Baseball Love 主砲の一振り

sky-high

文字の大きさ
73 / 134
球界の盟主

トーマスのバッティング改造

しおりを挟む
トーマスJr.は出場停止中、打撃のフォームを確認していた。

トーマスJr.のバッティングは、パワーのある長打力が売り物だ。

しかし、日本の投手に対応するべく、大振りになりがちなスイングを、やや小さめに変えた。

彼のパワーなら、当たるだけでスタンドインする。

トーマスJr.は自分の身体の中心を軸とし、後は軸をブレずに回転する事を意識した。

簡単に感じるが、フォームを改造するだけでも、かなりの期間を要する。

スチュワートが一球目を投げた。

外角に決まるツーシーム。
「ストライク!」

(微妙に変化しやがる。メジャー独特のクセのある球だな)

このスチュワート、ストレートだけではなく、全ての球種が一級品だ。

そして、二球目は内角をえぐるスライダー。
「ストライクツー!」

ここで一球外すか。まさか、三球勝負で来るのか。

三球目を投げた。

アウトロー、ギリギリのストレート!

(よし、これだっ!)

トーマスJr.は上手くバットを合わせた。

鋭い打球はサードとショートの間を抜ける、流し打ち。
打球の速さに、サードとショートは動けなかった。
大和は三塁を回ったところでストップ。

当たりが良すぎて、大和の足でもホームには突入出来ない。

しかし、トーマスJr.のバッティングは上手くコンパクトに捕らえている。

これを続ければ、長打が出てくるだろう。

続いて4番の高梨が打席に入る。

ツーアウト、ランナー一塁、三塁のチャンス。

スチュワートに焦りの色はない。

尻上がりに調子を上げていくピッチャーだ。


初球ストレート、高梨は見送る。

「ストライク!」

内角にズバッと決まった。

二球目は外角に流れるスライダー。

高梨が思わずバットを出したが空振り。

「ストライクツー!」

トーマスJr.の時みたいに、三球勝負で来ることはないだろう。

三球目を投げた。

「ッ!」

ど真ん中っ!

「ストライクアウト!」

まさかのど真ん中に、ストレートが決まった。

呆気にとられ、高梨は見送ってしまった。

スリーアウトチェンジ。

ピストルズの攻撃は、ランナー残塁で終了した。

「ど真ん中投げるとは、思いきったピッチングしやがる、あの外人」

榊が高梨の肩をポン、と叩いた。

「はい…思っても見ませんでした」

「まだ初回だ。オレは浅野より、お前の方がサードとしては上だと思ってるからよ」

そう言って、マウンドに向かった。

打撃に関しては、圧倒的に浅野の方が上だ。

しかし、守備力やチームをまとめる力は、高梨の方が秀でてると榊は思った。

初回の裏、キングダムの攻撃が始まる。

榊も絶好調で、1番2番を簡単に打ち取る。

続く打席には、3番のマードックが左打席に入った。

榊はグラブで捕手の室田に立ち上がるよう、ジェスチャーした。

榊が先発の時は、室田がマスクを被る事が多い。

室田が困惑しながら立ち上がる。

室田に立てという事は、マードックを歩かせ、浅野で勝負という事なのか…

榊はマードックを敬遠した。

この作戦に場内がザワザワし始めた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...