赤龍戦で対局した女流棋士が消失したら連続殺人事件が始まった

lavie800

文字の大きさ
40 / 60

第四十話

しおりを挟む

「南場景子は事情を知っていそうだから話を聞くべきだわ。
殺された川田がホテルのエレベータ前で手に持っていた桂馬の駒。
ホテルの部屋のベッドにあった桂馬の駒。
殺された大内と林田の別荘で大内が手にしていた桂馬の駒。
殺された塚本が宿泊していた山水園亭の部屋の机にあった桂馬の駒。
殺された塚本の手帳に書いてあった『使者とは桂馬の桂ミギョンなのか』の文字。
そのすべてに共通している文字がダイニングメッセージなのよ」

「桂という文字だな。
だから桂美京が犯人ということだった。
殺された被害者は桂美京が犯人というメッセージを残したということだった。
よし、早速兵庫と山口の県警に報告して、南場景子を取り調べるよ。
南場景子が桂美京だとして、桂美京は死亡届がでている。
そうすると南場景子はどうしているのか何者なのかを調べる必要あるな」
「南場景子に聞けば何かわかると思うわ」
「よし、今から山口県警に戻ったほうがいいな。
君は今日ここに泊まりだったよな」
吉川は立ち上がり、美都留を残して焼肉屋の個室から立ち去ろうとした。

「待って、まだ。
今から行っても南場景子に会えるのは明日でしょう。
まず南場景子の素性を兵庫県警に聞いて教えて頂戴」
吉川の手を取って再び焼き肉屋の個室に吉川を座らせた。
「それからデザートのアイスクリームと温かい日本茶を」

デザートを待っている美都留を前にして、山口県警の本部長に、南場景子の素性、取り調べ、兵庫県警との分担等を依頼した。

丁度、美都留にデザートが届き食べようとした時に山口県警の鈴木刑事から明日の捜査要領や南場景子のプロファイルがメールで送られてきた。

「兵庫県警との合同捜査の話し合いで、まず塚本桂子殺害事件の参考人という形で山口県警の場所で事情聴取をすることになり、吉川も取り調べに別室で立ち会うことになったようだ」
「そうなの」
吉川は美都留に付け足した。
「それから、山口県警の本部長から、別室で美都留も事情聴取に立ち会ってほしいと要請があったようだ」
美都留はゆっくり時間をかけてデザートのバニラアイスクリームを味わっている。
「さすが、話分かっているよね。老後安泰、老後安泰」

美都留がデザートを食べ終わり日本茶とそれに付随してついた茶菓子もすべて堪能した所、吉川にメールが届いた。
「塚本殺害事件の参考という事で、関係者の桂編成部長、加藤引退棋士、金海五段、北山四段、そして一応君にも明日朝から県警で南場と同じように事情を聞くことになりそうだ。
君以外は山水園亭や将棋連盟通じてOKがでたらしい。
君には私から伝えてくれと書いてあるよ」
「もちろんOKよ」

「あくまで参考人という形で、関係者全員、明日話を聞けることになったらしい。
もちろん、南場景子が本命だ」
「山口県警の対応ですごく早くない?」

「もともと塚本の殺人事件で話を聞こうと山口県警では考えていたらしい。日本女流名人戦の対局が終わってすぐ関係者に要請をしていたようだ。加藤先生と君だけ繋がらなかったらしい。
加藤先生も先ほど事情聴取の受諾があったとの事」

「それじゃあ、南場景子のプロファイルを教えて頂戴」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...