41才の中学二年生(改訂版)

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楽しい中2ライフ

この空間だけ時が止まるって?

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「ねーねー、お正月なんだし…一杯ぐらいいいでしょ?」

そう言って梅はセラーから赤ワインを持ってきた。


「おい、オレ中2だぞ!」

「いいじゃない、だって中身は41才なんだし」

一応、教師と生徒の間柄なんだぞ。


「バレなきゃ大丈夫だってば」

そう言うと梅はワイングラスに注いだ。


「んじゃ、一杯だけな」

「それじゃあ、カンパーイ!」

カチンとグラスが重なる。


「あ、これ飲みやすいじゃん!」

オレはあまりワインを飲んだことは無いのだが、フルーティーで味わいの良いワインだった。


「でしょー?これお気に入りのワインなんだ」


これ、飲みやすいからついつい飲んでしまう。










「…くん、大丈夫?智くん!」

ん?あれっ…


「何だ…?」

気がつくと、キングサイズのベッドで寝ていた。


「あれ?確かメシを食ってたような気がしたんだが…」


ここ、何処だ?

ふと、横を向いた。


「ゲッ!!梅!」

隣で梅が寝ていた。


オレ…まさか、梅と…いや、それは絶対に無い!


「ようやく起きたわね」

オレはガバッと起きた。


服は着ている。


多分、過ちは犯していないはずだ。


「どうしたの?」

「ん、いや…オレ、まさか酔っ払ったって事?」

「そうよ、これ美味い、とか言ってどんどん飲むんだもん。そのうちテーブルで寝ちゃうから、私がベッドまで連れて行ったのよ」


そうなのか…

ここは梅の寝室なのか。


リビングも広いが、この寝室も広いな…


「この寝室って何畳あるんだ?」


高級感溢れる洋室だ。


「14畳ぐらいかなぁ」


はぁ?…さすが億ション。


オレなんか、30代でようやく念願のマイホームを購入したけど、場所は郊外でしかも分譲住宅…

こんなに広い部屋なんて、一生縁がない人生なんだ。


「どうする?このままだと、お酒臭いし帰ったら怒られるんじゃない?」


今、何時頃だろうか?

外は薄暗くなってるし、窓から見える建物には明かりがついている。


「今何時頃?」


「えーっと、5時半かな」

もう夕方か。そろそろ帰るかな。

「ねぇ、今日泊まっていかない?」

何ですと~っ!!

「おい…中2が先生の家に泊まるって、どう考えてもフツーじゃないだろ」


何でもいいが、ここ最近の梅は様子が変だ。

最初の頃と比べると、随分と優しい態度だ。
優しいというか、馴れ馴れしい感じだ。


オレのお目付役じゃなかったのか?


「でもさぁ、物凄いお酒臭いよ?こんなんで帰ったら何言われるか…」

「そりゃ、そうかもしれないけど、だからといって泊まるって変だろ?」

まさか、オヤジやおふくろに先生の家に泊まるから、なんて言えないっつーの!


「あー、その点なら大丈夫。この空間で1日過ごしても、外は1時間ぐらいしか経過しないから」


へっ?何その、時空の歪みみたいなタイムラグは。


「あの…何言ってるかよく解らないんだけど、外と家の中の時間の進みが違うって事を言いたいの?」

そんな事あるワケないだろ!

「そう、そのまさかよ。今、家の中は5時半だけど、外に出れば、まだ時計は午後の2時を過ぎたばかりよ」


だって、外は薄暗いじゃん。


「お前ねぇ、窓を見てみろよ。もう、日が落ちてるじゃないかよ。何が午後の2時だよ。どう見ても夕方じゃないかよ!」


「あぁ、あれはこの中から見た外の景色で、実際はまだ陽が出てる時間帯よ」

誰がそんな事信じるんだよ。


「お前は病院行った方がいいぞ。いくら天界のヤツでも、そんな事出来るワケないだろ!」


「じゃあ、今から外に出てみる?玄関開けて外の様子を見てみなさいよ」


そんなバカな事があってたまるかよ。

オレは玄関まで行くとドアを開けた。




「え…?何コレ?」


まだ陽は落ちていない。それどころか、昼間の陽気だ。


「えっ、じゃあ窓から見た景色は…」

もう一度寝室から窓の景色を見た。


「あれ、外は暗くなってる」


もう一度玄関を開けてみた。


「…何だこれ?」

こっちはまだ太陽が見える…


あぁ、疲れてるんだなきっと…

おまけに調子に乗ってワイン飲んだし、まだ頭の中が酔っ払ってるんだ、そうに決まってる。


「試しにこれ持ってもう一度確認してみたら?」

梅は腕時計を渡した。


「そんなもん、調べなくてもいいよ。オレが酔っ払って頭の中がゴチャゴチャになってるからそう見えたんだろ」


こんなもん、調べなくても解るのに。


家の中は17:43では、更にもう一度外へ。


「あれっ!!」


急に秒針は速く動いて14:18に。


「ね、解ったでしょ?ここと外の時間の経過は異なる仕組みなの」


ねっ、て言われても…

それで、オレはどうすればいいんだ?



「だから、泊まっていきなよ~」


…何だ、この猫なで声は!


最近、オレに対する接し方があきらかに変だ。


何を企んでいるのだろうか。


「泊まってけったって、寝るとこ一つしかないじゃん」


「いいじゃない、このベッドで寝れば」


「良くねえよ、お前と一緒じゃないかよ」


「こんなに広いベッドなんだから、二人で寝ても伸び伸び出来るのよ」


そういう問題じゃないだろ。


「何だったら、くっついて寝る?フフっ」


「…はぁ、何考えてんだよ」


梅はまんざらでもないようだ。


それにしても、ここだけ時間の流れが違うとは…
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