仲村慶彦の憂鬱な日々 社会人編

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自分を変えるきっかけ

テメーは一生ポチョムキンだ!

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結局、朝方までどんちゃん騒ぎをしてしまった…


亜美はまた酔い潰れて部屋で爆睡している。

何でこんなに酒癖悪いんだろうか?


またオンボロソファーで寝るしかない。






しばらくしてスマホに着信があった。

相手の名前も確かめず電話に出た。


「はぁい、モシモシ…」


【ヨシヒコ!まだ寝てるのかよっ!】

ん?誰だ、コイツ?


「んー、なんせ帰って来たの朝方だからさ…ってお前誰?」



【テメー、またオレの声忘れたのかよ、山田だよ、山田!】




「山田ぁ~?知らん、そんなヤツは!」


半分寝ぼけてたので電話を切った。


いつの間にか夕方になり、まだ寝ている亜美を叩き起した。


「おい、いつまで寝てんだよ?早く起きて帰れ!」


「んー…あぁアニキ、何でここにいるの?」


私服のまま爆睡していたせいで、服がシワだらけだ。


「また覚えてないのか。まぁいい、もう夕方だから早くウチに帰れ」


「えっ、もう夕方なの?ウッソー!あぁ~、休みの日が台無しだぁ~」


「いいから早く帰れ。またオヤジやオフクロにうるさく言われるから」


「うーん、わかった」


亜美は半分寝惚けながら実家に帰った。

珍しく二日酔いにはなってないみたいだ。


外見だけは良いんだが、中身はアレだし。

アイツ、結婚出来るのかよ?

オレもだけど…




そう言えば…さっき電話があったよな。

誰からだろう。

スマホの着信履歴を見た。


…ポチョムキンじゃないか!


あのデブ、何の用だったんだ?



気になるので電話をかけた。


【モシモシ】


「おう、デブ!さっき何の用だったんだよ?」


【テメー、いい加減同級生の名前覚えろよ、バカ!】


「うるへー!テメーが山田なんて言うから、解んなかったじゃねぇか!今度からちゃんとポチョムキンと言え!」


【ふざけんな、このヤロー!大体テメーが勝手に付けたアダ名じゃねーかよ!】


「で、何の用だよデブ!」



【デブじゃねー!ヨシヒコ、お前ウチの会社に来ないか?】



「会社?お前確か、アニメの制作会社だろ?オレ、アニメの事なんて知らねーよ」


このデブ、オレに転職しろって電話したのか?


【アニメというか、ウチの会社の外注業者になるんだけど、そこで人募集してるんだよ。ヨシヒコ、お前そこに来ないか?】


「外注って、何の仕事だよ?」


【オレ達に必要な道具とか品物を送る会社なんだけど】


「なんだそりゃ?配送の仕事じゃねーのか?」


配送って、一日中車に乗ってるイメージしか思い浮かばないなぁ。


【うん。でも、問屋みたいな会社だよ。どうだ、転職してみないか?】


「ギャラはいくらなんだよ?」

【何言ってんだ、ギャラって?】


「ギャラだよ、ギャラ!ギャラって言ったら給料だろうが」

【フツーに給料って言えよ!給料はまぁそこそこいいみたいだぞ】


「へぇぇ~っ。で、その仕事今すぐにでも人が欲しいのか?」



【そうだよ、だからお前に電話したんだよ】


「そうか。でも、まだ今の会社辞めるつもりはないからなぁ」


【今の会社って、給料いくら貰ってるんだよ?】


「言うかそんな事。安月給に決まってるだろ!」


【だったら来いよ。給料はこっちの方がいいはずだ】


上手い話にはトゲがある、って言ってたよな、どこかの誰かが。


「うーん、でもいいや。まぁオレがクビになったら紹介してくれ」


【バカ!早いもん勝ちだぞ!人が入ったらもう募集はしないんだぞ!】


「わかった、わかった。これから飯食うからまたな」

一方的に電話を切った。


デブのくせに、なぁにがいい仕事あるぞ、だ!

テメーみたいなデブに、仕事恵んでもらうほどオレは落ちぶれちゃいねーんだよ、タコが!


大体、山田って何だ?テメーはポチョムキンだろうが!

オレは一生ポチョムキンと呼んでやる、ワハハハハ!


…さて飯でも食おうか。
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