(快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体)アナザーストーリー

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全寮制高校での3年間

アイツだけ特別扱いか?

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入学して半月が過ぎた。

オレやヒロト、カズは特に問題もなく寮生活を無難に過ごしていた。

一名を除いて…

そう、あの宇棚だ。

とにかく何しにこの学校に入ったのだろう?
寮生活というのを何だと思っているのだろうか?
何故、そんなに留年しているのか?

そして最大の謎は、この進学校に受験して合格した、という事だ。

彼はとにかく意味不明な行動といい、どうやったらそんな単語を間違えるんだ?というぐらいに言葉が変だ。

オレたちが夜中寝ているにも関わらず、食堂のポットを使い、
部屋でズルズルと音を立てながらカップラーメンを食べ、ひたすらスマホを眺めている。

咀嚼音とスマホの明かりでとてもじゃないが寝れない。
一応アイマスクと耳栓はしているが、全く効果が無い。

「あのさぁ、消灯時間とっくに過ぎてるんだけど。オレら寝てるんすよ?アンタが物音立てるからうるさくて寝られないんだよ、わかる?」

ヒロトは注意した。

しかし彼は

「はい、わかりました!」

とデカイ声で返事する。

「あの…声が大きすぎますよ」

カズも眠れないらしく、彼にもう少し小さな声で返事して欲しいと注意する。

「大丈夫です。私、わかります。朝食に納豆とハムエッグ、炊き込みご飯ありですか?」

「…は?」

今は夜中だぞ?朝食の事なんて考えてないで寝てくれよ!

「あのさぁ…」

さすがにオレも寝付けなくてイライラしていた。

「オレらより3つ上で一応先輩って事なんだろうけど、何でそんなに留年してんの?何でそんなに寮生活の規則を守れないの?ねぇ、なんなの一体?」

他の部屋の連中はもうとっくに寝静まっている。

だがオレらの部屋だけはいつも夜中に彼が何かしらゴソゴソやっていて、寝不足になり、翌朝はかなりツラい。

「私、皆の心解ります。私、皆の相談受けて先生言われます」

「…」

サッパリ意味が解らねえ!
しかも満面の笑みでふざけた事ぬかしやがって…

「…なぁ、朝になったらオレら寮長に言って、部屋割り変えてもらうように頼もうぜ。これじゃちっとも寝れやしない」

「もうそれしかないよな…」

「う、うん。これじゃ寝れないし…」

ヒロトもカズもオレの提案に賛成で、朝になったら寮長に言って部屋を変えてもらおう、それしかない。


最初は少し普通の人と違う、いわゆる何らかの障害がある人だと思ってか、オレらは言うのを躊躇ったが、一緒に生活していて、そういう類いの人では無く、ただ単に恐ろしく空気が読めない、困ったヤツだった。

寮生活なんだから、あれだけ夜中にモゾモゾゴソゴソするんじゃない!と注意しても、返事をするだけで理解していない。



こんな真夜中に起きて、朝はシッカリ飯を食ってる。

授業中寝てるんじゃないか?

そんな疑問さえ感じてしまう。

そして翌朝、オレらは食堂へ向かった。

ただでさえ寝不足だと言うのに、飯なんて食う気にもなれない。

「おはようございます」

「おはようです」

「…おはようこざいます…」

朝食のために食堂に入る時は必ず朝の挨拶、席に着いて食事の前後には「いただきます」と「ご馳走さま」を言うこと。それがここの規則らしい。


オレたちは飯より先にまず寮長の所へ行った。

食堂でちゃんと朝ごはんを食べに来てるかどうか点呼をとっている。

「リョースケ、今言おうぜ」

ヒロトがオレとカズに耳打ちした。

「よし、じゃ飯食う前に言うか」

朝はバイキングみたいにおかずが選べる。

ヒロトは納豆にワカメの味噌汁、ハムエッグに焼き海苔、大盛りのご飯だ。
よくそんなに食えるな。

オレとカズは少量のご飯に味噌汁、焼き海苔と卵焼き。
これでも多い方だ。

そして食堂の入り口で生徒1人1人がちゃんと来ているかどうかチェックしている寮長に直談判した。

席に着き、一斉に「いただきます」と言う。

オレたちは寮長の近くに座っている。

「寮長、あの部屋割りの事なんですが、その。オレたち夜中にああやってゴソゴソとやられると寝れなくて授業にも差し支えるので、何とかもう一度部屋割りを、いやあの宇棚って人を205号室から他の部屋に移るって事は出来ないでしょうか?」

代表してオレが寮長に言った。

これ以上、寝不足で授業どころじゃない、こっちの身体がもたなくなる。

寮長は、歯切れの悪い返事した。

「…あぁ、うん、まぁ…しかし一旦決めた事だからなぁ」

という事は我慢しろって事なのか?

「無理ですよ!多少の音なら我慢出来ますが、ドタドタと歩くし、ガサゴソ物を漁って、カップラーメンを食ってるんですよ?消灯時間とっくに過ぎてるのに、何であんな勝手な事が許されるんですか?」

ヒロトも寮長に詰め寄る。

「いや、参ったな、しかし…」

寮長は頭をポリポリ掻きながら返答に困っている。

そして当の宇棚は、既にテーブルに着いてガツガツと食べている。

長い列に並んだテーブルで椅子が人数分置いてある。

だが、宇棚の周りに座る者はいなく、宇棚1人が4,5人分のスペースを使ってるように見える。

皆、宇棚の近くで飯を食うのが嫌みたいだ。

確かに食ってる姿勢、箸の持ち方、テーブルにボロボロとこぼして、子供みたいな食べ方だ。

朝食の時間になると真っ先に食堂に現れ、飯を食う。

夜中にカップラーメンだのスナック菓子だのバリボリ食べているのに、朝食は必ずお代わりする。

コイツだけ特別扱いなのか?


「とにかく、オレたちはもうあの人と一緒の部屋で生活するのは無理です」

オレは寮長に言った。

「僕もです」

「…はい、自分も無理っす…」

ヒロトもカズも同じ意見だ。

「ま、まぁまぁ、皆の言いたい事は解るが、ここは少し目をつぶってもらえないか」

はぁ?

何言ってんだ、この寮長は!

この食堂を見てくれよ!
アイツの近くに座りたくないから、他の連中はアイツが食い終わるのを待ってるんだぞ?

寮長もいつもなら厳しい口調で注意したりするのだが、何でアイツには何も言わないんだ?

「じゃ、僕ら物置小屋でもどこでもいいです。とにかく彼とは生活出来ません!冗談じゃない、飯なんか食ってられっか!」

オレはろくに飯も食わずに食堂を出た。

「…あの、自分も」

「おい、待てよ!メシぐらいゆっくり食わせろよ!」

オレの後をカズが追った。
食いしん坊のヒロトは残ってメシを食っていた。


何で寮長がアイツに対して何も言えないんだ?

オレとカズは制服に着替えて校舎へ向かった。

寝不足でおまけに朝食も食い損ねた。

これで授業なんか受けられるワケが無い。

ホントにあの男に関しては謎が多すぎる…
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