夢現の狭間

詩狐まこ

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未知との遭遇

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目覚めた、だがおかしい。

何故いつも出てくる画面でなく、一面の黄緑色の液体が僕を包んでいるんだ?

何故僕はマスクのような物で呼吸しているんだろう?

「………こ」

僕を呼ぶ声はいつもと同じなのに……

「…き………ろこ」

眠ろう。そうすれば変わらない日常が………


「起きろって言ってるでしょ!」


バチコーン!!


左頰を貫く痛み、この怒鳴り声。
なんだ、あいつか。

ゆっくり起き上がって声の方を見る
「起きたよ、うさぽん」

今度は右頬に平手が飛んでくる。

「兎子!トコ!おぼえろ!」
「覚えてるよ。愛する嫁の名前だからね。
 相変わらずの起こし方お疲れ様。なんなら夫婦らしくキスぐらいする?」
「………恥ずかしいから……ダメ/////」

ここまでのやり取りは、いつも通り。



ここまでは、ね?



今いる部屋の壁ががクリーム色の壁紙じゃなく、
コンクリ打ちっぱなしに夢人保管機が並ぶ保管室であることと、


いつもジーンズに赤いTシャツ姿のはずの幼馴染で彼女で奥さんの紫屋 兎子が、

純白の下着姿で目の前に立っていること以外は変わらない。

というか、全部変わった。

「なにそれ。痴女?」

「違います。私達は夢中界から追い出されました。理由は不明です。ここまで把握出来ました?」

「………とりあえず服着よう。寒い。」

使用人ロボを呼ぼうとしたところで右手の甲にある模様に気がついた。

「………何これ?」

保管機の脇にあるタンスから適当な服を見繕いながら兎子が返事をする。

「私にもあるんだけど、何かわからない。
 使用人ロボは壊れてるしデバイスも無い。」

「デバイスも、ロボもなし。所在不明、目の前に痴女。わけわからん。」

「痴女じゃねぇ、美女だ!」

この状況でドヤ顔で言われても困る。

確かにスタイルは上の中で可愛いが、性格のせいでモテ無かった過去があるからなぁ


って、あれ?
「夢中界を追い出されたってことは…?」



   ここは現世であるという事。



「現世に来られたんだ……来たんだ!憧れのサバイバル空間、現世に!」

「うるさい、現獣に見つかったらどうするのよ。とりあえず服と、現世の人間探すわよ」
「服なら服屋にあるでしょ、それより武器。現獣がいつ来るか分からないから。」

近くにあった鉄パイプを手に取る。
「パン1で武器装備。某ゲームの持たざる者に似てしまった……」
「なにそれ。ほら、外出るわよ」

白のブリーフに鉄パイプ。
なんというか、ダサい。
致命的なまでにダサい。
布の服にヒノキの棒、鍋の蓋の方がまだマシな気がする……

鉄製の階段を下りながら周りを確認するといくつか無人の保管機がある。どうやら避難所に向かったようだ。


外はまさに荒廃した灰色の大地。
「教科書の方がまだ綺麗に映されてたかな。火山灰とゴミで地層を作ったって話は本当なんだ………」
半分に折れた鉄塔、
落ちかけのネオンサイン、
粉々に散っているガラス片の小道、
瓦屋根ごとぺちゃんこに潰れた家屋、
折れ曲がり積み上がった廃材の山、

汚いとか、混沌とした、を超えた状況を目の当たりにし、僕はそれを


ただ純粋に美しいと思った。


世界は壊れ、夢の中で生かされる事を選んだ過去の人間は今のこの世界を見て一体何と言うのだろう。


「何だか少し幻想的に見えるわ。」
そんな事を兎子が言うなんて珍しくて、少し驚いてしまった。
「着いたわよ?」
驚きと荒廃した世界の美しさですっかり目的の服屋を忘れていた。

なぜ服屋が分かったのか、それは夢中界と現世がリンクしているからである。

夢中界にある建物は大災害の前の街の最後の様子を基準にしている。そのため、夢人保管用の建物はマンションの中身だけを崩して建てられた。

それ以外の商店街、道、公園、学校などはすべてそのままになっている。

………………らしい。

高校2年の知識ではここまでが解説の限界で、これ以上は明日の講義で習うはずだったのだ。
生物学で現獣の初期種しか習ってないから凶悪な戦闘生物だとしか分からない。

どうせ兎子は国語系以外寝てて聞いてないだろうし、俺の記憶もあやふやだから、今の所は詳しく分からない。

火事場泥棒よろしく服屋を漁り、
ジーンズに長袖の黒シャツ、灰色のスニーカーを履いてひび割れた鏡の前に立つ。

何とか見れる様にはなった、かな?

さて、これからどうすればいいやら


「…………け………」


ん?
「兎子今何か言っ……うわ!」

視線を感じて見るとそこには



おっさんがいた。



それ以上でも、それ以下でもない、おっさんがいる。

「だずげでー!」
人のようだし助けないといけないのは分かっている。

だか、怖い。

巨大な斧を片手に持っている上に血まみれだ。
近寄らないほうが良さそうな気もするがとりあえず聞いてみる。

「あなたは誰です?どうしてここに?」

「私は夢戦の力を持った戦士。だが、奇襲を食らってな、見ての通り瀕死なんだ」

「夢戦の力?戦士?一体何の事です?」


「黒ー、なんか可愛いの見つけたー、ってうわ、気持ち悪」

なぜこのタイミングなのか、そう思わずにはいられない時に兎子が羽の生えた羊のぬいぐるみを持ってきた。


「とりあえずそれを貸してくれ!」

おい、おっさん。
その趣味はまずいだろ。


とりあえず渡すとなぜか持って祈り始めた。
やっぱりヤバイ人なんじゃないか?

「うっ!」
おっさんが倒れた。死んだかな?

「うわ、素材雑過ぎねぇ?
 むっちゃゴワゴワする。」

瀕死のおっさんと同じ声で空を飛ぶぬいぐるみを見て、感情より、理性よりも早く。


直感で右ストレートを叩き込む!


「めごぁっ!?」


壁に叩きつけられて動かなくなった。
「何なの。これは?」足先で蹴ってみる。

「年上を蹴るなよ」
また浮き上がる。

掴んで壁に押し付けて、軽く捻りながら質問をする。
「とりあえず何者なのか、何で飛んでるのか、そこら辺のこと教えて貰おうか?」

全力で壁に押し付けてグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリ…………

「ぐへぇ、やめろ、ッグゥ!?いいものやるから、な?ッタァ!?釘ガァァァ!!!」



To be continue………
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