快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体

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流浪の如く

ヤル気の起きない日々

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あの事件から七年が経過した。
オレは23才になり、何もすることも無く、ただ漠然と過ごす日々を送っている。


今は僅かな蓄えで細々と暮らしている。
母の治療費は払えなくなり、オレは母を引き取り、古いアパートで生活を始めた。
だが、母を常に監視してないと、何をやらかすのか心配で、仕事にも行けない状態だった。


もう、あの頃の母には戻らないのだろうと思うと、何とも言えない空しさがオレの身体を包んだ。




母を引き取ってから一年が経過した頃、目を離した隙に、母が外に出てしまった。
夢遊病者の様に徘徊して、赤信号の歩道に飛び出した際、トラックに跳ねられ、母の壮絶な人生は終焉した。


これでオレは本当の独りぼっちになった。

母が亡くなった時、悲しさとか、淋しさという感情は湧かなかった。

とうとうオフクロも逝ってしまったか…

一言で表すなら、こんな心境だった。

母が日本に帰って来た時に、ある程度の覚悟はしていた。
ただ、微かな期待を望んでいたが、奇跡は起こらなかった。



母には感謝しかない。天国で安らかに眠って欲しい。

葬儀の費用までは捻出できたが、墓を建ててやる金など残っていなかった。

母は生命保険に加入していなかった為、葬儀費用等は僅かな貯蓄であっという間に無くなってしまった。

母の遺骨を枕元に置いて、部屋に籠ったまま、遺骨に話しかける日々を過ごした。


だが、いつまでもそんな事はしてられない。
働かないとアパートの家賃も払えない。
食費や光熱費も賄う事が出来ない。

食う為に仕方なく、引っ越しの仕事に就いたが、重量のある家電をエレベーター無しのアパートやマンションで階段を上り下りしながら運んでいたせいか、腰を痛めてしまい、僅か半月で辞めてしまった。

次は身体に負担がかからない仕事をしようと、ガードマンの仕事に就いたが、炎天下の中、車を誘導しているだけで汗だくになり、ただ立っているだけという仕事に嫌気が差し、一週間で辞めた。

自分の身体を売る仕事に慣れてしまったせいか、普通に働く事が出来なくなってしまった。

ホストにでもなろうかとも考えたが、オレは酒が飲めないし、セックス以外で女を悦ばせる術を知らない。

会話なんて、何を話せばよいのやら。

しかもオレは、国民年金や国民保険の金すら滞納したままだ。

こんな調子だから、家賃ですら、期日に間に合わず、遅れてしまう事も度々あった。

どうにかして働かなきゃと思う半面、額に汗して働く事に拒絶反応を起こしていた。

生活保護でも受けよう、と考えたが、オレは健常者で、生保を受ける資格ではない。

こんな調子で、働いては辞め、また働いては辞めるという、堕落した生活を送り、成人を迎えた。

何がしたいのか?何がやりたいのか?何を目標にしたいのか?
毎日自問自答するが、答えは出てこない。

母の遺骨を持って、ホームレスにでもなろうかと考えていた。
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