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【第一部】五章 ロイのポーション屋さんと工房
67 ロイのキラキラポーション専門店
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「ロイ。売店にはもう慣れただろう? それなら営業するのに何の問題ない」
「えっ、でも僕、売り上げ計算はできても、税金とか書類とかは全然よく分からなくって……!」
「ああ。だからここでやるんだよ。お前には場所代と勉強代を支払ってもらう」
場所代は分かるけど、勉強代……?
僕はどういう意味だか分からないまま、ギュスターヴさんを見上げる。
「勉強代の対価には、補佐にエリサを付けてやろう。店をやるのに必要な裏方仕事やなんかを教えてもらえ。どうだ? これはお前の夢を叶えるいい準備だろう? ロイ」
ギュスターヴさんはニカッと笑って、僕の頭をくしゃくしゃっと撫でまぜる。
そっか。この『許可証』は、僕の夢に続く道なのか……。
「はい! 僕、売店やります!」
「にゃっにゃっ! ククルルもたまにお手伝いしてあげてもいいにゃよ!」
「あは! ありがとう、ククルルくん。そうだな~本当にお手伝いしてくれるなら、リディやプラムと一緒に素材採取をお願いしたいかなあ」
「にゃっ? 迷宮に入るにゃか? ククルル、よく分からにゃい古文書探しもできるにゃら行くにゃ!」
『よく分からない古文書』か。それはリディに相談しなきゃ分からないけど、お手伝いさんは多ければ多い程いいよね!
だって、これからは委託販売じゃなくて僕の売店なんだから!
「キラキラポーションだけじゃなくって、他にも何か売ろうかな……?」
「待て、ロイ。新しい物を売るつもりなら、店に出す前にまず俺に見せてからだ。お前の【製薬】スキルはとんでもないんだからな?」
「はぁい。分かりました、ギュスターヴさん」
しばらくは『キラキラポーション専門店』かな!
でも、僕のお店……看板とか作ってもいいのかな? ああ、どんなふうに陳列しよう? あ、そうだ。一日に作れる量は大体決まってるし、予約を取るのもいいかも?
わああ~なんか、すっごく楽しみになってきた!! 僕はワクワクを抑えきれず、頭の中でアレコレ想像してしまう。
「でもぉ~お店を開くのに丁度いい物件があったのに残念だわぁ」
ベアトリスさんが僕がサインした書類を眺め、残念そうに言った。
「……何? お前、アレを買ったのか?」
ベアトリスさんは紅茶を飲み、唇をぺろりと舐める。
「うふふ。ひとまず押さえてあるわぁ。取るかもしれない弟子のねぇ? 修行工房にしてもいいかと思ったのよ。ふふ」
「気が早ぇよ」
ん? アレって何のことだろう? 話が見えない僕とククルルくんは顔を見合わせる。
「あらぁ? きょとんとしちゃって。ぼくがいた魔法薬店のことよぉ? うふふ」
「えっ! え? お店が売りに出されてるんですか!?」
「そぉよ。敷地も建物も丸ごと。機材一式に備品、馬に荷車、馬車なんかも全てひっくるめて。設備はなかなかいい工房だったから、少し手を加えるだけで使えそうなとこが気に入ったのよぉ。お値段も手頃だったしぃ。よっぽど早急にお金が必要なのかしらねぇ」
お値段もお手頃……? え、だってあの建物はそれなりの広さがあるし、お店だけじゃなくて住居部分もあるし、中庭も広いし……。
「ええ……」
僕は目の前のベアトリスさんの、『白夜の錬金術師』の財力とその感覚にドン引いた。アルベール様の大人買いもすごいと思ったけど、お金持ちってあのくらいは普通のことなんだろうなって今更に思った。
でも……。
「そっか。もうお店は本当になくなっちゃったんだ……」
旦那様も若旦那さんも捕縛されたまま。元々評判が悪かったところにこれじゃ、店を手放すしかないのも分かる。裁判費用が凄いとか、莫大な保釈金があれば何とか~って噂も聞いたしね。
お手頃なお値段っていうのは、きっとそういうことだろう。
でも、そっかぁ。
僕は寂しいとは違う、なんだか不思議な気持ちで紅茶を飲んだ。
「えっ、でも僕、売り上げ計算はできても、税金とか書類とかは全然よく分からなくって……!」
「ああ。だからここでやるんだよ。お前には場所代と勉強代を支払ってもらう」
場所代は分かるけど、勉強代……?
僕はどういう意味だか分からないまま、ギュスターヴさんを見上げる。
「勉強代の対価には、補佐にエリサを付けてやろう。店をやるのに必要な裏方仕事やなんかを教えてもらえ。どうだ? これはお前の夢を叶えるいい準備だろう? ロイ」
ギュスターヴさんはニカッと笑って、僕の頭をくしゃくしゃっと撫でまぜる。
そっか。この『許可証』は、僕の夢に続く道なのか……。
「はい! 僕、売店やります!」
「にゃっにゃっ! ククルルもたまにお手伝いしてあげてもいいにゃよ!」
「あは! ありがとう、ククルルくん。そうだな~本当にお手伝いしてくれるなら、リディやプラムと一緒に素材採取をお願いしたいかなあ」
「にゃっ? 迷宮に入るにゃか? ククルル、よく分からにゃい古文書探しもできるにゃら行くにゃ!」
『よく分からない古文書』か。それはリディに相談しなきゃ分からないけど、お手伝いさんは多ければ多い程いいよね!
だって、これからは委託販売じゃなくて僕の売店なんだから!
「キラキラポーションだけじゃなくって、他にも何か売ろうかな……?」
「待て、ロイ。新しい物を売るつもりなら、店に出す前にまず俺に見せてからだ。お前の【製薬】スキルはとんでもないんだからな?」
「はぁい。分かりました、ギュスターヴさん」
しばらくは『キラキラポーション専門店』かな!
でも、僕のお店……看板とか作ってもいいのかな? ああ、どんなふうに陳列しよう? あ、そうだ。一日に作れる量は大体決まってるし、予約を取るのもいいかも?
わああ~なんか、すっごく楽しみになってきた!! 僕はワクワクを抑えきれず、頭の中でアレコレ想像してしまう。
「でもぉ~お店を開くのに丁度いい物件があったのに残念だわぁ」
ベアトリスさんが僕がサインした書類を眺め、残念そうに言った。
「……何? お前、アレを買ったのか?」
ベアトリスさんは紅茶を飲み、唇をぺろりと舐める。
「うふふ。ひとまず押さえてあるわぁ。取るかもしれない弟子のねぇ? 修行工房にしてもいいかと思ったのよ。ふふ」
「気が早ぇよ」
ん? アレって何のことだろう? 話が見えない僕とククルルくんは顔を見合わせる。
「あらぁ? きょとんとしちゃって。ぼくがいた魔法薬店のことよぉ? うふふ」
「えっ! え? お店が売りに出されてるんですか!?」
「そぉよ。敷地も建物も丸ごと。機材一式に備品、馬に荷車、馬車なんかも全てひっくるめて。設備はなかなかいい工房だったから、少し手を加えるだけで使えそうなとこが気に入ったのよぉ。お値段も手頃だったしぃ。よっぽど早急にお金が必要なのかしらねぇ」
お値段もお手頃……? え、だってあの建物はそれなりの広さがあるし、お店だけじゃなくて住居部分もあるし、中庭も広いし……。
「ええ……」
僕は目の前のベアトリスさんの、『白夜の錬金術師』の財力とその感覚にドン引いた。アルベール様の大人買いもすごいと思ったけど、お金持ちってあのくらいは普通のことなんだろうなって今更に思った。
でも……。
「そっか。もうお店は本当になくなっちゃったんだ……」
旦那様も若旦那さんも捕縛されたまま。元々評判が悪かったところにこれじゃ、店を手放すしかないのも分かる。裁判費用が凄いとか、莫大な保釈金があれば何とか~って噂も聞いたしね。
お手頃なお値段っていうのは、きっとそういうことだろう。
でも、そっかぁ。
僕は寂しいとは違う、なんだか不思議な気持ちで紅茶を飲んだ。
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