152 / 162
そして開幕
相性の悪いバッター
しおりを挟む
反町は二刀流には否定的な意見だ。
「高校野球じゃないんだし、投げて打ってが通用する世界じゃないんですよ、プロは」
投手なら投手、野手なら野手と専念するべきだと言う。
「二刀流が通用したら、プロってこんなモンなんだって思われるのがムカつく」
ネプチューンリーグも指名打者制になったせいで、投手が打席に立つ事が無くなったが、反町のバッティングセンスは一級品だ。
たまには打ってみたいという気持ちもあるが、二刀流をしてまで打ちたいという気にはなれない。
そんな及川にだけは負けたくないという闘志を燃やす。
(全球ストレートだ)
今度は反町がサインを出した。
サインに従い、比村はやや内よりにミットを構えた。
1球目を投げた。
外一杯にズバッと154 km/hのストレートが決まる。
「ストライクワン!」
及川は余裕で見送る。
その見送り方が反町にとって癪に障る。
(メッチャムカつくな、今の所見送り方!)
ムッとした表情を見て、比村は落ち着けとジェスチャーする。
(苛立つんじゃねぇよ、そんぐらいで)
次のサインを出した。
反町は首を振ろうとしたが、コレは面白いかもと思い、サインに従った。
2球目を投げた。
フワッとした緩いカーブが弧を描いてミットに収まる。
及川はタイミングを外されたが、途中でバットを止めた。
「ストライクツーっ!」
「エッ、マジで?」
及川は後ろを振り返り、球審に確認した。
「低めギリギリに入ってる」
球審は毅然とした態度で答える。
(ウソだぁ…)
と思ったが、食い下がると後々面倒な事になると感じ、大人しく引き下がった。
カウントはツーストライク。
ここで勝負に出るか、それとも他の球で様子を見るか。
(3球勝負だ)
決め球を要求した。
反町は一度は首を振ったが、比村はもう一度同じサインを出す。
余程自信があるのだろうと思い、反町は頷き3球目を投げた。
インコース低めからボールになるフォークだ。
及川はバットを出すが、ボールはストーン、と大きく落ちた。
「ストライクアウトっ!」
「ヨシ、狙い通りだ!」
比村は小さくガッツポーズをとる。
「クソっ…三球三振かよ」
及川は憮然とした表情でベンチに戻った。
これでツーアウト。
次は3番島津が打席に入る。
及川ばかりが注目されがちなDodgersだが、バッティングセンスはチーム1。
昨年は打率.301 本塁打17 打点83の成績。
本拠地小倉ボールパークは投手有利な球場のせいか、本塁打は若干少な目だが、他球団ならば30本塁打をクリア出来る長打力と確実性を兼ね備えたバッター。
しかも、反町には相性が良く、昨年は13打数5安打、2本のホームランを放つ。
反町も島津には苦手意識を感じ、どこに投げても打たれそうな雰囲気を漂わせている。
(このバッターが一番厄介だ)
とは言え、初回から歩かせるワケにはいかない。
比村も何を要求すればいいのか迷う。
(迷うなぁ…オレがリードしたって打たれるしなぁ…あっ、そうだ!
それなら、いっその事アイツにリードさせりゃいいや!アイツも自分でリードして打たれりゃ納得するだろうし)
なんといういい加減な思いつきなのか。
比村は早速、お前にリードを任せるという合図を送った。
(へぇ~、オレがリードするのか。
オレのリードで抑えれば…ヨシ、やってみよう)
反町は気合いを入れ直した。
「高校野球じゃないんだし、投げて打ってが通用する世界じゃないんですよ、プロは」
投手なら投手、野手なら野手と専念するべきだと言う。
「二刀流が通用したら、プロってこんなモンなんだって思われるのがムカつく」
ネプチューンリーグも指名打者制になったせいで、投手が打席に立つ事が無くなったが、反町のバッティングセンスは一級品だ。
たまには打ってみたいという気持ちもあるが、二刀流をしてまで打ちたいという気にはなれない。
そんな及川にだけは負けたくないという闘志を燃やす。
(全球ストレートだ)
今度は反町がサインを出した。
サインに従い、比村はやや内よりにミットを構えた。
1球目を投げた。
外一杯にズバッと154 km/hのストレートが決まる。
「ストライクワン!」
及川は余裕で見送る。
その見送り方が反町にとって癪に障る。
(メッチャムカつくな、今の所見送り方!)
ムッとした表情を見て、比村は落ち着けとジェスチャーする。
(苛立つんじゃねぇよ、そんぐらいで)
次のサインを出した。
反町は首を振ろうとしたが、コレは面白いかもと思い、サインに従った。
2球目を投げた。
フワッとした緩いカーブが弧を描いてミットに収まる。
及川はタイミングを外されたが、途中でバットを止めた。
「ストライクツーっ!」
「エッ、マジで?」
及川は後ろを振り返り、球審に確認した。
「低めギリギリに入ってる」
球審は毅然とした態度で答える。
(ウソだぁ…)
と思ったが、食い下がると後々面倒な事になると感じ、大人しく引き下がった。
カウントはツーストライク。
ここで勝負に出るか、それとも他の球で様子を見るか。
(3球勝負だ)
決め球を要求した。
反町は一度は首を振ったが、比村はもう一度同じサインを出す。
余程自信があるのだろうと思い、反町は頷き3球目を投げた。
インコース低めからボールになるフォークだ。
及川はバットを出すが、ボールはストーン、と大きく落ちた。
「ストライクアウトっ!」
「ヨシ、狙い通りだ!」
比村は小さくガッツポーズをとる。
「クソっ…三球三振かよ」
及川は憮然とした表情でベンチに戻った。
これでツーアウト。
次は3番島津が打席に入る。
及川ばかりが注目されがちなDodgersだが、バッティングセンスはチーム1。
昨年は打率.301 本塁打17 打点83の成績。
本拠地小倉ボールパークは投手有利な球場のせいか、本塁打は若干少な目だが、他球団ならば30本塁打をクリア出来る長打力と確実性を兼ね備えたバッター。
しかも、反町には相性が良く、昨年は13打数5安打、2本のホームランを放つ。
反町も島津には苦手意識を感じ、どこに投げても打たれそうな雰囲気を漂わせている。
(このバッターが一番厄介だ)
とは言え、初回から歩かせるワケにはいかない。
比村も何を要求すればいいのか迷う。
(迷うなぁ…オレがリードしたって打たれるしなぁ…あっ、そうだ!
それなら、いっその事アイツにリードさせりゃいいや!アイツも自分でリードして打たれりゃ納得するだろうし)
なんといういい加減な思いつきなのか。
比村は早速、お前にリードを任せるという合図を送った。
(へぇ~、オレがリードするのか。
オレのリードで抑えれば…ヨシ、やってみよう)
反町は気合いを入れ直した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる