快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体

sky-high

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流浪の如く

タイミングが悪いんだよ

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今日は珍しく早く帰る事が出来た。
帰りにコンビニで弁当を買って家に着いた。

山下は既に仕事に出て行ったので、弁当を食いながらテレビを観ていた。

特に観たい番組は無いのだが、音のしない静かな部屋で飯を食うのもイヤだなぁと思い、テレビを観ていただけだ。

アイツと一緒に暮らすようになってから、賑やかなのが当たり前になって、今までシーンとした部屋で過ごしていたのが、随分昔のように思える。

アイツはいつになったらここを出ていくのやら…

飯を食った後に風呂に入った。

…浴槽が汚い。アイツ、風呂場の掃除サボりやがった。

オレもだらしない方だが、あのバカは、オレ以上にだらしない。

もし、アイツがひとり暮らしを始めたら、三日と経たないうちに汚部屋になるだろう。

気がつけば、部屋はタバコ臭いし、服はそこら辺に脱ぎっ放しだ。

タバコ吸うなら換気扇の下で吸え、と言ったのに壁はヤニで黄ばんでいる。

アイツは疫病神だな。
考え事をしていたら、湯に浸かりすぎたのか、のぼせてしまった。

誰もいない部屋で全裸のまま、タオルで頭をゴシゴシと拭いていたら、テーブルに置いてあった、スマホから着信があったみたいだ。

オレのスマホに電話するヤツなんて、まずいない。

だから、スマホに登録してある番号は、会社と沢渡さんと山下の三件しか登録してない。

着信のあった番号は登録されてないヤツで、携帯の番号だった。

多分、間違い電話か何かだろうと思い、全裸のまま
、涼んでいた。


少し身体が涼しくなると、疲れがドッと出た。

今日は早く寝ようと思い、そのままベッドに入った。

すると、テーブルにあるスマホから着信があった。

番号を見ると、先程着信があった番号だった。

一体誰だろう?

「はい、もしもし」

寝るのを邪魔されたせいか、少し不機嫌な口調になってしまった。

【もしも~し、さっきも電話したのに出ないんだもん。何してたの?】

女の声だ。

「は?あの、どちらにかけてます?」

どこかで聞いたような声だが、間違い電話だろうと思った。

【えぇ、覚えてないの?この前番号教えたでしょ?登録してくれなかったの?何かショックだなぁ…】

誰と間違えてんだ、コイツは?

「あのさぁ、ちゃんと番号確認してからかけてくんないかな?これから寝るって時に、こういう間違い電話って、ムカつくんだけど」

寝るのを邪魔されるのが、一番腹立つ。

【えっ、間違い?…あの古賀くんの番号じゃないんですか?】

「…いや、そうだけど、誰?」

全く身に覚えが無い。
誰だコイツ?

【ひどいよ!この前、名刺に番号とアドレスとLINEのID書いてあったの見てなかったの?】

名刺?…あぁ、ナツか。

「とにかく眠いからまた今度な」

【ちょっと待ってよ!少しぐらい話に付き合ってよ!】

「だ か ら!オレはキャバクラには興味ないの!わかった?」


キャバ嬢って、中途半端なポジションという感じがして、おまけに客を値踏みするかのような態度が気に入らない。
あくまでもオレの勝手なイメージなのだが。

【今日は仕事の話じゃないの。古賀くんあれから全然連絡してくれないから、こっちから電話したのよ】

「何の話か知らないけど、寝る!話たけりゃ、他の相手探せ」

電話を切って、またベッドに入り、寝てしまった。

翌朝、スマホを見ると、着信が三回もあった。

マナーモードにして、ベッドの脇のじゅうたんに置いたせいか、全く気づかなかった。

タイミングが悪いんだ、この女は。



今日も段ボールにぎっしりと入った缶や、ペットボトルを車から取り出し、自販機に補充する。

いつの間にか時間は昼を過ぎて、オレはまたコンビニでおにぎりとカップラーメンを買い、車の中で食べていた。

また、ナツからの着信だ。
飯食ってる最中に、電話なんかに出たくない。

ホントにタイミングの悪いヤツだ。

…でも、何だろう一体?オレは、あの悲しみに満ちた目を思いだし、飯を食い終えた後にかけてみた。

【もしもし…】

「何だ、一体?何度も連絡して」

【いや、その大した用事じゃないんだけどぉ~】

用事も無いのに電話してくるのか。イラッとくる。

「用が無いならかけてくんな。それだけか?」

【い、いや違うのよ、あの少し時間とれないかな?】

「今か?」

【だって今は仕事中でしょ?】

「んじゃ、いつならいいんだよ?」

【夜にでもまた連絡するね。ゴメンね仕事中に】

そう言って、ナツは電話を切った。

何か重要な話しなのかな?

そんな事を考えつつ、オレはまた午後からの仕事を再開した。
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