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第二十八話 赤龍の三種の神器
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「父上、赤龍の三種の神器を持って戻りました。」
何か襖の奥で急に慌てて身支度をしているような音が聞こえた。
鶴姫がスマホを聴くと諏訪の声がした
『大事な精を頂くときに邪魔が入るとは。
精を受け取るまでもう少しだったのに残念。
青蛇神様も戻るはず。お迎えにいかないと。』
経好と鶴姫が父上の部屋に入って行った。
襖の奥で、父上と諏訪が隣り合っていた。
「経好、良く帰ってきた。諏訪に易を診てもらっていたところだ。」
動揺している顔の父上がそう言うと、諏訪がすっと父上から離れた。
「私は人をお迎えにいかねばなりません。父上様、経好様、すぐ戻ってまいります。」
「父上、赤龍の三種の神器を持って参りました。
これで鶴姫と結婚いたします。さっそく結婚の儀を用意し始めたいと思います。」
「先程の諏訪の易では難しかろうという結果であったが、よくやった。
赤龍の三種の神器を見せてもらおう。これで市川家も安泰だ。」
女中頭のさよに連れられて、鶴姫が経好の後ろに立っていた。
鶴姫は女中頭の耳元で何か囁いていた。
女中頭は、幼い女中のはなに指示をしていた。
「父上、これをご覧ください。柄に赤龍の紋があるクラウソラスの剣です。」
「おっ。これが三種の神器の宝剣か。」
「次にこれをご覧ください。」
女中頭が、鶴姫の胸元を少しずらすと胸元から勾玉が現れた。
鶴姫が勾玉を胸元から出して裏返すと、赤龍の紋と桂の文字が見えた。
「父上、鶴姫が胸元に翳しているのが赤龍の紋がある勾玉です。」
「おっ。確かに赤龍の勾玉に違いない。」
「そして最後にこれを。」
女中頭が鶴姫の着物の帯を取り、鶴姫を経好の父上から反対向きに立たせると着物を脱がせ、白襦袢の上半身を露わにさせた。
「鶴姫の背中の赤龍の紋を見てください。」
経好にそっと寄り添われた鶴姫は、情熱的な口吸いをされて経好の左手で背中の赤龍の痣を撫でまわされた。口吸いの経好の舌は更に鶴姫の耳元、首筋、うなじを移り、最後は背中の痣に到達した。
首飾りの勾玉も赤色に輝いている。経好が右手に持ったクラウソラスの剣も赤色に輝いている。
父上から背を向けているので顔は見られずに済んだが、女中頭には、愉悦に浸り絶頂に達した顔をしっかり見られてしまった。
「おっ。確かに背中に赤い円が浮かび上り、まるで円の中の赤龍が輝いているように見える
これはまさに赤龍の紋の宝珠にように思える。
さっそく結婚の儀の準備に入れ。
集められるだけの関係者を夕刻までに集めよ。」
「ちょっとお待ちください。」
諏訪が一人の女性を連れて父上の部屋に入ってきた。
「勾玉も剣のお宝も、すべて私の物です。
この貧乳女が私から盗んだのです。」
大蛇女だ。人間の女の恰好をしている。
勾玉をつけてからは貧乳女ではありません。
「父上、騙されてはいけません。この者の正体は。これを見てください。」
鶴姫はそう言って女中頭に指示をした。
女中たちが一斉に桶の塩水を、諏訪とその横の女にぶちまけた。
諏訪とその横の女から悲鳴とともに肌に鱗が生えてきた。
二匹の蛇が姿を現した。物凄い咆哮とともに蛇がどんどん大きくなって、屋敷の屋根を壊した。
女中たちが逃げ惑う。
経好の父上が腰を抜かして茫然とした顔をしている。父上の体が震えている。
「蛇だったのか。諏訪は。
もう一人の女は前に経好と許嫁候補としてきた女で、先日屋敷に乱入したときの女ではないか。
蛇とは経好は結婚させる気はない。
私は何という事をしてしまったのだ。」
何か襖の奥で急に慌てて身支度をしているような音が聞こえた。
鶴姫がスマホを聴くと諏訪の声がした
『大事な精を頂くときに邪魔が入るとは。
精を受け取るまでもう少しだったのに残念。
青蛇神様も戻るはず。お迎えにいかないと。』
経好と鶴姫が父上の部屋に入って行った。
襖の奥で、父上と諏訪が隣り合っていた。
「経好、良く帰ってきた。諏訪に易を診てもらっていたところだ。」
動揺している顔の父上がそう言うと、諏訪がすっと父上から離れた。
「私は人をお迎えにいかねばなりません。父上様、経好様、すぐ戻ってまいります。」
「父上、赤龍の三種の神器を持って参りました。
これで鶴姫と結婚いたします。さっそく結婚の儀を用意し始めたいと思います。」
「先程の諏訪の易では難しかろうという結果であったが、よくやった。
赤龍の三種の神器を見せてもらおう。これで市川家も安泰だ。」
女中頭のさよに連れられて、鶴姫が経好の後ろに立っていた。
鶴姫は女中頭の耳元で何か囁いていた。
女中頭は、幼い女中のはなに指示をしていた。
「父上、これをご覧ください。柄に赤龍の紋があるクラウソラスの剣です。」
「おっ。これが三種の神器の宝剣か。」
「次にこれをご覧ください。」
女中頭が、鶴姫の胸元を少しずらすと胸元から勾玉が現れた。
鶴姫が勾玉を胸元から出して裏返すと、赤龍の紋と桂の文字が見えた。
「父上、鶴姫が胸元に翳しているのが赤龍の紋がある勾玉です。」
「おっ。確かに赤龍の勾玉に違いない。」
「そして最後にこれを。」
女中頭が鶴姫の着物の帯を取り、鶴姫を経好の父上から反対向きに立たせると着物を脱がせ、白襦袢の上半身を露わにさせた。
「鶴姫の背中の赤龍の紋を見てください。」
経好にそっと寄り添われた鶴姫は、情熱的な口吸いをされて経好の左手で背中の赤龍の痣を撫でまわされた。口吸いの経好の舌は更に鶴姫の耳元、首筋、うなじを移り、最後は背中の痣に到達した。
首飾りの勾玉も赤色に輝いている。経好が右手に持ったクラウソラスの剣も赤色に輝いている。
父上から背を向けているので顔は見られずに済んだが、女中頭には、愉悦に浸り絶頂に達した顔をしっかり見られてしまった。
「おっ。確かに背中に赤い円が浮かび上り、まるで円の中の赤龍が輝いているように見える
これはまさに赤龍の紋の宝珠にように思える。
さっそく結婚の儀の準備に入れ。
集められるだけの関係者を夕刻までに集めよ。」
「ちょっとお待ちください。」
諏訪が一人の女性を連れて父上の部屋に入ってきた。
「勾玉も剣のお宝も、すべて私の物です。
この貧乳女が私から盗んだのです。」
大蛇女だ。人間の女の恰好をしている。
勾玉をつけてからは貧乳女ではありません。
「父上、騙されてはいけません。この者の正体は。これを見てください。」
鶴姫はそう言って女中頭に指示をした。
女中たちが一斉に桶の塩水を、諏訪とその横の女にぶちまけた。
諏訪とその横の女から悲鳴とともに肌に鱗が生えてきた。
二匹の蛇が姿を現した。物凄い咆哮とともに蛇がどんどん大きくなって、屋敷の屋根を壊した。
女中たちが逃げ惑う。
経好の父上が腰を抜かして茫然とした顔をしている。父上の体が震えている。
「蛇だったのか。諏訪は。
もう一人の女は前に経好と許嫁候補としてきた女で、先日屋敷に乱入したときの女ではないか。
蛇とは経好は結婚させる気はない。
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