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先輩が口の中で世界旅行した件!
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「おいしいじゃないですか、先輩!謙遜する必要なんてないレベルですよ。これ!」
「ん~、そうかにゃ~。そう言ってくれると助かるよ~。何しろこっちはどれだけがんばっても後輩クンに勝てないからね。」
「いやいや、僕のより全然家庭的でおいしいですよ?」
「なんかほめられてるのか、けなされてるのかよく分からないラインだにゃ~・・・」
昼の屋上。太陽はじりじりと照りつけているが、爽やかな風が流れ吹くそこには僕と楓牧先輩の2人だけ。
そもそもこの学校では屋上に登ることが禁止されている・・・が、科学部員だけは例外的に認められている。本来は地学班が天体観測の時に用いるためだが。
今日は初めてお弁当を交換する日だ。前日に何が食べたいか聞いたところ、
「オールジャンルでよろしくっ」
と、やれるもんならやってみろ的なオーラで言われたので、本気を出してみた。
先輩の弁当を2、3割食べたところで僕の弁当を渡す。
「どうぞ。久しぶりに本気で作ってみたんで、多分おいしいはずです。量は多いかもですけど・・・」
この弁当箱には思い出がある。大きな曲げわっぱ。初めてピアノで全国へ行ったときのご褒美だった。自分でも、なぜあの時お弁当箱が欲しかったかは覚えていない。でも、初めて大きな曲げわっぱを見た時の高揚感は今になっても忘れられない。
「ほいじゃ、開けるよ~。」
楓牧先輩がふたを開ける。
1秒かけてぐるっと見渡し、1秒かけて目を見開き、1秒かけて息を吸い・・・3秒ほど叫んだ。
「かわいいーーーーーーーー!!!」
と。慌てて僕は先輩の口を手で塞ぐ。
「うるさいですよ!怒られちゃいますよ!ご飯食べられなくなっちゃいますよ?」
「でも、かわいい、ボク・・・」
そんな声が手の隙間から漏れ聞こえてくる。
木目が美しいその弁当箱にはクロが居た。
「ご飯のまわりに海苔の佃煮を塗って僕の大好きな黒猫を作りました。ハムとチーズの耳も作りました。味はちゃんとおいしいです。おかずは中華の青椒肉絲、エスニックの生春巻き、トルコのチキンケバブ風サラダ、南米のチリコンカーン。ヨーロッパへ行ってイギリスのローストビーフ、イタリアのペンネクリームソース。」
ここまで一呼吸で言って息が足りなくなる。もう1度深呼吸をして続ける。
「ちゃんと気持ちを込めて作ったので、心して食べて下さいね!」
そこまで言って先輩を見ると、その女性は弁当の中黒猫を見つめて涙を流していた。
「あの、どうしたんですか?楓牧先輩?」
僕の声に気づくと、涙を拭って最高の笑顔で言った。
「ボクは幸せだ。」
破壊力ハンパないっす。まじで。惚れちゃいます。もう惚れてます。
「僕もですよ。先輩。でも、もう食べないと時間なくなっちゃいますよ?」
「あ、そうだった。ではではいただきますっ!何から食べよっかな?じゃ、サラダから!」
そういってもしゃもしゃとレタスとトマト、鶏肉を頬張る先輩。無言でチリコンカーンをひとすくい。そのまま口に放り込む。ゆっくり咀嚼していた先輩の顔がみるみる緩んでいく。水を一口含んで次は生春巻き。隣からはシャキシャキといい音が聞こえる。
「ん~、そうかにゃ~。そう言ってくれると助かるよ~。何しろこっちはどれだけがんばっても後輩クンに勝てないからね。」
「いやいや、僕のより全然家庭的でおいしいですよ?」
「なんかほめられてるのか、けなされてるのかよく分からないラインだにゃ~・・・」
昼の屋上。太陽はじりじりと照りつけているが、爽やかな風が流れ吹くそこには僕と楓牧先輩の2人だけ。
そもそもこの学校では屋上に登ることが禁止されている・・・が、科学部員だけは例外的に認められている。本来は地学班が天体観測の時に用いるためだが。
今日は初めてお弁当を交換する日だ。前日に何が食べたいか聞いたところ、
「オールジャンルでよろしくっ」
と、やれるもんならやってみろ的なオーラで言われたので、本気を出してみた。
先輩の弁当を2、3割食べたところで僕の弁当を渡す。
「どうぞ。久しぶりに本気で作ってみたんで、多分おいしいはずです。量は多いかもですけど・・・」
この弁当箱には思い出がある。大きな曲げわっぱ。初めてピアノで全国へ行ったときのご褒美だった。自分でも、なぜあの時お弁当箱が欲しかったかは覚えていない。でも、初めて大きな曲げわっぱを見た時の高揚感は今になっても忘れられない。
「ほいじゃ、開けるよ~。」
楓牧先輩がふたを開ける。
1秒かけてぐるっと見渡し、1秒かけて目を見開き、1秒かけて息を吸い・・・3秒ほど叫んだ。
「かわいいーーーーーーーー!!!」
と。慌てて僕は先輩の口を手で塞ぐ。
「うるさいですよ!怒られちゃいますよ!ご飯食べられなくなっちゃいますよ?」
「でも、かわいい、ボク・・・」
そんな声が手の隙間から漏れ聞こえてくる。
木目が美しいその弁当箱にはクロが居た。
「ご飯のまわりに海苔の佃煮を塗って僕の大好きな黒猫を作りました。ハムとチーズの耳も作りました。味はちゃんとおいしいです。おかずは中華の青椒肉絲、エスニックの生春巻き、トルコのチキンケバブ風サラダ、南米のチリコンカーン。ヨーロッパへ行ってイギリスのローストビーフ、イタリアのペンネクリームソース。」
ここまで一呼吸で言って息が足りなくなる。もう1度深呼吸をして続ける。
「ちゃんと気持ちを込めて作ったので、心して食べて下さいね!」
そこまで言って先輩を見ると、その女性は弁当の中黒猫を見つめて涙を流していた。
「あの、どうしたんですか?楓牧先輩?」
僕の声に気づくと、涙を拭って最高の笑顔で言った。
「ボクは幸せだ。」
破壊力ハンパないっす。まじで。惚れちゃいます。もう惚れてます。
「僕もですよ。先輩。でも、もう食べないと時間なくなっちゃいますよ?」
「あ、そうだった。ではではいただきますっ!何から食べよっかな?じゃ、サラダから!」
そういってもしゃもしゃとレタスとトマト、鶏肉を頬張る先輩。無言でチリコンカーンをひとすくい。そのまま口に放り込む。ゆっくり咀嚼していた先輩の顔がみるみる緩んでいく。水を一口含んで次は生春巻き。隣からはシャキシャキといい音が聞こえる。
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