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流浪の如く
頭が上がらない人物
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「亮輔くん。君は暫くの間、ゆっくりと身体を休めるといい。そこでなんだが」
「何でしょうか?」
沢渡さんはお茶を一口飲んでから話を続けた。
「私の所で働かないか?君が言ってたあの会社ではない、一新した会社だ。確かに君にとってはイヤな思い出しか無いだろう。でも、今は体制も違う。
すぐに返事をしなくていい、とりあえず今は身体を癒してからだ。
どうだろうか?とりあえず頭の片隅にでも入れてみて、体調が良くなったら、私のとこに連絡をくれないか?」
今、そんな事を考える余裕すらない。
ナツの事で頭が一杯だ。
「ありがとうございます。とりあえず、休養してからじっくり考えて答えを出します」
「そうだな、今はとにかくゆっくりするべきだ。そうなると、このアパートは引き払うつもりかね?」
「…そのつもりでいます。だから今、山下と一緒に暮らしてますが、アイツに空いてる部屋とか用意出来ないでしょうか?」
「うん、彼は最近、真面目に頑張っているみたいだからな。
では、空いてる部屋を探してみよう。最悪の場合、相部屋になるかも知れんが」
「それでも大丈夫だと思います。色々とワガママばかり言って申し訳ありません」
頭を下げた。これでアイツもこの部屋から抜けれるんだ。
これ以上一緒にいたら、オレにもアイツにも良くない。
食うのがやっとの生活より、ちゃんとした住む場所でしっかり真面目にやってりゃ、そのうちアイツだって、店長になれるかも知れない。
「それと、お墓の事なんだが。
お墓を建てる費用はこっちが出す。そして君が復帰したときに、私に毎月いくらか払うというのはどうだろうか?」
…そうだよな。
まさか、ナツの部屋にまで母の遺骨を持っていくワケにはいかない。
「何から何までホントにありがとうございます。では沢渡さんの申し出に甘えさせていただきます」
何度も頭を下げた。
オレはこの人には、頭が上がらない。
父親みたいな存在だ。
「それと」
沢渡さんがスーツの内ポケットから、封筒を出した。
「300万入っている。これは君にあげるんじゃなく、貸す金だ。それなら受け取って貰えるかな?」
受け取っていいのだろうか?
確かに今、金に困っている。
でも、さすがにこの金額は…
「鴨志田さんの妹さんの所に厄介になるのだろう?一文無しでは、格好がつかないだろうからな」
この人はダンディーな人だ。
オレもこんな大人になりたい。
「…では、ありがたく受けとります。沢渡さん、いつもいつもご迷惑をおかけして、申し訳ありません」
オレがいくら礼を言っても足りない程、この人には世話になった。
この人だけは別格だ。
この助けてくれた恩を早く返す為に、オレは一日でも早く復帰する事が恩返しにもなる。
「じゃ、今度は体調が万全な時に会おう。亮輔くん、前に言った約束、私と一杯付き合ってくれという事を忘れないでくれよ」
「…はい、分かりました。本当にありがとうございます」
沢渡さんは帰って行った。
余計な事は言わない。野暮ったい事は口にしない人だ。
オレもああなりたい…
その為に、ナツの部屋で休養する事にした。
鴨志田の件は…正直迷うが、言うしかない。
ナツに連絡した。
…出ない。仕事中かな?
オレはナツの携帯にメールを送った。
勿論、世話になるという事を書いて。
その数日後、母の遺骨は無事に納骨された。
奇しくも鴨志田が眠る場所と同じ寺だ。
「オフクロ、先生。あの世では仲良くしてくれよ。オレはまたここに来るから」
ようやく納骨出来る事が出来た。
オレはお寺に眠る二人の母親に別れを言った。
それから、数日後にオレはナツの所で暫く厄介になることになるのだが…
「何でしょうか?」
沢渡さんはお茶を一口飲んでから話を続けた。
「私の所で働かないか?君が言ってたあの会社ではない、一新した会社だ。確かに君にとってはイヤな思い出しか無いだろう。でも、今は体制も違う。
すぐに返事をしなくていい、とりあえず今は身体を癒してからだ。
どうだろうか?とりあえず頭の片隅にでも入れてみて、体調が良くなったら、私のとこに連絡をくれないか?」
今、そんな事を考える余裕すらない。
ナツの事で頭が一杯だ。
「ありがとうございます。とりあえず、休養してからじっくり考えて答えを出します」
「そうだな、今はとにかくゆっくりするべきだ。そうなると、このアパートは引き払うつもりかね?」
「…そのつもりでいます。だから今、山下と一緒に暮らしてますが、アイツに空いてる部屋とか用意出来ないでしょうか?」
「うん、彼は最近、真面目に頑張っているみたいだからな。
では、空いてる部屋を探してみよう。最悪の場合、相部屋になるかも知れんが」
「それでも大丈夫だと思います。色々とワガママばかり言って申し訳ありません」
頭を下げた。これでアイツもこの部屋から抜けれるんだ。
これ以上一緒にいたら、オレにもアイツにも良くない。
食うのがやっとの生活より、ちゃんとした住む場所でしっかり真面目にやってりゃ、そのうちアイツだって、店長になれるかも知れない。
「それと、お墓の事なんだが。
お墓を建てる費用はこっちが出す。そして君が復帰したときに、私に毎月いくらか払うというのはどうだろうか?」
…そうだよな。
まさか、ナツの部屋にまで母の遺骨を持っていくワケにはいかない。
「何から何までホントにありがとうございます。では沢渡さんの申し出に甘えさせていただきます」
何度も頭を下げた。
オレはこの人には、頭が上がらない。
父親みたいな存在だ。
「それと」
沢渡さんがスーツの内ポケットから、封筒を出した。
「300万入っている。これは君にあげるんじゃなく、貸す金だ。それなら受け取って貰えるかな?」
受け取っていいのだろうか?
確かに今、金に困っている。
でも、さすがにこの金額は…
「鴨志田さんの妹さんの所に厄介になるのだろう?一文無しでは、格好がつかないだろうからな」
この人はダンディーな人だ。
オレもこんな大人になりたい。
「…では、ありがたく受けとります。沢渡さん、いつもいつもご迷惑をおかけして、申し訳ありません」
オレがいくら礼を言っても足りない程、この人には世話になった。
この人だけは別格だ。
この助けてくれた恩を早く返す為に、オレは一日でも早く復帰する事が恩返しにもなる。
「じゃ、今度は体調が万全な時に会おう。亮輔くん、前に言った約束、私と一杯付き合ってくれという事を忘れないでくれよ」
「…はい、分かりました。本当にありがとうございます」
沢渡さんは帰って行った。
余計な事は言わない。野暮ったい事は口にしない人だ。
オレもああなりたい…
その為に、ナツの部屋で休養する事にした。
鴨志田の件は…正直迷うが、言うしかない。
ナツに連絡した。
…出ない。仕事中かな?
オレはナツの携帯にメールを送った。
勿論、世話になるという事を書いて。
その数日後、母の遺骨は無事に納骨された。
奇しくも鴨志田が眠る場所と同じ寺だ。
「オフクロ、先生。あの世では仲良くしてくれよ。オレはまたここに来るから」
ようやく納骨出来る事が出来た。
オレはお寺に眠る二人の母親に別れを言った。
それから、数日後にオレはナツの所で暫く厄介になることになるのだが…
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