仲村慶彦の憂鬱な日々 社会人編

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どうやったら卒業できるか

アンタ仕事しろよ!

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翌朝、憂鬱な気分で出勤した。


沙織にオレとの関係を言ったのかな。

SNSを通じて知り合った事は言っても構わないが、その内容だけは言わないで欲しい。

会社に着き、机に座る。

沙織はまだ出社してない。

顔合わすのイヤだな~。

「あ、おはよう仲村君」

沙織だーっ!

「あ、おはようございます」

悟られないよう、無表情で挨拶した。

「仲村君さぁ、ユースケさんとSNSで知り合ったんだって?」

早速聞いてきた。

っていうか、ストライカーの名前はユースケだったのか。

そう言えば、弾丸の名前すら知らない。


「いや、まぁその。何て言いますか、はい」

触れて欲しくない。

「へぇ、そうなんだぁ。ユースケさんと仲村君って、年が離れてるよね?話とか合うの?」

 
返答に困るなぁ。


テキトーに言おう。

「いや、ゲームっすよ!ゲーム仲間の1人ですよ」

平常心を保ちつつ。


沙織はオレの目をジーっと見つめる。

目を逸らしたら変に勘繰るかも。



それにしても、綺麗な目だな。

キリッとした目で、吸い込まれそうだ。

おまけにショートカットが似合い、可愛いというよりは美人タイプだ。


「ふ~ん、ゲームねぇ。
それはそうと、幸せそうだったな、あの2人。アタシも早く結婚したいなぁ」


悪い事は言わないから諦めなさい。

っていうか、彼氏すらいないだろ。


そんなオレも結婚は無理だw


「センパイ結婚できて羨ましいなぁ」


だったら、婚活でもしてろ。





今日も沙織にコキ使われるのか…

憂鬱だなぁ。







「おぅ、仲村。最近沙織と仲良いじゃねえか。もしかしてお前、沙織と付き合ってんのか?」

倉庫で在庫チェックしてた際、野村がやって来た。

「まさか。高橋さんとそんな関係になるわけないじゃないですか」


オレが沙織と親しげにしてるのを見て、勘違いしてるに違いない。



「お前はどっちかっつーと、年上の女の方が合うんじゃないかな。お前まだ童貞だし、リードしてもらって卒業しろよ」



年上なんて考えた事もない。

同年代も年下も考えた事ない。

彼女が出来るという想像が湧かない。

「お前、沙織の事どう思う?」

「いや、どうって…仕事教えてもらってる良きセンパイだと思ってますが」

「そうじゃねぇよ!沙織を女としてどう見てるかって事だよ」

ぶっちゃけ、沙織はいい女だと思う。

ああいう女と初体験できたら幸せだなぁと思う事もあるが、沙織はオレを男として見てないハズ。

「そ、そりゃ綺麗なヒトだと思いますが…」


「お前、沙織と付き合ったらいいんじゃないか?沙織ならお前をリードしてくれそうだしなw」


「な、何言ってんすか、高橋さん彼氏いるに違いないっすよ」


出来の悪い後輩としか思ってないだろ。

「彼氏ぃ~、アイツにいると思うか?」

「だって美人じゃないすか。彼氏いるに決まってますよ」


「アレは絶対いない。断言する。
だから、今のうちにチョッカイ出しておけば付き合えるって!」



いや、ない。
絶対あり得ない!


童貞のオレに余計な事吹き込むな!

そりゃ、いい女だとは思うけど。

勘違いして告白しても断られるに違いない。



「ないですよ、それは。オレをパシりに使ってるだけですよ」


パシリ生活も早3年。

そろそろパシリから卒業したい。



「もし沙織がお前の事好きだったらどうする?」


アホらし…いくら童貞のオレでもそこまで考えた事はない。


「絶っ対にないですよ、それは」

断言できる。

「いいからいいから、沙織と付き合っちゃえ!大丈夫、心配すんな!アイツはお前の事を気に入ってるはずだ!」


何故強引にくっつけようとしてんだ。

コイツ何か企んでるのか?

…っていうか、仕事しろよ。





    
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