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新団体設立

タッグトーナメントに一億円争奪戦

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結果は惨敗だった…

16分26秒、キャメルクラッチで無念のギブアップ敗けを喫した。

ケガが完治していない事も敗けた要因の一つだが、マクダエルは思っていた以上にパワーがあり、技のキレも想像以上だった。

グランドの展開で腕の極め合い、ポジショニングの争い、どれを取っても、一流だった。

互いにプロレスラーという事もあり、ショーマンシップな部分を見せながらも、最後は実力でねじ伏せられた。

かつてのアニメのスーパーヒーローがマスクを被ってプロレスブームを巻き起こしていた時の一連のムーヴで、ヘッドロックの状態から一旦放し、クルクルっとスピンしながら、オレは何が起こったのか分からないまま、カニ挟みでテイクダウンを取られた。

まさかあのような一連のムーヴを出してくるとは…

最後はそれなりにオレも健闘したが、レッグロックの体勢から必殺の【ネオオモプラッタ】を仕掛けようとした際、オレは身体を捻り、脱出しようとしたが、マクダエルはその動きに合わせ、うつ伏せの状態から覆い被さり、顎を捕らえられ、上体を思いっきり反らされた。

キャメルクラッチが完璧にリング中央で極り、胸骨にケガを抱えているオレはタップするしかなかった。

全てに於いて完敗だった。
ショーマンシップのAAWで長年チャンプでいたのは、人気だけじゃなく、実力もトップクラスだからだという事を改めて思い知らされた。

試合後、マクダエルは、

「ジングウジが胸にケガをしているのは知っていた。
だが相手のウィークポイントを攻めるのが勝負の鉄則だ。
今日は私が勝ったが、次はどうなるか分からない。
ジングウジは素晴らしいレスラーだ。彼とならシングルで闘うのもいいが、タッグで組んでみたい。
そう言えば近々WFEでタッグ王座を争うトーナメントがあるらしいじゃないか。
私は彼と組んでトーナメントに出場してみたい。
TMNはWFEの傘下なんだろ?別に出場しちゃいけないなんて事は無いだろう」

こんなコメントを残した。

マクダエルがオレをトップクラスのレスラーとして認めてくれた…

ありがたい話だが、今のオレはマクダエルの足手まといになるだけだ。

旗揚げ戦から二連敗、オレは崖っぷちに立たされた。

「何故、お前はグレコローマンに拘る?グレコローマンの実績なら、向こうの方が上だ!
フリースタイルのようにタックルでテイクダウンを取るようにすれば状況は変わっていたのかも知れないんだぞ!
フリースタイルの原型こそがキャッチ アズ キャッチ キャンなのだ」

試合後、カーウィンにも怒られた。

これじゃ何のためにイギリスでキャッチレスリングを修行したのか分からない、とばかりに。


次こそはマジで勝たなければならない、オレはタックルを重点的に練習した。

次回の開催は首都圏の中規模の会場で、総合ルールにチャレンジする予定だ。

しかし状況は一変する。

WFEはマクダエルのコメントで、

「ジングウジとならタッグを組んでトーナメントに出場してみたい」

という言葉を受け、オレとマクダエルがWFE初代タッグ王座トーナメントにエントリーされてしまった。

と同時に、TMNも大体な作戦を仕掛けた。

【1億円争奪パンクラチオントーナメント】という構想を打ち上げた。

「他団体からのレスラーが出場してくれるのを楽しみに待っている」

と佐藤さんと山田さんは記者会見上で1億円の現金が山積みになった札束をドンと置いた。

周りにはたくさんのガードマンが囲み、万一の時に備え、奪われないようにする為、ガードしていた。


一体この金はどこから出て来たのか?

コストカットの為にムダを省いたばかりで、1億円の現金等、今のTMNにあるはずがない。

「パンクラチオンスタイルとは、従来のキャッチレスリングに打撃を入れた、従来のプロレスと総合格闘技の中間と言えばいいのかな、そんなルールです。オープンフィンガーグローブ着用で、決着はスリーカウント、ギブアップまたはKOです。

頭部や顔面の踏みつけ、目潰し、急所攻撃以外は何でもありで、勿論ブックなどはありません。

我こそはと思うレスラーや格闘家がいたら名乗りを上げてください」

この記事が大々的に発表され、多くのフリーのレスラーや格闘家が名乗りを上げた。

しかしこの期間はWFEのタッグトーナメントに出場する予定だった…

どっちに参加すればよいのか分からなくなってしまった…
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