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忌まわしき過去
水面下での行動
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店を出て、達也が真っ先に向かったのは興信所だった。
ネットで調べる事も出来るが、信憑性に欠ける。
興信所は、繁華街の裏通りに面した老朽化したビルの一室だ。
この界隈は日中でも人通りが少なく、雑居ビルが立ち並び、不気味な雰囲気が漂う。
案の定、中にはとてもカタギには見えない強面のスキンヘッドの中年と気の弱そうな若者、恰幅の良い初老の三人がヒマそうにテレビを観ていた。
対応したスキンヘッドの男に、ブラックな案件でも引き受けてくれる弁護士を探して欲しいと伝えた。
調査費用はいくらかかっても構わない、期間は4~5日以内に見つける事、それが達也の出した条件だ。
その後、達也は何食わぬ顔をして、千尋に同行し、仕事のノウハウを教わり、関係者への挨拶回りをこなした。
亮輔と違い、社交的な達也は関係者筋に愛想を振りまき、中々の好青年ぶりを発揮した。
千尋と行動を共にする事で、秘書の様にスケジュールや行動パターンを把握した。
達也は手始めに、亮輔と千尋を分断させる行動に出た。
達也はこの二人が肉体関係を持っている事は知らないが、スレ違いの生活をさせる為に大学の友人である小島を使った。
小島はギャンブル依存症で多額の借金を背負っていたが、達也が肩代わりする条件として、亮輔を毎晩遊びに連れ出す事となった。
亮輔は達也の企みを知るはずもなく、小島に誘われ、喜び勇んで出掛けた。
友達が欲しかった亮輔は、千尋とセックスをするよりも、小島と遊ぶ方が楽しくなり、次第に千尋といる時間が少なくなった。
千尋は、達也が亮輔の事を不憫に思い、友達を紹介してくれたものだと思い、夜遊びに関しては容認していた。
「アナタが友達を紹介してくれたお陰で亮輔は前と比べて随分と明るくなったわ。ありがとう、達也」
会社を乗っ取るという野望を知らずに、千尋は達也に全幅の信頼をおくようになっていった。
「母さん、アイツはまだ15で夜遊びなんかしちゃいけない年齢だけど、オレの友人は亮輔に変な遊びを教えるような事はしてないし、そんなヤツじゃ無いんだ。
今のアイツは友達と一緒にいるのが一番楽しい時期なんだ。
だから少々の事は目をつぶってくれないかな?今のうちに遊ばせておいた方が今後の社会勉強にもなるじゃないか」
千尋は、良き兄を演じる達也の言葉を信じた。
「そうね、あの子は今が一番楽しいみたいだから、しばらくは見守ってあげようかしら。
そして、アナタは卒業したら私の秘書として即戦力として期待してるから頑張ってね」
千尋は頼もしく成長した達也を見て目を細めた。
「いや、まだ覚えなきゃならない事がありすぎて…とにかく今は色んな人達に会って、顔を覚えてもらって、仕事も覚えて、おまけに学校にも行かなきゃならないし、やることが多過ぎて、キャパがオーバーしそうだよ」
大変そうな表情を浮かべた。
「そうね、大学だけはキチンと卒業しないとね。ゴメンね達也、ただでさえ忙しいのに、仕事を手伝ってくれて」
「大丈夫、母さんには色々と面倒見てもらってるからこのぐらいはしないとね」
一通り繁華街の店舗内をチェックして、二人は車に乗り込んだ。
達也がハンドルを握った。
「いつも運転してもらってるから、今日ぐらいはお母さんが運転しようか?」
「大丈夫だって!この辺の道路はよく通ってるし、近道も知ってるんだよ。この先に暗い路地があるんだけど、そこを通れば時間はかなり短縮されるよ。母さんもこの道覚えておいた方がいいよ」
車は繁華街から少し離れた、国道脇の街灯の少ない路地に入った。周りは鬱蒼として、不気味な雰囲気が漂う。
「なんだか暗い道だけど大丈夫なの?」
まるで心霊スポットのような暗い道だ。
「ここはね、滅多に人が通らないんだ。それに周りが木に囲まれてるでしょ?こんな夜道に出歩く人なんていないよ」
達也は軽快なハンドルさばきでスイスイと暗い夜道を走っていった。
しばらくすると大通りに出て、あっという間に家に着いた。
「ホントね、随分早く着いたわ。今度からあの道で帰れば時間が短縮できそうね」
「これからは、あの道を通ればいいよ」
「チョット気味悪いけどね。お疲れ様、遅くなったけど大丈夫?これからご飯でも食べていかない?」
「いや、これから帰って勉強しなきゃなんないから。もうすぐ試験だし」
「あら、少しぐらいいいじゃない。それとも今晩泊まっていく?」
ここ最近は亮輔が朝帰りをするので、千尋は一人で夜を過ごしていた。
「いや、そういうワケにはいかないよ。何せ教科書やノートも無いし」
「私はあなたに母親らしい事を何一つしてないから、たまには甘えていいのよ」
(母親らしい事?オレには母親なんて必要無いんだよ!必要なのは、オマエの会社だけだ!)
「そんな事無いよ!だって、金銭面でかなり助けてもらってるし、これ以上甘えるワケにはいかないよ」
「でも、お金の事以外で母親らしい事はしてないでしょ?いいから今日は泊まって、親子水入らずで過ごしましょ」
「いや、でも…」
千尋と一緒にいたら、鴨志田と連絡をとる事がとる事が出来ない。
「私にお母さんらしい事をさせて、ねっ?」
「お母さんらしい事なら、十分してもらってるよ」
千尋は淋しかった。
亮輔とスレ違いの生活を送るようになってから、孤独を感じた。
「じゃあ…」
そう言うと、千尋は悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「お母さんのオッパイでも吸う?フフっ、もう母乳は出ないけど、ね」
「…っ!な、何を言うんだよっ!マザコンじゃあるまいし…」
素で顔を真っ赤にして、慌てふためいた。
「あら、いいのよ。誰も見てないんだし、アナタは息子なんだから、オッパイ吸っても変じゃないわ」
千尋はシートベルトを外し、ジャケットを脱ぐと、白のチューブトップをズラした。
ハリのある乳房に乳首が立っていた。
「ちょ、チョット!何やってんだよ、こんなとこで!」
千尋は上半身裸になり、達也に迫った。
「ねぇ、達也…お母さん淋しいの…だから今日は泊まってって、お願い!」
「わ、分かったから!とにかく服着てよっ!」
「ありがとう、達也!お母さん嬉しいわ!」
乳房を出した状態で達也に抱きついた。
「…こんなとこ、誰かに見られたらマズいってば!」
(このオンナ、実の息子になんて事するんだ…こうやって色んな男を垂らしこんできたのか…)
達也は母親がスナックのホステスから実業家に成り上がった手練手管を垣間見た気がした。
「達也、何が食べたい?お母さん、何でも作るから遠慮なく言ってね」
達也の腕を組んでエレベーターに乗り込んだ。
(クソっ、この女にペースを狂わされてしまった!)
千尋の強引な誘いで一晩泊まる事となった。
夕飯を食べ、部屋で鴨志田にLINEを送っている最中、千尋が入ってきた。
「な、何だよ、ノックぐらいしてよ!」
「誰にLINEしてるの?ははーん、もしかして彼女かな?」
千尋がしつこく絡む。
(ウゼーな、このオンナは!何だって今日はこんなに絡んでくるんだ?)
達也は辟易していた。
「か、彼女?違うよ、大学の友達に勉強の事でLINEしてるだけだよ」
鴨志田に連絡するのを諦めた。
「ねぇ、達也。今日はお母さんと一緒に寝て欲しいの…ダメ?」
「…はぁ?」
良き息子を演じている手前、無下に断るワケにもいかず、その晩は千尋の胸に抱かれて寝た。
翌朝、大学に行くと告げて、千尋のマンションを出た。
マンションから離れた場所で鴨志田に連絡した。
「もしもし、朝っぱらから申し訳無い。昨日連絡しようと思ったんだが、あのオンナが泊まっていけってしつこくて連絡出来なかったんだ。でも、今のところ順調だ。そっちは変わった事はないか?」
【ええ、こっちは特に変わりは無いわ。大変ね、あんなオンナを相手にするなんて。ところで、弁護士は見つかったの?】
「いや、この前興信所に行って、どんな仕事でも引き受ける弁護士を早急に探して欲しいと依頼した。2、3日中には返事が来る事になっている」
【興信所?何故、そんなとこに頼んだの?】
「自分の足で探すより手っ取り早いからだ。それにオレは今、あのオンナと行動を共にしてる時間が多くて中々探す機会がない。だから興信所に頼んだんだ」
【で、アナタはその間何をしているの?】
「アイツと亮輔を分断させている最中だ。
何せあの二人は一緒にいる時間が多すぎるからな。知り合いに頼んで亮輔を毎晩連れ回してくれって頼んである。
そのお陰で二人は一緒に過ごす時間がかなり減ってる」
【…どうして?だって会社を乗っ取るのに、古賀くんは関係無いんじゃないの?】
「それが大いに関係あるんだよ。
詳しくは後で話すが、とにかく興信所から連絡が着たらすぐに動く。
申し訳ないがそれまで待ってて欲しい」
【…何を企んでるの?まさか事件になるような事じゃ…】
「事件か…事件と言えばそうかもしれない。だって、会社を乗っ取るんだぜ。
でも、心配することはない。それよりも、アンタが一日でも早くあの世界から足を洗う事が先優先だ」
【…ありがとう、分かったわ。でも、アタシはあなたの事が心配なの】
「大丈夫だ、オレを信用しろ。
何度も言うが、アンタがいなきゃ、あの会社を乗っ取る事はできない。だからもうしばらくの辛抱だ、頼む」
【あなたがそう言うなら、アタシは信じるわ。でも、危ない事だけは止めてね…アタシ、あなたの事が…】
「それは分かった。今は下手な動きは出来ないしな。それじゃ、また連絡入れる」
【うん、わかったわ】
電話を切り、空を見上げた。
まだ梅雨が明けないせいか、雲がかかってスッキリしない天気だ。
梅雨が明ける頃には、全てがオレの思い通りになる。
達也は駅へ向かった。
(会社を乗っ取る方法、それはあのオンナを消す事だ)
【失脚】では無く、【消す】。
千尋の命を奪うつもりなのか?
それは、達也にしか分からない事だ。
ネットで調べる事も出来るが、信憑性に欠ける。
興信所は、繁華街の裏通りに面した老朽化したビルの一室だ。
この界隈は日中でも人通りが少なく、雑居ビルが立ち並び、不気味な雰囲気が漂う。
案の定、中にはとてもカタギには見えない強面のスキンヘッドの中年と気の弱そうな若者、恰幅の良い初老の三人がヒマそうにテレビを観ていた。
対応したスキンヘッドの男に、ブラックな案件でも引き受けてくれる弁護士を探して欲しいと伝えた。
調査費用はいくらかかっても構わない、期間は4~5日以内に見つける事、それが達也の出した条件だ。
その後、達也は何食わぬ顔をして、千尋に同行し、仕事のノウハウを教わり、関係者への挨拶回りをこなした。
亮輔と違い、社交的な達也は関係者筋に愛想を振りまき、中々の好青年ぶりを発揮した。
千尋と行動を共にする事で、秘書の様にスケジュールや行動パターンを把握した。
達也は手始めに、亮輔と千尋を分断させる行動に出た。
達也はこの二人が肉体関係を持っている事は知らないが、スレ違いの生活をさせる為に大学の友人である小島を使った。
小島はギャンブル依存症で多額の借金を背負っていたが、達也が肩代わりする条件として、亮輔を毎晩遊びに連れ出す事となった。
亮輔は達也の企みを知るはずもなく、小島に誘われ、喜び勇んで出掛けた。
友達が欲しかった亮輔は、千尋とセックスをするよりも、小島と遊ぶ方が楽しくなり、次第に千尋といる時間が少なくなった。
千尋は、達也が亮輔の事を不憫に思い、友達を紹介してくれたものだと思い、夜遊びに関しては容認していた。
「アナタが友達を紹介してくれたお陰で亮輔は前と比べて随分と明るくなったわ。ありがとう、達也」
会社を乗っ取るという野望を知らずに、千尋は達也に全幅の信頼をおくようになっていった。
「母さん、アイツはまだ15で夜遊びなんかしちゃいけない年齢だけど、オレの友人は亮輔に変な遊びを教えるような事はしてないし、そんなヤツじゃ無いんだ。
今のアイツは友達と一緒にいるのが一番楽しい時期なんだ。
だから少々の事は目をつぶってくれないかな?今のうちに遊ばせておいた方が今後の社会勉強にもなるじゃないか」
千尋は、良き兄を演じる達也の言葉を信じた。
「そうね、あの子は今が一番楽しいみたいだから、しばらくは見守ってあげようかしら。
そして、アナタは卒業したら私の秘書として即戦力として期待してるから頑張ってね」
千尋は頼もしく成長した達也を見て目を細めた。
「いや、まだ覚えなきゃならない事がありすぎて…とにかく今は色んな人達に会って、顔を覚えてもらって、仕事も覚えて、おまけに学校にも行かなきゃならないし、やることが多過ぎて、キャパがオーバーしそうだよ」
大変そうな表情を浮かべた。
「そうね、大学だけはキチンと卒業しないとね。ゴメンね達也、ただでさえ忙しいのに、仕事を手伝ってくれて」
「大丈夫、母さんには色々と面倒見てもらってるからこのぐらいはしないとね」
一通り繁華街の店舗内をチェックして、二人は車に乗り込んだ。
達也がハンドルを握った。
「いつも運転してもらってるから、今日ぐらいはお母さんが運転しようか?」
「大丈夫だって!この辺の道路はよく通ってるし、近道も知ってるんだよ。この先に暗い路地があるんだけど、そこを通れば時間はかなり短縮されるよ。母さんもこの道覚えておいた方がいいよ」
車は繁華街から少し離れた、国道脇の街灯の少ない路地に入った。周りは鬱蒼として、不気味な雰囲気が漂う。
「なんだか暗い道だけど大丈夫なの?」
まるで心霊スポットのような暗い道だ。
「ここはね、滅多に人が通らないんだ。それに周りが木に囲まれてるでしょ?こんな夜道に出歩く人なんていないよ」
達也は軽快なハンドルさばきでスイスイと暗い夜道を走っていった。
しばらくすると大通りに出て、あっという間に家に着いた。
「ホントね、随分早く着いたわ。今度からあの道で帰れば時間が短縮できそうね」
「これからは、あの道を通ればいいよ」
「チョット気味悪いけどね。お疲れ様、遅くなったけど大丈夫?これからご飯でも食べていかない?」
「いや、これから帰って勉強しなきゃなんないから。もうすぐ試験だし」
「あら、少しぐらいいいじゃない。それとも今晩泊まっていく?」
ここ最近は亮輔が朝帰りをするので、千尋は一人で夜を過ごしていた。
「いや、そういうワケにはいかないよ。何せ教科書やノートも無いし」
「私はあなたに母親らしい事を何一つしてないから、たまには甘えていいのよ」
(母親らしい事?オレには母親なんて必要無いんだよ!必要なのは、オマエの会社だけだ!)
「そんな事無いよ!だって、金銭面でかなり助けてもらってるし、これ以上甘えるワケにはいかないよ」
「でも、お金の事以外で母親らしい事はしてないでしょ?いいから今日は泊まって、親子水入らずで過ごしましょ」
「いや、でも…」
千尋と一緒にいたら、鴨志田と連絡をとる事がとる事が出来ない。
「私にお母さんらしい事をさせて、ねっ?」
「お母さんらしい事なら、十分してもらってるよ」
千尋は淋しかった。
亮輔とスレ違いの生活を送るようになってから、孤独を感じた。
「じゃあ…」
そう言うと、千尋は悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「お母さんのオッパイでも吸う?フフっ、もう母乳は出ないけど、ね」
「…っ!な、何を言うんだよっ!マザコンじゃあるまいし…」
素で顔を真っ赤にして、慌てふためいた。
「あら、いいのよ。誰も見てないんだし、アナタは息子なんだから、オッパイ吸っても変じゃないわ」
千尋はシートベルトを外し、ジャケットを脱ぐと、白のチューブトップをズラした。
ハリのある乳房に乳首が立っていた。
「ちょ、チョット!何やってんだよ、こんなとこで!」
千尋は上半身裸になり、達也に迫った。
「ねぇ、達也…お母さん淋しいの…だから今日は泊まってって、お願い!」
「わ、分かったから!とにかく服着てよっ!」
「ありがとう、達也!お母さん嬉しいわ!」
乳房を出した状態で達也に抱きついた。
「…こんなとこ、誰かに見られたらマズいってば!」
(このオンナ、実の息子になんて事するんだ…こうやって色んな男を垂らしこんできたのか…)
達也は母親がスナックのホステスから実業家に成り上がった手練手管を垣間見た気がした。
「達也、何が食べたい?お母さん、何でも作るから遠慮なく言ってね」
達也の腕を組んでエレベーターに乗り込んだ。
(クソっ、この女にペースを狂わされてしまった!)
千尋の強引な誘いで一晩泊まる事となった。
夕飯を食べ、部屋で鴨志田にLINEを送っている最中、千尋が入ってきた。
「な、何だよ、ノックぐらいしてよ!」
「誰にLINEしてるの?ははーん、もしかして彼女かな?」
千尋がしつこく絡む。
(ウゼーな、このオンナは!何だって今日はこんなに絡んでくるんだ?)
達也は辟易していた。
「か、彼女?違うよ、大学の友達に勉強の事でLINEしてるだけだよ」
鴨志田に連絡するのを諦めた。
「ねぇ、達也。今日はお母さんと一緒に寝て欲しいの…ダメ?」
「…はぁ?」
良き息子を演じている手前、無下に断るワケにもいかず、その晩は千尋の胸に抱かれて寝た。
翌朝、大学に行くと告げて、千尋のマンションを出た。
マンションから離れた場所で鴨志田に連絡した。
「もしもし、朝っぱらから申し訳無い。昨日連絡しようと思ったんだが、あのオンナが泊まっていけってしつこくて連絡出来なかったんだ。でも、今のところ順調だ。そっちは変わった事はないか?」
【ええ、こっちは特に変わりは無いわ。大変ね、あんなオンナを相手にするなんて。ところで、弁護士は見つかったの?】
「いや、この前興信所に行って、どんな仕事でも引き受ける弁護士を早急に探して欲しいと依頼した。2、3日中には返事が来る事になっている」
【興信所?何故、そんなとこに頼んだの?】
「自分の足で探すより手っ取り早いからだ。それにオレは今、あのオンナと行動を共にしてる時間が多くて中々探す機会がない。だから興信所に頼んだんだ」
【で、アナタはその間何をしているの?】
「アイツと亮輔を分断させている最中だ。
何せあの二人は一緒にいる時間が多すぎるからな。知り合いに頼んで亮輔を毎晩連れ回してくれって頼んである。
そのお陰で二人は一緒に過ごす時間がかなり減ってる」
【…どうして?だって会社を乗っ取るのに、古賀くんは関係無いんじゃないの?】
「それが大いに関係あるんだよ。
詳しくは後で話すが、とにかく興信所から連絡が着たらすぐに動く。
申し訳ないがそれまで待ってて欲しい」
【…何を企んでるの?まさか事件になるような事じゃ…】
「事件か…事件と言えばそうかもしれない。だって、会社を乗っ取るんだぜ。
でも、心配することはない。それよりも、アンタが一日でも早くあの世界から足を洗う事が先優先だ」
【…ありがとう、分かったわ。でも、アタシはあなたの事が心配なの】
「大丈夫だ、オレを信用しろ。
何度も言うが、アンタがいなきゃ、あの会社を乗っ取る事はできない。だからもうしばらくの辛抱だ、頼む」
【あなたがそう言うなら、アタシは信じるわ。でも、危ない事だけは止めてね…アタシ、あなたの事が…】
「それは分かった。今は下手な動きは出来ないしな。それじゃ、また連絡入れる」
【うん、わかったわ】
電話を切り、空を見上げた。
まだ梅雨が明けないせいか、雲がかかってスッキリしない天気だ。
梅雨が明ける頃には、全てがオレの思い通りになる。
達也は駅へ向かった。
(会社を乗っ取る方法、それはあのオンナを消す事だ)
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それは、達也にしか分からない事だ。
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