41才の中学二年生(改訂版)

sky-high

文字の大きさ
75 / 96
梅が教師

お見舞い

しおりを挟む
「お、山本来たか」

「早えな龍也!まだ皆来てないだろ」

「もうそろそろ来るだろ」


今日は日曜日だが、皆で集まって佐伯のお見舞いに行く事にした。


佐伯は3日前に盲腸の手術をして、経過は良好との事。

ならば、せっかくだしお見舞いにでも行こうと、駅前で待ち合わせする事となった。


行くメンバーは、龍也、泰彦、謙司、チャッピー、そして女子はデザイアーと片野と優希。

まぁ、いつものメンバーだ。


「おはよう!あれ、まだ2人しか来てないの?」

「おう、おはよう!まだ10分前だし、そろそろ来るんじゃないかな」

「おいっす、片野。デザイアーと一緒に来るかと思ってたよ」

片野は走ってきたらしく、息を切らせていた。

「あ、泰彦達が来た」

泰彦、謙司、チャッピーの3人が到着した。

「皆早えなぁ、ところでお見舞いだから何か持っていった方がいいのかな?」

お見舞い品には何がいいんだろうか。


「花とか、果物の詰め合わせとかじゃないか」

「後で皆で出し合って買おうぜ」


「あ、デザイアーと相沢が来た」


「おはよう、皆待った?」

「今来たばかりだよ」

「お、おはようございます…」

「デザイアー、休みの日もその頭なのかよ?」

「えっと…その、中々似合う髪型が無いから」

文化祭の時にはおかっぱ頭のカツラを取ったのに。


「じゃあ、行こうか」

駅前のバス停にはちょうどバスが着いたばかりだった。

オレたちはバスに乗り込み、病院へ向かった。


「そう言えばさぁ、佐伯が戻ってきたらサヤカちゃんはどうなるんだ?」

「どうって…そりゃお前、サヤカちゃんとはサヨナラだろうな」

「マジかよ…」

「瑠璃子がもう少し入院してくれりゃいいんだが」

「ちょっと、それじゃ佐伯先生が可哀想でしよ!」

「でもなぁ、サヤカちゃんには学校に残って欲しいよな」

車内は梅の話で持ち切りだ。


「だったら、期末テストでいい点数取るしかないだろ。オレらが90点以上取れば、サヤカちゃんの評価が良くなるし、臨時という立場から正式な教師になれるかもしれないじゃん」


オレがそう言うと、龍也は「そうか、いい点数取ればいいんだよ!そうなりゃ、学校だってサヤカちゃんの事を見直すだろし」と続けた。


「じゃあ、佐伯先生はどうなるの?」

「片野、お前はサヤカちゃんよりも瑠璃子派かよ?」

何だ、その派って?


「でも…どっちもいい先生だと思う…」

「うーん…国語の先生は2人も必要ないしな」

「こうなったら、瑠璃子には他の学校に行ってもらうってのはどうだ?」

「そんな事、出来るワケないでしょ!」

こればっかりはどうしようもない。


バスはもうすぐ病院の停留所へ着く。


「あ、次降りなきゃ」

降車のボタンを押した。


「とにかく、期末テストは何がなんでも90点以上取らなきゃな。そして絶対にサヤカちゃんの家でクリスマスパーティーやるんだ!」

「オレも絶対に行く!」

「オレも!」

女子達は呆れていた。


停留所に着き、バスを降りた。

目の前に病院がある。

「えっと、病室は何番だっけ?」

「ちょっと待って…えっと、503号室ね」

中に入り、エレベーターに乗り込んだ。

「あっ、しまった!」

急に泰彦が声を上げた。

「何だよ、急に!」

「お見舞い品買うの忘れた」

「あっ!」

もう遅い…

エレベーターの扉が開くと、目の前に503号室があった。

「個室かよ」

てっきり大部屋だと思ってた。

優希がドアをノックした。

【はい、どうぞ】

佐伯の声だ。

「失礼します」

ドアを開けると、佐伯はジャージ姿でベッドの上で本を読んでいた。

「あら、皆。わざわざお見舞いに来てくれたの?」

声のトーンが上がった。

「先生、元気そうで良かった」

「ゴメン、先生!お見舞いの品買うの忘れた」

「いいのよ、そんな気を使わなくて!」

佐伯は笑顔で答えた。


「そんな事より、代わりの先生が授業やってるんでしょ?皆ちゃんと真面目にやってるの?」

「何言ってんだよ、先生!オレらチョー真面目に授業受けてるよ!なぁ?」

「ホントに?信じられない!」

「先生、聞いてよ!男子ったらね」

片野は梅の事、そしてご褒美に梅の家でクリスマスパーティーをするという事を話した。




「何、それ!あなた達、そんな理由で勉強頑張ってるの?」

佐伯が眉をひそめた。

「あれ、もしかして先生ヤキモチ焼いてる?」謙司が軽口を叩いた。


「何バカな事を言ってるの!いい、そんな不純な動機で勉強しようなんて、ふざけるのもいい加減にしなさい!」

「おい、こんなんじゃお見舞いに来るんじゃなかったよな」

「ホントだよ…」

龍也と泰彦が声を潜めて話をした。


「でもオレら、そのお陰で真面目に勉強するようになったんだぜ!」

「お陰でも何でもない!どうせ、私に変わったら元に戻るんでしょ!」

「…」

否定する者はいない。


「はぁ~…どうせ先生はそのサヤカちゃんって先生みたいに若くないし、美人でもないからね」


「先生、いじけてるよ」


「いじけてない!」

何だか、寂しそうな感じに見えるな。


梅には残ってもらいたいが、佐伯にも戻ってもらいたい。

どうすればいいのやら…


とんだ、お見舞いだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」

イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。 ある日、夢をみた。 この国の未来を。 それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。 彼は言う。 愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...