天才学級

福竜キノコ

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第2話 落ちこぼれ学級

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     4月5日(火)        9:50

美月は新学期のホームルームのために8組の教室に向かって歩いていた。周りでは普通生徒(正確にいえばエリート)たちがひそひそと話をしている。

「あれ、8組の担任じゃん。」
「KY教師」
「アイツもアイツでクズじゃない?」
「本当に8組最悪。」
そして、美月は「3-8」とかいてある教室にたどり着いた。

        9:55
キーン   コーン    カーン    コーン

ホームルーム開始のチャイムが鳴る。

ガラガラガラ
美月はドアを開けて、教室の中に入った。
そこにいたのはとても暗い、絶望のオーラを放っている31人の少年少女だった。

「それでは、ホームルームを始めまーす・・・。」
美月なりに明るく呼びかけるも誰一人として反応を示さない。

「私が担任の宵宮美月です。あなたたちを強い生徒にするために今日から頑張ります。よろしくね。」
美月は軽く自己紹介をした。
「それじゃあ、出席をとります。元気に挨拶をしてください。」

美月は出席をとり始めた。名前を呼ぶときにしっかりひとりひとりの顔をみて、しっかり覚えようとした。

「七瀬・・・美秋さん。」
「・・・・・はい。」
見覚えのある名前。
窓際一番後ろの席に、朝いじめられていた女子生徒の姿があった。彼女もまた、美月のほうを見ていた。

ようやく31人の点呼が終わった。

いや、正確には32人だった。
「羽ノ下さんって子が欠席みたい。・・・」

おそらく、この子は風邪か何かで欠席なのだろう。明日には来てくれると考えた。

その後、クラスの決め事だの、なんだのでホームルームが続く。が、積極的な生徒が全くおらず。話はすごく難航した。


そして、5時間目

「さて、これから皆さんにはこの一年で頑張りたいことを書いてもらいます。できた人から見せに来てください。」

美月は全員に紙を配った。

「ケッ!小学生かよ!!」
不良生徒、杉本裕平(すぎもとゆうへい)は紙を捨てて、教室から出ていった。

残っている生徒も誰一人としてペンを動かさない。いや、動かせないというのが正確だろう。
(ただのクズである自分なんかに目標なんてあるはずない)と思い込んでしまっているのだから。

そして、そのまま、

キーン    コーン   カーン    コーン

ホームルームは終わってしまった。
はぁ・・・     ため息をつく生徒もいた。

そのとき、美月は生徒たちに向かってこう言った。

「あなたたちはとてもかしこいわ。自分なんて目標なんてたてても意味がないし、目標なんてたてれない。・・・自分たちがクズならね。」
生徒たちは美月のほうを見た。
「私はあなたたちがしっかりした生徒になるためにここに来ました。だから、私はあなたたちをクズではないようにする。」
生徒たちの目に少しだけ明かりが灯る。
                                        
「そこであなたたちに宣言します。」

「宣言」・・・美月は絶対にすると決めたとき、約束ではなく宣言すると決めていた。

「来年3月、もう一度これを書く時間をとります。そのときはどこの大学へ行くのか、どんなところに就職したいのか、進路は決まっているはずです。なので、クズとしてではなく、エリートとして進路を示してほしいと思います。」

このとき、生徒たちは思った。
「この先生なら、自分たちのことを認めてもらえる」と。

美月はその目を全て見つめ、笑顔で返す。

「今日の授業はこれまで。」

「起立!礼!ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」

      15:20
授業を終えて、美月は職員室に向かって歩いていた。そのとき、後ろから声を掛けられた。
「先生!」    「七瀬さん?」
「先生、本気なんですか?私たちを一年で立派な生徒にするって。」
「少し違うわ。あなたたちはとっくに立派な生徒。それを認めない人たちにそれを認めさせるだけ。それに、私は決めたことは絶対に実現させるから。」

二人が話していると、後ろから複数の足音が聞こえた。

「先生~!!」
8組の生徒が何人か来た。

「まじでやるんすね!」
「頑張りましょう!」
「もうクズだなんて言わせねーぞ!」

美月は自分の思いが生徒に伝わったことがとても嬉しかった。

「みんな・・・よし!明日から頑張るわよー!」
「おーーーー!!!!」

こうして、8組は革命の序の口に立った。
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