Baseball Love 主砲の一振り

sky-high

文字の大きさ
43 / 134
理想のラインナップ

逆転ツーラン

しおりを挟む
室田がツーベースヒットを放ち、榊が打席に入る。

「オレが決めてやる!」

意気込んでいたが、榊はバッティングが下手だ。

普通のピッチャーは、バッティングもかなりの腕前である。
プロ野球のピッチャーというのは、素質の塊のようなものだ。

バッティングが下手なワケがない。

しかし、榊はド下手だ。

榊が投げる日は、どんな状況でも必ずアウトが1つもらえると言われる程である。

満足に送りバントも出来ないので、チャンスの場面に榊の打順が回ってくると、代打を送られる事もよくある。

ヤマオカは代打を送らず、榊を打たせるようにした。

今代打を送ったら、次の回からピッチャーを交代しなければならない。

ここはまだ代える状況ではない。

「ストライクアウト!」

案の定、ブンブン振り回して榊は三振した。

「アノヤロー!オレとの勝負避けやがったな!」

(…お前のバッティングが下手すぎるんだよ)

心の中でみんなそう思った。

そして打順はⅠ番に戻り、大和が打席に入る。

「Hey,YAMATO! Try to do drastic batting like you(お前らしく思いきっていけ!)

トーマスJr.がベンチから叫ぶ。

大和は何を言ってるのか理解出来ないが、打撃練習の時に言っていた【思いきったバッティングをしてみろ】という事だろう。

(よしっ)

大和は少し、バットを長く持った。

鋭く振り抜く!

灘は初球、アウトコースに外れるボール球を投げた。

最悪歩かせて、次の中田で勝負しようという計算なのか。


しかし、敬遠ならキャッチャーの矢幡が立ち上がるのだが、その様子はない。

勝負に出た。

続く2球目に投じたスライダーが、甘く内側に入った。

大和は鋭く腰の回転を効かせ、振り抜いた。

打球はライトにグングンと向かい、フェンスを越えた。

「逆転だぁ~っ!」

わき返るベンチ、そして観客。

大和は移籍後初の安打がホームランという、素晴らしい結果を残した。

(やっぱり勝負はアカンかったか…)

矢幡は2年目の灘に、試練を与える意味で勝負させたのだった。

これから先、何度もこういう場面を迎えるだろう。
その都度逃げてばかりではなく、力でねじ伏せる事も必要となる。


結果、灘は打たれたが、まだシーズンは始まったばかり。

いい勉強になったはずだと、矢幡は思った。 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...