の個室から立ち去ろうとした。
「待って、まだ。
今から行っても南場景子に会えるのは明日でしょう。
まず南場景子の素性を兵庫県警に聞いて教えて頂戴」
吉川の手を取って再び焼き肉屋の個室に吉川を座らせた。
「それからデザートのアイスクリームと温かい日本茶を」
デザートを待っている美都留を前にして、山口県警の本部長に、南場景子の素性、取り調べ、兵庫県警との分担等を依頼した。
丁度、美都留にデザートが届き食べようとした時に山口県警の鈴木刑事から明日の捜査要領や南場景子のプロファイルがメールで送られてきた。
「兵庫県警との合同捜査の話し合いで、まず塚本桂子殺害事件の参考人という形で山口県警の場所で事情聴取をすることになり、吉川も取り調べに別室で立ち会うことになったようだ」
「そうなの」
吉川は美都留に付け足した。
「それから、山口県警の本部長から、別室で美都留も事情聴取に立ち会ってほしいと要請があったようだ」
美都留はゆっくり時間をかけてデザートのバニラアイスクリームを味わっている。
「さすが、話分かっているよね。老後安泰、老後安泰」
美都留がデザートを食べ終わり日本茶とそれに付随してついた茶菓子もすべて堪能した所、吉川にメールが届いた。
「塚本殺害事件の参考という事で、関係者の桂編成部長、加藤引退棋士、金海五段、北山四段、そして一応君にも明日朝から県警で南場と同じように事情を聞くことになりそうだ。
君以外は山水園亭や将棋連盟通じてOKがでたらしい。
君には私から伝えてくれと書いてあるよ」
「もちろんOKよ」
「あくまで参考人という形で、関係者全員、明日話を聞けることになったらしい。
もちろん、南場景子が本命だ」
「山口県警の対応ですごく早くない?」
「もともと塚本の殺人事件で話を聞こうと山口県警では考えていたらしい。日本女流名人戦の対局が終わってすぐ関係者に要請をしていたようだ。加藤先生と君だけ繋がらなかったらしい。
加藤先生も先ほど事情聴取の受諾があったとの事」
「それじゃあ、南場景子のプロファイルを教えて頂戴」
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